【1031】 あふれ出すこの日、この時の月明かり  (OZ 2006-01-13 02:12:39)


1023の続きです。 お暇だったら読んでください、励みになります。


「薄いけど、毛布があって良かったね。
「そうですね・・・ ちょっと埃臭いですけど。」
「でもまあ、そんな贅沢は言えないよ、十分役に立っているんだし。」
「ま、まあ、そうですわね。」
「あ、あと、それに、あのね・・・ うふふ・・・ 」
「そ、それに? それに・あのね・なんですの? 」
「こうやって、瞳子ちゃんとくっ付いていられる。」
「な!? 何を言い出すのですか!! ま、まったく祐巳様は緊張感の無い!!」
 
ガバっと身体を持ち上げた瞳子、でもそのとき  ちっちゃく『ハピィチュ!!』
なんとも、可愛いくしゃみをする。

「あはは、ほら、瞳子ちゃん、寒いんだから、おいで、かぜ、引いちゃうよ?」
祐巳は自分の脇に毛布の隙間をあけ、瞳子を招く。
瞳子は少しイライラするような、でも、恥ずかしそうな、嬉しそうな、なんとも複雑な顔をしていたが素直に祐巳の傍らに潜りこんだ。

「ゆ、祐巳様、この状況が分かっていらっしゃいますの? ホント緊張感の無い!!」
「うん、それはさっきも聞いたよ。でも、今はこの状況でしかないんだからしょうがないし。」
「ま、まあ、そうなんですけど・・・」
 寄り添う瞳子を祐巳は、もう一度軽く抱きしめた、でも今度は何の抵抗も無い。
 2人は毛布に中で身を固めた。

「さっきよりは、だんぜん暖かいね。瞳子ちゃん。」
「ま、まあ、そうですわね、だんぜん暖かいですわね。」

 祐巳は窓越しに見える夜空を見て言った。
「やっぱり、冬の空は澄んでいるね、ほら、一段と月が綺麗に見える。」
「ホントに綺麗ですわね、月だけでなく、星も・・・」

「ねえ、瞳子ちゃん?」
「はい?」
「やっぱり、今寝ちゃったら、映画とかで見るように『寝るな!!寝たら死ぬぞ!!』みたいなことになるのかな?」
「眠いんですの?」
「そんなこと・・・ ない・ですじょ・・」
「・・・眠いんですね?」
「うん・・・」
「その・・・たぶん、なりません、それに、あいにく瞳子はぜんぜん眠く在りませんので、宜しければ私の肩をお貸し、その、不本意ですが、し、しても宜しいですわ。 もう・・」
「そ、そ、そんな、瞳子ちゃんに、そんなこと・で、できな・できない・・・よ・・・」
  ZZZ
と、言いながら祐巳は瞳子に抱きつくようなかっこうで寝てしまった。

 まったく、本当にこの方は私の先輩、しかも、全校生徒の憧れの紅薔薇の妹様なのでしょうか?
私のほうがお姉さまみたいじゃないですか。なんてね。瞳子はやさしく肩を抱こうとしたとき。
祐巳のロザリオに手が触れた・・・ 
  
瞳子ちゃん・・

寝言で名前を呼ばれた、なぜか・突然・心臓が爆発しそうなほど高鳴った。




シャラン 



その輝きに心臓が一瞬止まりかけた



 祐巳様の胸元からロザリオが流れるように(瞳子にはストップモーションの様に見えた)落ちる、とてもシンプルに見えるが、その重み、その思い、その歴史、どれをとっても何事にも変えられない世界で一つだけの宝石、そして、祐巳様の心、そのロザリオが、今、月の明かりを浴び、そして月の反射光と共に瞳子の眼前に現れた。



わたしはその輝きに心臓が高鳴り、破裂しそうになった



 綺麗だった  美しかった  大げさだが、世界の醜い部分だって全部浄化してしまうがごときの眩さだと、私は思った。
 ふと、月の光に照らされた私の耳に言葉が、いえ、心、そのものに、デジャブーのように言葉が流れ込んできた。
 

『瞳子ちゃん、私じゃ、だめ?』
   同情とか そんなもの関係ない ただ あなたが好き あなたの不安のすべてを分かち合いたい
   あなたのささえに わたしは できたら なりたい・・・ ねえ 瞳子ちゃん
   わたしじゃ いやかな? でも・・ でも・・ わたしは・・・


『 申し訳ありませんが私はセーラのようないい子じゃないんです・・・ 』


祐巳様を膝に抱えた私の瞳からはとめどなく熱いものが流れ出した、祐巳様の申し出を断った自分と、
なぜ、こんなにも私を思っていてくれる人を、 なぜ、 私は拒んだの!! なんて罪深く愚かな行為をしたの?
「祐巳様・・・ ゆ・祐巳様・・・ ごめんなさい  瞳子を思ってくれてあり・が・とうござい・ます。」

瞳子の涙は月明かりに照らされ、まるで、というか、月そのものと言っても良いほどに輝いていた。






    1時間30前

なんだかんだで、『大掃除2次会』を終えた一行は帰路に着く。バス停に歩きながら・
「そういえば、可南子ちゃんは何処行ったのかしら?よく考えたら、途中から居なかったようだけど。」
「ああ、何か、用事があるとか言ってました、なので、たぶん途中で帰ったのかも・・・」
 少し、顔が暗くなる祐巳
2人でバス停近くまで来たとき思い出したように祐巳が叫んだ。

「うああ〜 お、お姉さま!!すみません!私、薔薇の館に忘れ物をしました!!」
「『うああ〜』って!! びっくりした!! そ、そうなの?まったくあなたって子は・・・」
「じゃあ、私も付いていってあげようかしら?」
「い、いえ、ただ忘れ物を採りに行くだけですし、バスも、もうすぐ来ますし、学校からバス停は近くですし。大丈夫です。」
祥子様も着いていくといったが、祐巳はすでに暗くなっていたため、これは自分の不注意なので丁重にお断りした。
少しでも祥子様の迷惑にはなりたくなかったためもある。
少し不満気味な祥子様だったが、少し嬉しかった、今までとても頼りなさそうな祐巳が今は自らしっかりと行動しようとしている、なので、寂しい気持ちは在るが、その気持ちを組むことにした。なんか親心?

「解ったわ、でも、とりあえず、貴方はただでさえオッチョコチョイの見本みたいな子なんだから、気をつけなさいね!!」
「お、お姉さま・・・ 見本って・・・ 」


なんとなく、お姉さまの言葉に納得がいかないまま、それでも祐巳は忘れ物の回収に薔薇の館に向かった。

同じ頃

「迂闊でしたわ、こんな日に、よりによって薔薇の館に忘れ物をするなんて・・・」
瞳子はしぶしぶ、薔薇の館に足を向けた。

  続く・・・









    〜〜〜〜〜〜


「何となく、て、いうか絶対、祐巳ちゃんと瞳子ちゃんが何処にいるか、皆様にバレバレだよね?」
「うう〜〜!! 令!! 黙りなさい!! ただでさえ終盤の内容にイラついてるのに!!」
「さ・祥子、でも・・・ 貴方の態度は大人だったよ、とっても立派!! ね?」
「ゆ、祐巳が、祐巳が、私の申し出を断るなんて・・・ああ~~ 祐巳!!ゆみい〜〜 」 ぶつぶつ・・・
「ま、まあ、ね、祥子、祐巳ちゃんも姉離れしつつあるってことで・・・ ね?」
「その言葉、貴方にそのまま返すわ!!」 ギロ!!

「ふん!! こうなったら腹いせに、由乃ちゃんにあることないこと色々言うしかないわね!!」
「うええ〜〜 私じゃなく、作者のせいでしょ!! なんでよ〜〜 」令様涙目
「い・い・の・よ・ 腹いせなんだから♪」
「ちょっ、マジでやめて!! ホントごめんなさい、やめて・・・ ホント・祥子様・・・」


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