「祐巳さ〜ん!」
「あ、桂さん。どうしたの、走ってきて。ダメだよリリアンの校内では優雅でないと」
「はーい!で、OVA第3期決定したんだよね?」
「あ、うん。今日もこれから撮影だよ、もうクタクタ」
「いいなぁ。それで私の出番いつかな?
いまからわくわくしちゃうなぁ。」
「あ、うん・・・いつだろうね・・・」
「前回は真美さんに取られちゃったけど、今度は負けないんだから!」
意気込んでるところ悪いんだけど、今回は『小羊たちの休暇』からだから全く出番無いんだよ。
もし『薔薇のミルフィーユ』まで進んでも蔦子さんが名前を出してくれるだけだし・・・。
「ご、ごめんね桂さん、これから軽井沢で撮影なんだ。急がなくちゃ」
「あ、呼び止めて、ごめんごめん。頑張ってね。私も待ってるから」
あ、壁の向こうで美冬さまがこっちを見てる。ごめんね、桂さんは『並薔薇さま』向こう側の人なんだよね。
「あの、祐巳さまご相談があるのですが」
「どうしたの?可南子ちゃん」
「最近、妙な視線を感じるんです。
振り向くとリリアンの制服着た、ショートカットとツーテールのお二人の姿が・・・」
あぁ、桂さんと美冬さまが可南子ちゃんを呼んでるのか・・・。
二人には悪いんだけど、可南子ちゃんは蔦子さんポジションなんだけどなぁ。
「大丈夫。可南子ちゃんは『並薔薇のつぼみ』じゃないから、自信持って」
「は、はぁ・・・」
可南子ちゃんは『籠薔薇さま』なんだから。