【1059】 まぶしい物語が始まる2人きりで  (OZ 2006-01-29 00:49:44)


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私の頬にとても暖かいものが、伝った。

瞳子ちゃん・・・なんで泣いているの? 何で?・・・ 

なんか・・私が迷惑を掛けちゃっているのに、何で? 泣いているの?

お願い・・・ おねがい・・・ なかないで・・・ 私は・・・ 笑顔の彼方が・・ 好きなの・・・

瞳子ちゃん・・・



1時間前

「おっかしいな〜〜? 確かに1階の物置に体操着の袋を置いたんだけれども・・・ ないよ〜〜 どこよ〜〜 」
祐巳は月明かりの中、半泣きの中、自分の荷物を探していた。
 電気を付ければいいと、普通、皆様は御思いだが、そこはそこ、勉強は出来なくても気真面目な祐巳ちゃん、学園の消灯時間があるため、月明かりの中でもぞもぞそとしている。
お姉様である祥子様にも無様な姿を晒したくないのも在った。

「うう〜〜 どこよ〜〜 暗いよ〜〜 怖いよ〜〜 」すでに涙目
 ガタ!!
 月明かりに大きな、とても大きな影が躍り出た!!
「ウピャ〜!!」祐巳はまるで漫画のキャラクターのように飛び上がり。
「ごめんなさい!!ごめんなさい!! 間食のお菓子はもう止めます!! 大入道(だいだらぼっち)様、南無網!!なむあみ!! うう〜〜 」ぶるぶる

「ゆ、祐巳様、私です可南子です!!」
「え?か、可南子ちゃん??」
「そうですよ!? 大入道なんて、ちょっと傷つきました!!」ぷいっとそっぽを向く。
「ご、ごめんね、ホント、あの、その・・・」
「ふふ、冗談です、別にいいですよ。」
ふにゅっと笑顔になる

「ところで、可南子ちゃんはどうしたの?」
「たぶん、祐巳様と同じで忘れ物を採りに来ました。」
「あは! じゃあ一緒に探そう? ね?」

ガサゴソガサゴソ

「あ、あの、祐巳様?」ガサゴソ・・
「ん〜〜 なに〜〜 ?」ガサガサゴソゴソ・・・
「も、もし、私が祐巳様の、あ、あの、もしもですよ、そ、その、妹にして下さいと言ったら、ど、どうします?」

  ・・・

「私の妹になりたい?」
「え、うじゃ!! そんなんじゃなっくって、えっと、その、瞳子さんは、その、ええ!瞳子さんは・・・祐巳様の、えと、・・・」
「可南子ちゃんは、私の妹になりたくなくて、瞳子ちゃんを推薦するっ と? 可南子ちゃんは、そんな、気はないって・・・」

う、うええ〜 ち!! 違うんです!! なりたい!! い、いや、 その、でも違うんです!! 
  あ、あの、祐巳、祐巳さま、瞳子は、瞳子は・・・

「瞳子さんは良い子です!! 本当に、良い子です!! たぶん・・・」
 今までに無い様な、激しい声で叫んだ!!

 瞳子さんの心を晴天するには祐巳様しかないと思った、悔しいけど、あと、嫉妬してるんだけど・・・

「はっきり言いなさい!! ・・・ お願い・・・ お願いよ・・ 可南子ちゃん、きちんと言って・・・ 正直、私、瞳子ちゃんの気持ちも、可南子ちゃんの気持ちも解んないよ・・・ ほんとに・・・解んないよ・・・ 」
その言葉を聴いた途端、

ドキドキ!!  そして だんだんムカムカ!!・・・(瞳子さんに、特に、祐巳様に・・・)

「では!! はっきり言わせて頂きます!!」 可南子は強く言い放った。
「祐巳様は瞳子さんが好きですね!?」
「は? へ? ええ? 」
「好きですね!?」
「は、はい!!? 好きです。」
 「よ、宜しいです。」
「あ、有り難うございます」

「そして、私は、祐巳様が好きです!!」
「あ、有り難う。」

「そして、私、可南子は、瞳子さんが大好きです。そ、そのごめんなさい!!」

可南子は静かに、でも顔を真っ赤にし、薔薇の館を去った、でも、去り際にぼそっと・・・

瞳子さん、ほんとに彼方がうらやましい。 


瞳子は薔薇の館、その外にいた、月の光を浴びながら、そして色々聞こえていた。
「ほんとに馬鹿なんですから、そして・・・御節介なんだから・・・可南子さんは・・・」
何か複雑な顔をしつつ、薔薇の館の倉庫の前をいったりきたり、
意を決し、倉庫に入った。
「祐巳様・・・」
「瞳子ちゃん・・・」

ギギ〜〜ッ バタン    カチャ

「祐巳様、何をなさっているのですか?」
「あ、あはは、忘れ物、体操着、探しているの。ちょっと置き忘れちゃって ・・・ 瞳子ちゃんはどうしたの?」
「き、奇遇ですわね、私も、です。」

「ウフ、一緒だね、瞳子ちゃん。」
「い、一緒ですわね・・・」ポ
「で? あった?」
「いまだ、発見ならず、です。」
「じゃ、とりあえず、帰ろうか、また明日探せばいいんだし、ね?」
「うん、そうですわね・・・」
ロザリオの授受の事もあり、何かよそよそしい2人。

ドアノブに手をかざした祐巳は・・・あれ?
「どうしました?祐巳様?」
「あかない・・・」

「  へ ?  」


続く

〜〜〜〜〜〜〜



「ああ祐巳!!私が一緒ならびっくりなんてないのに・・・」
「祥子、いい加減にしなよ、祐巳ちゃんだってもう大人なんだから。
「令、何言ってるの!! 祐巳は!! 祐巳はいつまでたっても、そう、永遠の処女(私にとって)なのよ!!」
(逆ピーターパンかよ!!)
「で、でも、それはおかしいんじゃ・・・」
「うるさい!!お黙りなさい!!」
突っ込み無視かい・・・

「瞳子ちゃん、逃げたほうがいいかも・・・」



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