【1066】 五・七・五をやってみた  (柊雅史 2006-01-31 02:31:06)


 銀杏の葉 二人で踏んだ 帰り道     ――詠み人・松平瞳子

 帰り道 寒くてそっと 身を寄せる    ――詠み人・福沢祐巳

 身を寄せる あなたの頬は 紅葉のよう  ――詠み人・松平瞳子

 紅葉のよう? 瞳子ちゃんのも 同じだよ ――詠み人・福沢祐巳

 同じだよ? わたくしはただ 寒いだけ  ――詠み人・松平瞳子

 寒いだけ? それじゃあ手でも 繋ごうか ――詠み人・福沢祐巳



「……祐巳さま、もはや全然俳句になってないと思いますが……?」
「んー、まぁ良いじゃない。細かいことは気にしない、気にしない」
「……まぁ、祐巳さまに風流を期待するほど、瞳子は愚かではありませんけど……」
「むー、私だってその気になれば、ちゃんとしたの詠めるってば」
「では、その気になってくださいませ」
「良いよ。んーと……」




 帰り道 手には紅葉と あなたの手    ――詠み人・福沢祐巳





 繋いだ手を振り解く歌を、瞳子は最後まで口に出来ませんでしたとさ。


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