薔薇の館に一人の少女が立てこもていた
彼女の名前は福沢祐巳。紅薔薇のつぼみと呼ばれる少女である
「私は取り返しのつかないことをしてしまったんです」
「祐巳!?あなたいったい何をしたっていうの?」
今は彼女の姉である小笠原祥子さまがビスケット扉越しで説得にあたっている。
「お姉さま・・・私は・・・私は・・・」
「祐巳、落ち着きなさい」
「私は・・・人を殺してしまいました」
「えっ!?」
さすがに今の言葉は、ドア越しに聞いていた全員の顔がこわばった
「やさしい人だったんです。とらわれたお姫様を救うために、亀みたいな大王に立ち向かうような正義感の強いおじさまだったのに・・・」
「ゆ・・・祐巳・・・それじゃぁ本当に殺人なんて馬鹿な真似をしてしまったの?」
祥子様は、何かの間違いじゃないんだろうかというような感じの顔をしていた
由乃さまと令さまは顔面蒼白で今にも倒れそうだ
志摩子さんはというと
「祐巳さん。何か理由があるの?その殿方に脅されていたとか」
「そうじゃないの・・・私が一方的に悪いのよ・・・私があの方を・・・私があの方を殺してしまったんです・・・しかも3回」
「なんてことを・・・」
「それだけじゃないの・・・その殺してしまった場所が全部一緒なの・・・最初の穴に落っこちて・・・」
祐巳さまの声がどんどん弱弱しくなっていく
っていうかなんか変な気が
「祐巳・・・今から自首しましょ」
「そうよ、祐巳さん。多分許してくれるわよ」
祥子様と志摩子さんの説得が続く
「そんなの無理よ・・・私は3人も殺してしまったんだもの。死刑よ・・・そうよ。死刑確定だわ!」
祐巳さまが半ばやけになりながら叫ぶ
というよりも私にはこの事件の謎が少しわかってしまった。
「祐巳さま・・・もしかして、その殺してしまった男性は赤い帽子してます?」
「えっ!?何で知ってるの?あぁ・・・テレビか・・・もう私指名手配されてるんだね・・・」
「その帽子にMとかかいてありますよね」
「乃梨子ちゃんテレビ見たんでしょ?そうよ。Mって書いてあったわよ」
私は確信した。任○堂でおなじみのあのおじさまだろう。
世界中で一番その命を散らしているあのおじさまだろう。
そんなことを思いながら紅馬鹿姉妹のコントを見ていた
「祐巳!大丈夫よ。たとえ世界を敵に回しても私だけはあなたの味方でいるから!」
「お姉さま!」
その瞬間にビスケット扉が開いてお互いに抱きついた
「「ひしっ!」」
おそらく他の場面だったら感動だったのだろう。
それにしてもリリアンのお嬢様方はゲームも知らないのか・・・
「私、とんでもないところに来ちゃったかも・・・」
そんなことをつぶやきながらこの場を後にした。
この後、祐巳さまが自首したとかしないとか。