がちゃSレイニーシリーズです。
このお話は風さんが書いた「【No:999】真剣勝負は愛のままにわがままに」の続きで
このお話は琴吹が書いた「【No:1174】貴女の側にいる」の間に入るお話としてかかれています。
令さまに紅茶を入れた後、結局私はすぐに家に帰ることにした。
今日はなんか気が抜けちゃって、何にもする気が起きなかったからだ。
家に帰って、ご飯を食べて、お風呂に入っても、何にもする気が湧かなくて、ベッドの上でぼんやりと漫画本を眺めていた。
そんな風に時間を無駄に使っていると、居間の方で電話の鳴る音がした。
いつものように菫子さんのお友達からだろうなと思っていると、今日は思いがけず、菫子さんから声がかかった。
「リコー電話だよ。細川さんから」
「細川さん?……可南子さんか」
何だろう? 可南子さんがうちにかけてくるなんて事は無かったから。全く用件が想像がつかず首をかしげる。
「ごきげんよう」
「こんばんは」
何となく家にいるときまでリリアンの流の挨拶を引きずりたくなくて、私は普通にそう返した。
「珍しいね、どうしたの?」
「別に明日でもいいと思ったんだけど、一応報告しておこうと思って。一番の被害者に」
「なんかあったの?」
ずいぶんと遠回しな言いように、少し身構える。
「たいしたことじゃないんだけどね」
そういった可南子さんの声はどことなく暖かく、電話の向こうで笑っているんだなというのが、何となくわかった。
「紅の十字架がドリルに巻き付いたわ」
「は?」
「いいたいのはそれだけ。お疲れ様。白薔薇のつぼみ」
「え? ちょっと可南子さん!」
可南子さんがなにをいいたいのか、理解ができず、電話にあわてて問い返すが、電話はツーツーと硬質的な音を返すだけだった。
えっと、何が言いたかったんだろう? 私は首をかしげながら、鳴いている受話器を元の位置に返した。