がちゃSレイニーシリーズです。
このお話は風さんが書いた「【No:999】真剣勝負は愛のままにわがままに」の続きで
このお話は琴吹が書いた「【No:1174】貴女の側にいる」の間に入るお話としてかかれています。
私は祈っていた。
あの二人が姉妹になれるように。
そして、乃梨子がその二人を見て微笑んでいられるように。
気がつけば辺りは真っ暗になっていた。
どれくらい、長い間、祈り続けていただろうか。
私は大きく息をついて立ち上がった。
マリア様にこの祈りは届いただろうか?
あの二人が姉妹になれるようにと、願う祈りは。
何処かへ飛び出してしまった瞳子ちゃん。それを追いかけた祐巳さん。
その後リリアンに帰ってきたのは祐巳さんだけ。
瞳子ちゃんを捕まえることはできなかったのだろう。
私たちの介入は正しい物だったのだろうか。
もっとうまくやることはできなかったのか。
ぐるぐると回る思考の迷路に閉じこめられる。
ため息ばかりが口からこぼれる。
腕時計を見ると、もうかなり遅い時間になっている。
私は椅子の上に置いた鞄を手に取ると、帰る支度を始めた。
「志摩子!」
校門を通りすぎた直後に、声をかけられた。
その声は、懐かしい声。そして、嬉しい声。
「お姉さま! どうしたんですか?」
久し振りに逢えたのが嬉しくて、私はお姉さまに駆け寄った。
「さっき、授業が終わったところなの。もしかして、志摩子がいるんじゃないかなと思って、何となく待ってたんだ。せっかくだから、どっか寄っていこうよ」
その言葉は、私にとって魅力的だったのだが、私はハイとは言えず、困った顔を浮かべた。
「お姉さま………」
「まあ、志摩子の言いたい気持ちもわかるけど、今日はつきあいなさい。偶然でくわした卒業したお姉さまに付き合って怒られることないから。いくよ。志摩子」
お姉さまは、そう言うと、直ぐにバス停の方へ歩いていった。