一応クロスモノです。
アニメを文章化したため、シーン分割されてます。ちょっと読みにくいです。
1
祐巳は走っていた。隣で祐麒も走っている。
「祐巳」
祐麒が呼ぶ。その視線をたどると、反対側を乃梨子ちゃんが走っている。
乃梨子ちゃんが祐巳を見る。
祐巳は目で答える。
三人が着いた場所は、海鳴臨海公園。
時間は早朝、六時前。
「ここならいいね、出てきて志摩子さん」
風が吹き渡る。
スカートが風になびく。
祐巳は振りかえった。
「Size Form」
志摩子さんは立っていた。
街路灯の上に。
黒い防護服に真紅のベルト、黒い長柄の杖…「閃光の戦斧」バルディッシュをを構えている。
「志摩子さん、もうやめよう。あんなやつの言う事もう聞いちゃ駄目だよ。
このままじゃ不幸になるばっかりじゃないか。
だから志摩子さん!」
呼びかける乃梨子ちゃん。
しかし。
志摩子さんは首を横に振った。
「だけど……それでも私は……あの人の…だから」
その答えは予想していた。
祐巳はなにも言わずに白い防護服に身を包み、紅と白金の杖・レイジングハートを手にした。
「ただ捨てればいいってわけじゃないよ。
逃げればいいってわけじゃもっとない。
きっかけはきっとジュエルシード。
だから賭けよう、お互いが持ってる全部のジュエルシードを。
それからだよ、全部それから。
私達のすべてはまだ始まってもいない。
だから本当の自分を始めるために。
始めよう、最初で最後の本気の勝負」
バルディッシュを持ちなおす志摩子さん。
「私は……優しいあの人が大好きだから」
2
時空管理局のL級艦船アースラ内。
「戦闘開始みたいですね」
「ああ」
「しかしちょっと珍しいですね。
優お兄さまがこういうギャンブルを許可するなんて」
「まあ、祐巳ちゃんが勝つに越したことはないけど。
あの2人の勝負自体は、どちらに転んでもあまり関係ないから」
「祐巳さまが戦闘で時間を稼いでくれてるうちに志摩子さまの帰還先追跡の準備をしておく、ですね」
「頼りにしてるんだからね、逃がさないでくれよ、瞳子」
「はい、おまかせ、あれ。
……でもあの事、祐巳さまに伝えなくていいのですか。
あの事故のこと……」
「勝ってくれることに越した事は無いが……
いまは祐巳ちゃんを迷わせたくない」
3
すれ違いざまにぶつかり合う杖と杖。
そのまま二人とも距離をとる。
「Photon lancer」
光弾を浮かべる志摩子さん。
「Divine shooter」
それを見て慌てて祐巳も魔力球を用意する。
「ファイア!」
高速直射型の光弾が祐巳めがけて飛来する。
「シュート!」
誘導操作型の魔力球が志摩子さんに放たれる。
直射型のフォトンランサーは祐巳がかろうじて避け、それで終わり。
誘導操作型のディバインシューターは逃げても追いかけてくる。
しかし志摩子さんは強引に戦斧で切り払うと、そのまま高機動で突っ込んできた。
「Round shield」
慌てて防御呪文を発動、受け止める祐巳。
術者の機動力では祐巳は到底志摩子さんには敵わない。
その差がそのまま2人の使用する呪文、戦術に反映されている。
高速直射型魔法で牽制し、高速機動を以って自ら切り込む志摩子さん。
誘導操作型魔法で相手の機動を制限し、柏木執務官をして「なんつう馬鹿魔力」と呆れさせた膨大な魔力で相手の防御ごと撃ち抜く祐巳。
現時点で志摩子さんの機動を制限できてない祐巳だが、それも想定の範囲内。
「ンッ?」
隠しておいた魔力球が背面を襲おうとしているのを直前に察知し、とっさに距離をとる志摩子さん。
今のところ、2人の戦いは互角といったところか。
4
初めてあった時は魔力が強いだけの素人だったのに
もう違う
重くて強い
迷ってたら、やられる
志摩子は全力で巨大な魔法陣を展開した。
5
展開された魔法陣を見て乃梨子ちゃんが叫ぶ。
「ライトニングバインド!
まずい、志摩子さんは本気だ!」
電撃の手錠に捕われた祐巳を見て祐麒も叫ぶ。
「祐巳!今サポートを!」
「駄目!
乃梨子ちゃんも祐麒も手出さないで!
全力全開の一騎討ちだから!
私と志摩子さんの勝負だから!」
「でも志摩子さんのそれは本当にまずいんだよ!」
「平気!」
祐巳は既に魔法の発動は終えている。
志摩子さんは今準備している魔法を絶対命中させるためバインドしたようだが、祐巳にとっては最初からぶち破る予定の壁の一枚でしかなかった。
6
「フォトンランサー・ファランクスシフト」
志摩子の周りに光球が浮かぶ。全部で38。
「打ち砕け。ファイア!」