【1431】 壁に耳あり傍若無人  (クゥ〜 2006-05-01 21:47:32)


【五歳】三つ目。勢いだけで進んでいます。誤字脱字注意!!
                         『クゥ〜』



 「み……見てしまった」
 ひっそりマリア像の裏で、自称写真部エース、武嶋蔦子は脅えていた。
 昨日、蔦子のクラスに転向してきた五歳児の祐巳ちゃん。蔦子は祐巳ちゃんの笑顔に引かれ朝早くからこのマリア像に潜伏していたのだが、そこになんと一年憧れの紅薔薇の蕾こと小笠原祥子さまが現れ、彼女のタイを直しただけでなく祐巳ちゃんを薔薇の館に誘ったのだ。
 だが、それは問題ではない。
 問題なのは、走り去っていくときに祐巳ちゃんが見せた笑いだ。
 その笑いは、昨日、一日中クラスの皆に見せていた笑顔ではなく。まるで悪代官のごとき笑いだった。
 あれは蔦子が見た幻か、それとも……すべての真実はこのカメラの中にあるはずだ。
 「現像すれば、あの子の一面が見れるかも……」
 だが、それが蔦子が本能で感じたとおりなら、相手が五歳児とはいえとても危険だ。
 なにせ相手は天才。だが、危険なくしていい写真は撮れない。
 蔦子は賭けに出ることにした。
 

 「祐巳ちゃん」
 「?、なにつたこおねえちゃん」
 「うっ!!」
 つたこおねえちゃんつたこおねえちゃんつたこおねえちゃん。
 「くっ!!」
 祐巳ちゃんの誘惑に負けないように蔦子は意識を集中する。
 「あのね、少しお話があるのだけど、いいかな?」
 「うん!!」
 蔦子はクラス中及び廊下に居座る祐巳ちゃん保護者会の皆さまの冷たい視線を感じながら、祐巳ちゃんの手をとる。
 しかし、桃組で祐巳ちゃんを独り占めしている志摩子さんがその行為を許すはずはなかった。
 「蔦子さん!!」
 パッシィィィ!!!
 志摩子さんの平手が祐巳を握った蔦子の手を叩く。この行為には流石にクラス全体が驚いてしまう。
 「し、志摩子さん?」
 「あっ、ご、ごめんなさい!!」
 志摩子もやりすぎたことに気がついて慌てて謝る。そんな中、祐巳ちゃんは叩かれた蔦子の手をそっと取り。
 「つたこおねえちゃん、いたかった?」と上目づかいで蔦子を見る。
 「えっ、う、うん」
 蔦子はその祐巳ちゃんの心配そうな顔に顔を赤らめながら答えると。
 「いたいのいたいの、とんでいけー」
 「いたいのいたいの、とんでいけー」
 と、お呪いをかけ。
 「まだ、いたい?」と再び上目づかいで蔦子を見た。
 「あっ!!あぁぁぁぁぁ!!もう、痛くないよ。祐巳ちゃん!!!」
 蔦子は笑顔で祐巳ちゃんを見る。
 「それじゃぁ、つたこおねえちゃん。おはなしにいこう!!」
 祐巳ちゃんは蔦子の手を取り教室を出ようとするが立ち止まる。
 「つたこおねえちゃん?」
 「ううん、いいのよ。もう……こんな祐巳ちゃんの写真なんて意味ないもの〜!!」
 「「「「…………」」」」」
 蔦子は隠し撮りした写真をその場でビリビリと破り捨てた。
 「「「「「なにすんのよ!!あんたは!!!!!!」」」」
 その蔦子の行動に気がついた、志摩子さんやクラスメイトアンド祐巳ちゃん保護者会の皆さまからの襲撃に蔦子の体は消えていく。
 「あぁぁ、それでも幸せ〜」
 それが蔦子の最後の意識だった。


 「危ない危ない、あんなところで隠し撮りなんて、でも、ネガ回収終了っと」
 祐巳ちゃんはいつの間にか蔦子から掠め取ったネガと不適に笑う祐巳の写真を、誰にも分からないようにそっと処分した。




              逃げときながら、第三弾。これでいいのかと思いつつ、わがままに書いていたりする、節操なし!!
                  『クゥ〜』


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