【五歳】四弾。ネタがないといいつつ書いていく。それはネタがで〜き〜た〜か〜ら〜〜〜。まぁ、単純に思いつきですが。
『クゥ〜』
昨日転校してきた五歳児の高校生。それだけでもネタになるのに、さらに薔薇の館の住人たちが何か策謀をめぐらしているようだ。
その情報を聞いたとき、新聞部部長―築山三奈子は笑った。
「オホホホ!!!」
「本当に笑うことはないのですよ。お姉さま」
三奈子の姉妹、山口真美が鋭く突っ込みを入れる。
今、二人はそろって薔薇の館の前の茂みに隠れていた。
「もう、ノリの悪い子ね。いい?今、話題騒然の祐巳ちゃんを薔薇の館の住人が狙っている。しかも、同じクラスの白薔薇の蕾は祐巳ちゃんのお姉さまのようにクラスで振る舞い。また、今朝は紅薔薇の蕾が彼女を薔薇の館に招待したという話まであるのよ」
そう、だがその情報がどこから流れてきたか分からないのが真美の不安材料だった。
「しかも、薔薇さま方まで何か動いているらしいし、これは大スクープなのよ。これで、紅薔薇の蕾が祐巳ちゃんと姉妹の儀式をして御覧なさい。史上最年少の薔薇さま誕生までつながってしまう」
「はいはい、だからこうして隠れているのでしょう?」
「そうよ、だから静かにしなさい」
「しずかにしてどうするの?おねえちゃんたち」
「えっ?」
「へっ?」
突然後ろから聞こえた声に、美奈子と真美は振り向く。そこにはターゲットである祐巳ちゃんがいた。
「ごきげんよう。おねえちゃん!!」
祐巳ちゃんは満面の笑顔で二人に挨拶する。
「ご、ごきげんよう」
「ごきげんよう。祐巳ちゃん」
「あ〜、おねえちゃんたち、ゆみのなまえしっているんだぁ。おねえちゃんたちのなまえもおしえてよ〜」
「えっ?私たちの名?」
三奈子の言葉に、ブッンと頭を下に下げる。頷いたのだろうが、お凸でも打たないか、三奈子たちのほうが心配になる。
「私は三奈子。そして、この子が真美」
「みなこおねえちゃんにまみおねえちゃん!!」
みなこおねえちゃんみなこおねえちゃんみなこおねえちゃん。
まみおねえちゃんまみおねえちゃんまみおねえちゃん。
「ゆみちゃ〜ん『ゴッス!!』」
祐巳ちゃんに抱きつこうとした三奈子の腹部を、真美のアッパーが直撃する。
「わぁ〜、いたそう。だいじょうぶ?みなこおねえちゃん」
「大丈夫よ、祐巳ちゃん。その人のしぶとさは薔薇の館が保障してくれるわ」
「そうなんだぁ、すごいねぇ。それで、おねえちゃんたちはなにしていたの?」
「えっ、それは」
「ええと」
祐巳ちゃんの質問にどうしたものか戸惑う美奈子と真美。
「あっ!かくれんぼだ!!」
「う、うん。そうかくれんぼしているのよ」
「そうそう」
「ゆみもやりた〜い!!」
「「えっ?」」
祐巳の言葉に困ってしまうが、ここで誤魔化す手は一つ。
「そ、そうね。いいわよね真美」
「仕方ありません」
「わ〜い、それじゃぁ、ゆみ、かくれるね!!」
「あっ!祐巳ちゃん!!」
祐巳ちゃんは真美の手からスルッと抜け出し、薔薇の館のほうに走っていく。
「あっ、祐巳!!こんなところにいたのね」
「祐巳ちゃん!!」
そこに祥子さんと志摩子さんが祐巳ちゃんを見つけ飛んでくる。
「あれほど教室で待っていなさいと言ったのに」
「そうよ、心配したのだから」
「ごめんなさい」
二人に怒られ祐巳ちゃんはしゅんとしてしまう。祐巳ちゃんにはかわいそうだが良い記事になりそうだ。
「みなこおねえちゃんと、まみおねえちゃんとかくれんぼしていたの」
祐巳ちゃんは怒られたことに泣きそうになりながら呟いた。
「みなこ?」
「まみ?」
「……三奈子さん?」
「……真美さん?」
「うん、あそこにいるの」
祐巳ちゃんが真っ直ぐに三奈子たちの隠れている茂みを指差す。
「そう、そうなのね」
「分かりました。祐巳ちゃんはそこにいてね」
志摩子さんが極上の笑顔で祐巳ちゃんにお願いする、そして、ゆっくりと三奈子たちに向けた顔は……。
「まったく、余計な時間を」
「本当です」
祥子さんと志摩子さんは祐巳ちゃんを連れ薔薇の館へと消えていく。
祐巳は、茂みから出ている手足に向かってバイバイをしていた。
「これで写真部、新聞部の報道を完全撃破と、後は……」
祐巳ちゃんは薔薇の館を見上げる。
「さぁ、いこうよ!!さちこおねえさま!!しまこおねえちゃん!!」
祐巳が五歳児なのに黒を超えて、邪悪に成っていく。
本当にこれからどうしましょう?薔薇の館だとあの方々だから普通に終わらないですよねぇ……本気で困った。四連終了です。
『クゥ〜』