【148】 エクセレントの三賢者  (joker 2005-07-03 20:10:37)


 私は賢者蓉子。三賢者(通称Magi)のうちの一人、赤の賢者(マギ・キネンシス)…のはずなんだけど……。
「ご注文は何にいたしますか?」
「私はコーヒーとサンドイッチのセットを。」
「俺はキャベツ・キム・カツ・カムを一つ。」
「かしこまりました。ご注文を確認いたします。コーヒーとサンドイッチセットを一つ、キャベツ・キム・カツ・カムを一つ。ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
「あ、追加でウォッカも。」
「かしこまりました。それでは、少々お待ち下さい。」

 今、私は料理店でウェイトレスという名のメイドをやっている。(詳しくはNo.127)
 メイドというだけあって、給仕だけでなく、店の掃除やしこみの手伝いなど、とても忙しい。だが、店に来る客は、軍人が多いが、皆、紳士的で礼儀正しく、セクハラなどは一切起きていない。例外を除いて。
「ごっきげんよう、蓉子。仕事してる?」
 その例外がちょうどやって来た。
「いやぁ、さすがにいいねぇ。蓉子のメイド姿。何度見ても飽きない。」
「…お客様、ご注文はいかがいたしますか?」
 ところが聖は、何も言わず、じっと私を見続ける。
「な、何よ。」
「私は、蓉子が欲しい。」
 一瞬、店の空気がこわばる。
「…お客様。冷やかしならお引き取り下さい。」
 そう言って私は聖の耳をひっ掴み、そのまま店の外に出そうとする。
「イタタタッ!ごめん!蓉子。もうしないから。ホント!」
 聖の懇願に一応許してやった。
「じゃあ、私はマスタードタラモサンドのセットね。」
「…かしこまりました。少々お待ち下さい。」
 注文をとって聖から離れようとする。この時、私は完全に油断していた。さっき怒ったばかりだったので、もうしないだろうと思っていた。
「そーれ、スカートめくり〜。」

 さて、ここで博識。下着というものは、まだこの時代に出来ておらず、したがって……

一気に重くなる店内の空気。
スカートを押さえて座り込む蓉子。
その状況に何かを察した客達が逃げ始める。聖も逃げようとするが、足を掴まれてしまう。
「よ、蓉子?」
「何で……」
蓉子の顔がゆっくりと上がる。
「何で、こんな事ばかりするの?私をそんなに困らせたい?」
蓉子が目に涙をうかべ、聖に問う。いつのまにか、手も離されている。
「ねぇ、聖。どうなの?」
「うわー、ごめんなさ〜い。」
涙上目で迫られた聖は一目散に逃げ出した。

 聖は意外と押しに弱かった。


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