【1530】 菜々、外伝  (無糖 2006-05-25 01:41:34)


三つ編み。つり目。儚げな美少女。守ってあげたくなるタイプ。
おかっぱ。市松人形。
ドリル。

即座にドリルにまるをする。ぐるぐる。

先手必勝。いつもイケイケ青信号。内弁慶。
一見クール。実は情熱家。
ツンデレ。

少し悩んでイケイケにまる。きゅっ。

TVでスポーツ観戦。読書(剣客もの)。
仏像観賞。
演劇?

ペンをくるりと回した後に仏像観賞へまる。
むぅ……さすが天下の山百合会、なんて思いつつ始業式前日の夜は暮れていった。





「というわけでロザリオください。白薔薇のつぼみ」
「いや、なにが『というわけ』なのかわからないから」

始業式当日。
新しいクラスに強襲してきていきなりロザリオくださいなんて言ってきた後輩を
とりあえず人目のない所という事で薔薇の館に引っ張ってきたまではいいのだが。
(本当にどうすればいいの……)
二条乃梨子は新年度早々窮地に立たされていた。

「大体なんで私?他にいるでしょ?」

黄薔薇さまが。これを聞いていいのかどうか戸惑ったが、言外のそれを察した菜々ちゃんは
はっきりと「黄薔薇さまに何の不満もありません」と言った。

「容姿も綺麗。ロザリオも素敵。令さまともお知り合いになれますし、何より一緒にいて面白いですから」
「なら何の問題もないじゃない」
「でもそれ以上に素敵な人がいたらしょうがないと思いません?」
「えっと……それが私?」
「はいっ!」

きらきらと尊敬や敬愛といった感じの目でこっちを見つめてくる。
その……何か照れるよね。

「大雪による受験失敗」
「は?」

なんか聞き捨てならない言葉が聞こえたような。

「やむなくリリアンに入学。その雰囲気に馴染めないと思いながらさっそく志摩子さまに堕ちる」
「……おい」
「そのせいで前薔薇さま方に目をつけられ、マリア祭で皆の前で恥ずかしい趣味を暴露」
「恥ずかしいとか言うな」
「つぼみになり山百合会へ。その後同じクラスの瞳子さまと可南子さまがお手伝いに。
犬猿の仲のお二人を挟まれながらの体育祭、文化祭発表と山百合会の演劇」
「……」
しまった。つっこみができない。ちょっと悲しくなって。
「それが終わったら茶話会で親友との板ばさみ。お手伝いに来た人たちへのフォロー」
「……」
「クリスマス会で祐巳さまと瞳子さまがもう一波乱。悶々としたまま年末を迎える。そんな一年」
「……喧嘩売ってるよね」
「どうしたらこんな面白人生が歩めるんですか?」
「面白言うな!真顔で聞くな!好きでやってるわけないでしょ!」
「そこです!」

びしっと指を立てての決めポーズ。殴っていいですか?

「自分の意思ではないのにこの面白さ。もう神に愛されているとしか思えません」
「ついに神かよ」
「黄薔薇さまといても面白いですけど、それは自分達が見つけるもの。
面白いことが向こうから寄ってくる白薔薇のつぼみにはとても勝てません」
「寄ってくるのかよ」
「ですからロザリオください」
「やるかっ!!!」

はい、と手を出してきたのをパンッとはたく。
ってこの流れで本当に渡すと思っていたのか?

「ならば仕方ありません。実力行使で……」

そこまでするかっ!
飛び掛ってくるのを避けきれず揉み合いになる。
くっさすが剣道部、力も強い。だけど……

「負けられるかーーーーー」

渾身の力で撥ね退ける。まさに火事場の馬鹿力。
たたらを踏んだ菜々ちゃんにここぞとばかりに詰め寄り押し倒す。
確実に反撃をさせないようにマウントポジションへ移行。

「ごめんね。私は平穏な日常を過ごしたいの(志摩子さんと一緒にね)」

だから渡せない。下にいる菜々ちゃんの目を見つめながら言った。この決意が伝わるように。

「あ〜でも無理みたいですよ」
扉の方を指差す菜々ちゃん。そこには黄色の般若が立っていた。

「乃梨子ちゃん、一体何をしているのかしら?」

状況判断。
〇笋菜々ちゃんを押し倒している。
倒れた際にどこか打ったのか菜々ちゃんはちょっと涙目。
Y罎濆腓辰針にロザリオは外れて右手の中に。
結論
もしかして嫌がる菜々ちゃんに無理やりロザリオ授受をしようとしている私?

「ちょっと待って、誤解……」
「問答無用!」

ブンッと竹刀を横薙ぎに振るのをかわして、その場から離脱。
本気で振り抜いてたよ、今!
完全にブチ切れている黄薔薇さまの攻撃を必死で避ける。
新年度初日からなんでこんなことに……

「さすが乃梨子さま、素晴らしいです」
「だまれ!」





その後どうなったかといえば……
「またやっかいごとですか、お姉さま」
「なんでそんなに嬉しそうなのよ……」
結局姉妹になったとかなっていないとか。


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