【1541】 結成ノリノリ子羊たち  (ROM猫 2006-05-27 00:57:19)


ROM猫です。
コメント No.9999 を踏んじゃったので、駄文ですが一筆。


「……やっと…………」
「……終っ…た………」
「……終りましたわね」

ここは瞳子の館…いや、瞳子の家の瞳子の部屋。
瞳子・可南子・乃梨子の三人は、大型プラズマTVの前でぐったりしていた。
それもその筈、前日からぶっ続けで「ある作品」を見ていたのである。
全26話、計10〜13時間程度だが、途中で休憩や食事・睡眠を挟んだ為、既に夕暮れが迫っていた。

ことの発端は、数日前から周囲で発生していた不穏な雰囲気だった。
複数の生徒がこちらを伺いながら何かを話しているのだが、どうも悪口とかでは無いらしい。
何人か問い詰めてみた結果、誰かに似てるということらしいのだが、どうにも要領を得ない。
号を煮やした乃梨子が、キーワードを元にインターネットで検索した結果、行きついたのが
その作品だったのだ。

「それにしても…お二人はともかく、私がリンですか」
「瞳子、ともかくって何よ? ……まぁ、可南子は判らなくもないけど」
「乃梨子さん? 瞳子さん? それはあんまりでは…」
「あら、アレは入学当時の可南子さんそのものではないですか?」
「うっ…」
「長身、長髪、無口で孤高、意外に素早く、気配消すのも得意…」
「うぅ……」

指を折りながら共通点を挙げる乃梨子。
それを聞いて落ちこむ可南子をよそ目に、瞳子は乃梨子の髪を弄り始める。

「と、瞳子!?」
「しばらく動かないでくださいまし」

暫くして

「……ほら、これでそっくりですわ。金髪じゃないですけど」
「う…」
「衣装と剣があれば完璧ですね」
「うぅ……」

「衣装と剣ですか……演劇部の倉庫を探せば何かあるかも…」
「ふむ…で、乃梨子さんにスポットライトを当てて…」

「「――問おう、貴方が私のマスターか」」

悪乗りする二人の言葉を背に、鏡の中の自分を睨みながら乃梨子は。
「私はあんな食いしん坊じゃないやい」と呟いた。



後日、嫌がる乃梨子に衣装を着せ行った寸劇が、演劇部員に異様なまでに受け、
リリアンかわら版を賑わしたのは、また別な話し。


一つ戻る   一つ進む