「私も混ぜて♪」
せっかく中等部の可愛い子ちゃんといいムードになっているのに邪魔するのは
誰よと振り返ってみれば、夕日に輝く。
「げっ、凸」
「誰が凸よ。私に黙ってこんな楽しそうなことしてるなんてずるい」
「いや、ずるいとか言われても。というか、何でここに居るのよ?」
「窓が開いていたから」
「……」
「相変わらず行き当たりばったりね、聖」
「うわっ。名前を呼んじゃ駄目、江利子」
「貴女も呼んでいるわよ。で、何で?」
「普通は名乗らないものでしょう? こういう時は」
「別にいいじゃない」
「はぁ」
「もっと歓迎してよ。せっかく差し入れ持って来たのに」
「差し入れ?」
「令」
江利子が妹の名を呼ぶと窓から数百キロはあろうかと言う荷物を担いだシェルパ、
もとい令が入ってきた。顔は真っ赤で汗だくだ。
「うわっ、何その荷物」
「二週間分の食料と燃料、弾薬。後は着替えに携帯トイレに……」
「ちょっと待て」
突っ込みどころがあり過ぎて少し迷った。
「弾薬って何よ?」
「じゃーん。祥子の所の私設軍隊正式装備一式よ」
楽しそうにアサルトライフル(たぶん)を構える江利子。またしても突っ込み
どころ満載。
「あなた、ここで何をするつもりよ?」
「聖の手伝いに決まってるじゃない」
「はああ?」
「人質とって篭城。ああ、わくわくするわ。で、目的は何? 三億円要求?
学園長交代? ハーレム創設? 購買部の開時間延長? ペット持込可?」
「違ーうっ」
どうして凸の台詞は突っ込みどころが多いのだろう。まさか木の葉を隠すのは
森の中とか。というか影響されて思考が変に。
(影響されるな、私)
大きく頭を振る。
(あれ?)
「どうかした?」
「人質っていうか、あの子がいない」
「ああ」
ぽんと手を打つ江利子。
「帰らせたわよ、最初に」
「なんでっ?」
「だって、聖と二人きりが良かったんだもん」
江利子はくねっと身をよじらせると聖の太ももにのの字を書いた。
「やめいっ」
聖は江利子を突き飛ばすとバリケードを崩し始めた。
「何してるの?」
「帰るのよ」
「無理だと思うな」
「どうして?」
「だって、もうリリアンの周りを自衛隊が取り囲んでるわ」
「んな馬鹿なーっ」
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ええと、その何かの続きの別バージョンではないと思うたぶん。
ぶち壊し?(逃亡)