【1592】 どりどりどり〜み〜なリコちゃんの内緒  (タイヨーカ 2006-06-07 01:36:06)


 パラレル注意。
 具体的には、紅薔薇のつぼみな彼女と、白薔薇のつぼみな彼女がゴニョゴニョです







「あぁ、一体乃梨子さんのお宅はどんな所なんでしょう!」
「もう…そんなにテンション上げないでよ、今から疲れるから…」

 言葉はちゃんと選んだ方がいいな。乃梨子は今回のことで身に沁みるように感じた。
瞳子が、お姉さまである祥子さまとの約束をドタキャンされた時の悲しみようをみたらしかたないじゃないか。
 そうは言い聞かせたが、どうもこのハイテンションを見る限り、計画的犯行なのでは?
とすら感じさせた。

 まぁ、ここまで来ておいて返すわけにもいかないしね。
 そんなこんなで、しかたなく今日は瞳子を家に泊めることにしたのだ。


「じゃ、ちょっと待ってて。菫子さんに確認とってくるから」
「はい。いくらでも待ちますわ」
 あーあ。なんでこうもハイテンションなのかなー。
と溜息をついてみるが、どうも悪い気しないのはなんでだろう。

「ただいまー   ってあれ?靴変えたの菫子さ――…」
「菫子さんならいないよー」
 あ、なんだ。いないのか。それじゃあ仕方ない……あれ?
「え、あ、あれ?」
「なに。どうしたのその変な顔」
 あんたに言われたくないよ。
え、というか、あれ?なんで人のアイス食べてんの?じゃなくて…えっと、

「乃梨子さーん。まだですのー?」
「え、あ、ちょ、ちょっとタンマ瞳子!!」
「へぇ、瞳子ちゃんって言うの。いいよー!入ってきてー」
 ば!この馬鹿は何を!
「おじゃましますー」
「入ってくるのかよ!!」
「はいはい、お上がりくださーい」
 『ソイツ』を見た瞬間、瞳子の目に明らかに不審の色が宿った。
あぁ、最悪だ。なんでいるんだコイツは。
「あの、乃梨子さん?この方は?」
「あー…説明めんどくさいから、無視しといていいよ」
「ちょ、ひどいよーノリ!お姉ちゃんそんな子に育てた覚えは」
「私もないよ!」
 ……ったく、どうしてこうもコイツは変な事を言いたがるんだろうかね…

「あの…あ、私、乃梨子さんと同じクラスの松平瞳子と申します」
「あぁ、どうもどうも。いつもノリが世話かけてるね」
「かけてねーよ」
 私の言葉を無視するように、ソイツは瞳子に気さくに片手を上げた。
「私、ノリの姉の二条祐巳。まぁよろしくよろしく」

 本当に、最悪だ。



「あははは!おもしろいね瞳子ちゃんは!」
「いやですわ祐巳さま。祐巳さまの方こそ!」
 で、なんか私はのけ者なわけで。なんだろう、このやるせない気持ちは。
「えーっと、あれでしょ。ノリって確か、リリアンで……えーっと…ロサ、ロサ…」
「ロサ・ギガンティア・アン・ブゥトンですわ。よく知ってますね」
「だって祐巳姉ぇも受けるはずだったもんねー、リリアン」
 あははは。と笑い転げていた祐巳姉ぇの動きがピタッと止まった。
「あら、じゃあどうして入学されてないんですの?」
「そりゃあ……」
「ノリ!ノリ!!ちょっとダッシュでアイス買ってきて!」
 命令しつつも、ほぼ強制的にサイフを握らされ、外に追い出された。
こんな仕打ちありだろうか。
「ったく…これだから祐巳姉ぇは……」

 結局、祐巳姉ぇはリリアンを受けなかった。
まぁ、姉妹だからと言うかなんというか、この人も趣味が転じて、いろいろあったのだ。
 で、結局普通の共学の高校を卒業して……して。

 ん?いや、まさかでしょ?うん。そうそう。まさかだよね。うん。


 で、結局馬鹿正直にアイスを3人分買って帰ってみると……

「いやー、瞳子ちゃんほんと可愛いね。思わずロザリオ上げたくなっちゃうよ」
 なに人の親友ナンパしてんだ。
「こ、困りますぅ。瞳子、祥子さまっていう立派なお姉さまがー」
 瞳子もなに頬を赤く染めてんだよ。
「あ、ノリお帰り。ご苦労ご苦労」
「どこのおっさんだ。瞳子、ごめんね。こんなおっさんの相手させて」
「い、いえ。別に瞳子は…」
 ちょ、おい!だからなんで頬を赤く染めてるんだ!?
「祐巳姉ぇ!瞳子になんかしたでしょ!」
「してないしてない。断じてしてない。マリアさまに誓う」
 ええい、その言葉を何度聞いたことか。
とりあえず、瞳子の肩をがっちり掴んでるその手を離せい。

「いやー、それにしてもあれだね。ノリのお姉ちゃんといい、リリアンは可愛い子が多いね」
「はぁ…なに先代の白薔薇さまみたいな事言ってるの」
 あんな人は祐巳姉ぇだけでいいって思ってたのになー。祐巳姉ぇが2人いるのか、はたまた聖さまが2人いるのか……
「先代?あぁ、佐藤さんのこと?」
「え!?知り合い?   って事はやっぱり…」
 最悪だ。嫌な予感っていうのは、とことんまで当たるもののようだ。

「あれ、言ってなかったっけ?私、リリアンの大学行ってんだ。いやー、今まで会わなかったのなんて奇跡に近いよねー」
 これは、死の宣告だろうか。
確かに奇跡だ。マリアさまのお導きだ。こんな姉と、今まで会ったことがないなんてさ。
まぁ、大学と高校の位置は微妙に違うし、当然っちゃあ当然か。

「まぁ!それじゃあ祐巳さまとは学校でも会えるんですのね!」
「うん、そうだよー瞳子ちゃん。また遊ぼうねー」
「だからなにナンパしてんだ!瞳子も紅薔薇さまに言うぞ!」
 つっこんだら、祐巳姉ぇにも瞳子にも渋い顔をされた。
 おかしい。私は正論を言っているよね?教えて仏様……

「で、つまりは祐巳姉ぇもここに泊まる。と」
「うん。いや、さすがにノリとは違う部屋だよ?」
 そんな心配してないから。
「やっぱり実家からはきついかったからね。いや、初めから菫子さんのご好意にあやかっておけばよかったねー」
 ねー。じゃなくて。くそ、菫子さんもグルか!
 まぁ、つまりはこれから先。私はいろんな事に悩まされながら生活しなきゃいけない。って事なんだ。
あぁ、いやだいやだこんな生活。早く志摩子さんに会いたいよー。

「乃梨子さん!」
「ん、どうしたの瞳子」
 まぁ、大体言いたいことはわかるけど。
「瞳子は、乃梨子さんの大ッッッッッッッッッ親友ですからね!!」
 はぁ。なんだろうか。前世に恋人同士だったのだろうか、この2人は。
 まぁ、それはそれで問題あるんだけどね。


《終われ》


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