令ちゃん。
大好きな令ちゃん。
私の声は届かなくても、この願いはきっと叶うと信じているから。
きっと、また会えると信じているから。
だから、がんばって令ちゃん。
勝って、令ちゃん。
・・・私も、本当は怖いよ。
・・でも、信じる。
15年間いっしょに頑張ってきたんだもの、私の心臓はきっと大丈夫。
私は、きっと大丈夫。
それでも・・・
ねぇ、令ちゃん。やっぱりロザリオが欲しいよ。
手術だから、首にかけるのは無理だけど。
それでも、この右手に握り締めているくらいなら許してくれるんじゃないかって思うんだ。
だから、私はそれをこの手に取り戻すよ。
もう一度あなたに会って、ロザリオを返した本当の気持ちを伝えるよ。
そして、もう一度。令ちゃんの妹になるよ。
待っていてね、令ちゃん。
私は絶対に令ちゃんの隣に戻ってくるから。
今度は、令ちゃんと並んで歩いてみせるから。
だから・・・
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鈍い痛みに目を覚ます。
ずっと眠っていたはずなのに、体が酷く疲れている事に憮然とする。理不尽な話だ。
痛み止めが効いていないのか、胸のあたりがすごく痛い。
・・・それでも、私は生きている。
夕暮れ時なのだろう。窓から差し込む柔らかな赤に照らされて、白く無機質なはずの病室の天井が、まぶしいくらいの黄色に染まる。
その色に遠く離れたあの人を重ね、私は心からの微笑みを送り、気持ちを紡ぐ。
「ただいま、令ちゃん。これからもよろしくね。」