【166】 正解は貴女の心に  (柊雅史 2005-07-06 01:45:34)


※注意※
このお話は【No:162】がちゃがちゃ江利子さま一撃入魂 の解答編になります。
まだ読んでいない方はそちらを読んだ後に読むことをオススメします、と言うよりも、そっちを読まないと意味が分からない&楽しさ半減、だと思われます。
むしろNo.162を読まずにこっちを読んではダメです、と言いたいところです……。
それでは、少々早い解答編ですが、良いタイトルが出てしまったので、ご容赦下さい。



「あー、もう、降参降参、ギブアップー!」
祐巳が淹れてあげた紅茶がすっかり冷め切ってしまった頃、ついに由乃さんが両手を挙げて降参した。
「なんで祐巳さんに分かって、私に分からないかなー。屈辱だわ」
「由乃さん、何気に酷いこと言ってるね」
由乃さんの物言いに、祐巳は苦笑する。
「だって、江利子さまの問題よ? なんで祐巳さんが分かるのよ」
「なんで、と言われても……偶然、ピンと来ただけ」
由乃さんが「もう良いから教えて」と懇願して来たので、祐巳は金庫を手に取った。
「正解は『0447』だと思うよ」
かちかちかち、と数字を合わせてレバーを動かすと、難攻不落の金庫はあっさりとその蓋を開けた。
「マジ……?」
由乃さんが渡された金庫のダイアルを確認する。
「意味わかんない。なんで0447なの?」
「来年になったら、7が入る予定でしょ?」
「――あぁ!」
祐巳の答えに由乃さんがようやく気付いたらしく、驚愕の表情で江利子さまの残した手紙を凝視した。
「その横棒、郵便番号みたいに『の』って読むみたいだね」
「で、この縦棒ごとに区切るってわけね。やられた。って言うか、くだらないー!」
キーッと髪を掻き毟る由乃さん。
最初の□には「0」でレイ。
次の□□−は、「44−」でヨシノ。
そして最後のパーツが、来年加入予定の「7」でナナ。
来年、令さまは卒業しちゃうけど、令さまが黄薔薇ファミリーであることは変わらない。これは江利子さまからの、黄薔薇ファミリーとして菜々ちゃんを歓迎するよ、っていうメッセージなんだと、祐巳は思った。
「まさか、ただの語呂合わせなんて……散々悩んだのが、バカみたいじゃない」
「クイズなんてそんなもんだよ。分かる時は分かるし、分からない時は中々分からない」
「まぁ、そうだけどさ……」
由乃さんが不満げに言いながら、金庫の中身を取り出す。
それは3対の綺麗なブレスレット。小さな金のプレートが付いていて、そこには黄色の薔薇の彫刻と、それぞれのイニシャルが刻まれている。
Rが令さま、Yが由乃さん、Nが菜々ちゃん。
「素敵な贈り物じゃない」
「手法が問題なのよ、手法が!」
憤然と言いながら、由乃さんはしばらくブレスレットを眺めてから、それを元通りに金庫に戻す。
「付けないの?」
「今は付けない。だって、江利子さまも言ってるじゃない」
ぷい、とそっぽを向いて由乃さんが言う。
「これは来年、菜々と一緒に開けるものなのよ」



ちなみに。
その後薔薇の館を訪れたメンバーの内、クイズに正解したのは乃梨子ちゃん・志摩子さんの白薔薇コンビ。祥子さまと令さまは惨敗だった。
妹と孫の苦手分野を、きっちり把握している辺り、やっぱり江利子さまは凄い人だと思う。


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