【167】 夢が実現ショッピング  (OZ 2005-07-06 02:42:30)


153の続きです。できればそちらからお願いします。


今、私と祐巳さまは公園のベンチに隣同士で座り、自販機で買ってきた紅茶を飲んでいる。
両手でカンを包み込むようにして、こくこくと紅茶を飲む姿は、なんと言うか、その、物凄く、か、かわいい… ハアハアしたが、なんとか、気も安らいだ祐巳さまにとても安心した。
しかし、私は、かなり落ち込んでいた。なぜかって? いくら、祐巳さまを助けるためとはいえ、頭にきたとはいえ、あんな人の多い駅前で、3人の男性をバックで張り倒してしまったんですもの。 幻滅されても当然ですわ。
たぶん、祐巳さまは、こんな瞳子を『なんて、乱暴な女なの、』とか、『明日のリリアン瓦版の見出しは − 鬼神ドリル!! 白昼の駅前で大暴れ!! − で決定ね。』な〜んてなことを思っているに違いないは。 ああ、私の人生は終わりました、お父様、お母様さようなら・・・
どよーんと、沈んでいる私の膝に暖かい感触、祐巳さまの手が置かれた。

「あの、瞳子ちゃん、あらためて、さっきは本当にありがとうね。」私の目を見ながら仰ると、ポッと頬を赤らめた、つられて私もポッ って違う違う!!
「い、いえ、そんなことは、で、でも、私こそ、あんな公衆の面前、しかも祐巳さまの前であんな醜態を・・・」
「しゅ、醜態だなんて、全然そんなこと無いよ!! すごく、すっごく、かっこよかった、瞳子ちゃんが私の手を引いて走っていたときなんて、『卒業』の中のエレーヌになった気分だったもの、ホントに!!」
それを、聞いたとき、私の心を覆っていた闇が一気に晴れた、よかった、よかった、よかったですわ〜〜 嫌われてない!しかもかっこいいと仰ってくれた!(本当はカワイイのほうが良かったが)どうやら私のただの杞憂に終わったようだ。 ヒャッホーイ!!
心の中で合掌し、マリア様に感謝した、でもなぜか、マリア様の代わりにダスティン・ホフマンが出てきて私にエールを送ってくれた。

すると、祐巳さまは先ほどの雰囲気とは一転して、急にもじもじ、「そ、それとね、瞳子ちゃんが来てくれたとき、本当にうれしかった、それと・・・ すっごく、し、幸せな気分に、な、なったの、本当にホント。」一段と顔を赤らめ、俯き、再び もじもじもじ。

タハ! か、かわい過ぎます、祐巳さま!! やばい、やばいですわ、このまま、この、もじもじ祐巳さまを見ていたら私の理性は完全に吹っ飛びますわ、何とか落ち着かせて軌道修正しなくては、 深呼吸 す〜は〜 す〜は〜 おし!! がんばれ瞳子、気合だ瞳子



「そ、それでは、祐巳さま、気分を取り直して、当初からの目的のショッピングに出かけませんこと?」よく言えた。
祐巳さまは ぱっと にこやかに顔を上げ「うん、そうだね、そうしよう。」 ああ、かわいい、クラッ 
祐巳さまと、私はベンチを立ち歩き出した、ところがなんと祐巳さまは、私の手を握ってくるでは在りませんか、あまりにびっくりしてしまい私はその場で固まってしまった。

「ん? 瞳子ちゃんどうしたの? 行かないの?」
「ゆ・祐巳さま・な・なぜ・瞳子・の手を・握る・ですか?」カチコチ ドキドキ
「な、何でって、せっかくのデートなんだから、手くらい握ったって良いんじゃない? ね?」頬を赤らめ
「デデ・デートって・手・手くらいって・聞いてないですし・あわわわ」カチコチ バックンバックン
「え? そんな・・・」 そんな・・・ って へ? 祐巳さま?
すると祐巳さまは、今度は、私の両手を取って、
「そんな!! わ、私は、今日瞳子ちゃんとデートのつもりで来たのに! 瞳子ちゃん、私とデートするのいや! 私なんかに手を繋がれたら迷惑!?」と、私に言ってくる祐巳さま、
「ほ、本当は、さっき手を繋いでたときも、瞳子ちゃんは、いやいやだったんだ・・」 少し目に涙をためながら、そのお顔を見たとき、私の中で何かが弾けた、(どうでもいい、もう、どうなってのいいや)

「すみません、祐巳さま、私、緊張して少しテンパッてました、そうゆうことでしたら、判りました、そ、その、デ、デートに参りましょう。」 私はドキドキしながら祐巳さまに手を差し出す。「うん、デート、デート♪」さも当然と手を握ってくる祐巳さま。(やられた、完全に)

その後、二人でウインドウショッピングして、当初の目的であるリボンを購入した、あまつさえ、プリクラなる物までしてしまった、二人とも使い方が分からなかったが、店員さんに教えてもらい、何とか取ることができた。祐巳さまと写るこの写真は私の宝物のランキングトップに躍り出た。
         
瞳子は祐巳さまが好き、いつかは二人でデートを・・・   今まで抱いていた夢が現実になった1日だった
 
でも、少し違和感を感じたことがある、それは終始、祐巳さまは頬を少し赤らめ私に甘えてくる(これはこれでとても嬉しかったが、) 軽くランチをして、デザートのパフェがきたときなんかは、さも当然のように「瞳子ちゃん、はい、ア〜ン」などとしてくる(まあ、当然おいしく頂きましたけど。) そう、いつも以上に甘々なのです。 よく、「瞳子ちゃ〜ん」と甘声で抱きついてくることはあったが、今日はなんと言うか、いつもより断然甘々なのです、なぜ? 兎にも角にも甘くも嬉しい時間が過ぎ御別れの時となった。

「また、デートしようね。あと、これは私からのプレゼント。お願い、何も言わずに受け取って欲しいの。」
私は、一瞬は遠慮しようとした、でもここで遠慮なんかしたら、楽しかった今日に水を差すと思い、祐巳さまとおそろいのリボンが入った箱を素直に受け取った。

その夜、楽しい夢が見れるかな? っと思いつつ、私は祐巳さまからのプレゼントを胸に抱き眠りについた。
が、夢見は、最悪だった、内容はと言うと、異様に長く伸びた黒髪を振り乱した般若に、追いかけ回される夢だった。

寝起きは最悪だったが、祐巳さまから頂いたおそろいの、リボンを キュっと 結ぶと自然と気持も安らいだ  今日も祐巳さまに会える。

ルンルン♪ と鼻歌交じりに学園に向かう途中、私は何者かに、無理やり路地に連れ込まれた。
「な、なん、なんですの!?」
「しー、 瞳子静かに!! お願い!!」
「乃、乃梨子さん!?」リリアンの校門まで後、数百メートル、ここであなたは何をしていらっしゃるの、と抗議しようとした私に。
「良いから、お願い、とりあえずこれを読んで。」と差し出されたのは、ご存知「リリアン瓦版」
どれどれと、覗いてみると、そこには昨日の私と、祐巳さまの写真が2枚、1枚目は私がナンパ男3人から祐巳さまを助け出したところ、もう一枚は、祐巳さまの手を引いて走っている私と祐巳さまの2ショット写真、あら、よく取れていますわね、とてもいい写真で・す・わ・ねって・ん!?
「な、な、なんですの、これは〜〜〜〜〜〜〜!!」改めてよく見ると、瓦版のタイトルには、

〔 白昼、愛の大告白!! わたしの祐巳に手を出すな!! 紅薔薇の蕾はもうメロメロ!!! 〕

思い返せば、そんなニュアンス的なことをいった気もしますけど、ここまで、はっきり言った記憶は無いですわ!
「もう学園中、この話題で持ちきりだよ、記事的にはすっごくいい話にまとまっているからみんな大絶賛、今日のリリアンはもう改名、桃色女学園、てな感じ けどね・・・」
「けど・・ 何なんですの?」 其の時、乃梨子さんの携帯が鳴った。
「はい、乃梨子です、ええ!! ぶち破った〜〜 館の壁をですか!? はい! はい! 今すぐ非難させます!!」
「乃梨子さん、ま、まさか、さ、祥子お姉さま・・・!?」全身の血の気が引くようだった。
「そのまさかよ!! 何とか私たちで隔離したんだけど、とにかく! 早くにげな、瞳子!!」



逃げながら思った、そして叫んだ 「悪夢まで現実になるのは嫌ですは〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」



その頃、2年松組では、何も知らない祐巳ちゃんが新調した真っ赤なリボン嬉しそうに撫でながら「早く、瞳子ちゃんに会いたいな。」と頬を染めながらつぶやいていた。



「いや〜〜〜〜〜 助けて〜〜〜〜!!」

逃さなくってよ、瞳子ちゃん  フフフフフ・・・・・


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