『伊東から先は伊豆急線に入ります。 次は伊豆高原、伊豆高原に停車いたします』
女性車掌さんのアナウンスがJRから地方私鉄に路線が変わったことを伝えてくれる。
東京駅からここ伊東まで1時間40分ほど、自分達の席に戻ってきて、さあ、ここから海岸線を走る伊豆急線の始まり。
特急スーパービュー踊り子号はとっても豪華。 10両編成だそうだけど全席指定席、私達が乗っているのは、先頭から数えて2号車。 先頭(伊豆急下田側)の1号車と2号車は「グリーンユニット」と呼ばれていて出入り口「メインエントランス」は2号車、しかもまるでホテルのフロントカウンターみたいな「サービスカウンター」では「クロークサービス」までしてくれて、大きな荷物を預かってくれる。
「由乃さん、こっちだって」
荷物を預けて身軽になった祐麒君と、ショルダーバックだけ持った私は指定されている席へと向かう。 ここはガラス面が大きく取られている「オープンキャビン」で、眺めがとってもいい、なんといってもここは2階席ですから。 2号車の1階席は個室なんだそうです。 ちなみに1号車は、運転風景の良く見えそうな「パノラマ席」と、ここと同じ2階席の「オープンキャビン」、そして1階には「グリーンユニット」の乗客が利用できる「サロン室」になっています。 さっきまで、そこでお茶を飲んだりサンドイッチを摘んだりしながら、旅行計画の見直しをしていた。
今日は、取りあえず宿まで行って、のんびりすることにして、明日から西伊豆を中心に回ることにした。 せっかく2人で来ているんだから、行ってみたいところもある、あそことか・・・・ねぇ。
伊豆高原駅
「な〜んか不思議な風景ね〜、日本って言うより・・・・イギリスってイメージ?」
「大室山ってあれかな? あの辺だけならそんな感じだけど、俺はカナダって感じがするな」
「祐麒君、行ったことあるの? カナダ」
「ないよ、あくまでイメージ」
「私も無いけどね、イギリス行ったことなんて」
伊豆熱川
「すごい湯気〜。 温泉が噴出してるの?」
「そうみたいだね。 何本噴出してるんだろ? あ、ワニ」
「え? どこどこ?」
「下、下。 ワニ園なんだ」
「バナナワニ園。 ちょっと見たいかも」
「爬虫類苦手じゃないの?」
「遠くから見るだけならどうって事無いわよ」
「・・・・檻から近そうだけど?」
伊豆熱川〜伊豆稲取間
「うわ〜〜っ、ねえねえ祐麒君。 あれ伊豆大島だよね?」
「伊豆大島で、あれが新島、で三宅島・・・・・だったかな?」
「でもここって、海岸線ギリギリの所を走ってるのね、台風の時とかヤバそう」
「そりゃあヤバイでしょう。 絶対水かぶるよ」
「あ〜、もうトンネル。 なんかさ、何気にトンネル多い気しない? いい景色だな〜って見ているとすぐトンネルに入っちゃって」
伊豆稲取を過ぎると、もう駅のところ以外はトンネルになってしまって、外の景色云々行ってられない。 車両が豪華なだけに、ちょっと残念なところね。
祐麒君と手をつないで他愛も無い話をしていると、もうすぐ最初の目的地である終点伊豆急下田に到着するアナウンスが流れてきた。