【17】 ショッピング?  (冬馬美好 2005-06-13 00:25:18)


 その奇跡は、とあるデパートでの蔦子と瞳子の邂逅から始まる。

「あれ? 瞳子ちゃんじゃない」
「あ、蔦子さま。ごきげんよう」
「何? お買い物?」
「ええ、冬用のコートを新調しようかと思いまして」
「寒くなってきたもんね。うん、私は炬燵を買いに来たんだ」
「炬燵? ヒーターとかではないのですか?」
「うん、ヒーターだと喉やられるからね。私は炬燵派なの」

 ── そして、二人が三奈子と出遭うことで、その奇跡は完成されたのであった。

「あら、ごきげんよう。めずらしい組み合わせね」
「ごきげんよう、三奈子さま。いえ、さっき偶然出会いまして」
「ごきげんよう。三奈子さまもお買い物ですか?」
「ええ、粉ミルクと烏賊を買いに来たのよ」
『粉ミルクと烏賊?』
「そう! 実は昨日、部活でUNOをやったのよ。敗者は勝者の言う事を一つだけ聞くってルールでね!」
「・・・どこかで聞いたことがあるような設定ですね」
「それで私は見事に勝利を収めたってわけなの!」
「敗者はどなたでしたの?」
「真美よ。だから明日、真美には一つ言う事聞いてもらうの。だから粉ミルク&イカなのよ」
「・・・だから、の意味が良く分からないんですけど」
「だからぁ、明日、真美ちゃんには赤ちゃんになってもらうのよ♪」
『・・・・・・は?』
「ふふふ。つなぎのパジャマを着てもらって、私の膝枕でミルクを飲ませるの♪ そしてイカは固いから、一度私が咀嚼してから口移しで食べさせるの♪」
「! 写真、撮らせてもらって良いですか?!」
「ええ、もちろん」
「・・・・・・」

 そう、三人は気付いてはいなかったのだが、今此処にとある奇跡が生まれていたのであった。
 三人は知らず知らず、『なかきよ』を完成させていたのである。


 『コートとコタツとコナミルクにイカを買いに来る三奈子と蔦子と瞳子』


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