【1708】 空に福沢が在る限り可南子×祐巳(謎)  (ROM人 2006-07-20 14:11:19)


 瞳子ちゃんは、くま一号さんが続きを書いてくれないのでカナダに行っちゃいました。





 新年度のリリアン女学園。
 その初日。
 私、福沢祐巳はマリア様の前で手を合わせていた。
「ごきげんよう。 紅薔薇様」
 そう声が聞こえて、辺りをきょろきょろとたっぷり見回し、お姉さまの姿を探した後、
 それが自分のことであることに気がついたりするのは多分お約束。
「今、祥子様のことを探していらしたんですか?」
 何か、声が随分上の方から聞こえる。
「あ、ごきげんよう可南子ちゃん……また背伸びた?」
「の、伸びてません! ……伸びてないことにしておきたいです」
 そうか、身体測定までは前回の179僂把未垢弔發蠅覆鵑澄可南子ちゃん。
 でもさ、マリア様の頭より上になってるよ?
 というよりも、校舎に入れる?
「……身体測定の日も休みますから(ぼそっ)」
 ……いまの可南子ちゃんの呟きは聞こえなかったことにしておこう。うん。

「バスケ部……やっぱり辞めておけばよかった……」
 いや、たぶんそんな問題ですらないから。
 バスケのコートの真ん中からゴールに手が届いちゃうのって反則なのかな。
 まあ、それはおいといて。
「そう言えば、可南子ちゃんも二年生って事は、いよいよ待望の妹が持てるんだよね」
 そう、たしか可南子ちゃんは姉は作らないけど妹は欲しいって言っていた。
 どんな娘が可南子ちゃんの妹になるんだろう。
 身長10cmのお人形みたいな娘を妹にして、リリアン史上ナンバーワンの身長差カップルを実現して歴史に名を残すとか?
 ……いや、ありえないって。
「祐巳さま?」
 可南子ちゃんが私の顔を覗き込んでいた。
「あ、えっと……なんだっけ?」
「なんだか、ぼぉっとされてましたけどどうされたんですか?」
「あ、いや……その……なんというか……」
 さすがに今の想像を本人に話すのは失礼というか、想像する自体が失礼なんだけど。

「あ、薔薇の館の二階に乃梨子さんが居ますね。 白薔薇様とお茶を楽しんでいらっしゃるみたいです」
 って、2階の様子が見えるの……可南子ちゃんw
 ……あっ。
 ふと、私の記憶にある愛しい妹の姿が脳裏に浮かんだ。
 今は、カナダの空の下。
 きっと、私のことを考えてくれていると思うのは自惚れだろうか。
「あ……ごめんなさい。祐巳さま……私はそんなつもりで」
 黙って空を見上げていた私に気がついた可南子ちゃんはそう言った。
 瞳子ちゃんのことを考えていたの、ばれちゃったか。

 くま一号さんが続きを書いてくれたなら。
 今頃は瞳子ちゃんと一緒に薔薇の館でお茶してたのは私だったかもしれない。
 そう考えると、寂しくて……切なくて。
 気がつくと、私はスッと宙に浮かんだ。
 ……そして、やわらかいぬくもり。
 そうか、私は可南子ちゃんに抱きしめられたんだ。


 ……でも、恐いよ。 私、高所恐怖症だもん。





「ねえ、祐巳。 マリア祭だけど……」
 由乃は、私に遠慮がちにそう言った。
 ちなみに、私達は3年生になったと同時にお互いを呼び捨てすることに決めた。
 何か、その方がお互いの距離が縮まった感じがするとは由乃の意見。
 それでも、染みついた癖という物はなかなか抜けなくて、なんとなくぎこちない感じがする。
「うーん、どうしようかな。 また、真美さんか今度は桂さんにでも頼もうかな」
「そうね、桂さんには私から聞いてみるわ」
 桂さんにお願いする件については、2年に引き続き桂さんと同じクラスの志摩子さ……志摩子が引き受けてくれた。
 モノローグだから平気だけど、うっかりさん付けで呼んだりしたら罰当番が待ってるんだった。
 心の中でもちゃんと切り替えておかないとこうゆーのってボロが出るよね。

「……瞳子ちゃん、元気でやってるかなぁ」
「「……祐巳」」

♪〜こんなこといいな、できたらいいな(ピッ)

「あ、瞳子ちゃんからメール」
『瞳子です。 ちょっと夜更かししちゃいました。 お姉さまお休みなさい』
「ふふふ、お休みなさい、瞳子ちゃんっと」

「……あの祐巳、瞳子ちゃんとメールやりとりしてるの?」
「うん、一日12回ぐらい」

 何故か、由乃と志摩子がずっこけた。

「こぉんのぉバカップルがぁ!」
 あ、由乃さんが吠えた。

「祐巳、携帯電話は学園に持ち込み禁止よ? もしも、ばれたりしたら……」
 そう、私に注意した志摩子のポケットからメロディーが。

♪〜盗んだバイクで走り出す、行き先もわからぬま(ピッ)

「あ、乃梨子からだわ」

 あ、由乃が思いっきりずっこけて後頭部を床に強打した。

「あ、あんたもかっ!」
「ええ、乃梨子が携帯ぐらい持っていないとって」
 そう言いながら、志摩子は指が見えなほどの速度でボタンを押していた。
「大体、学園の中でまでメールのやりとりするなぁ!! どれだけメールしてんのよ」
「え、学園にいる間は休み時間ごと、家に帰ったらほぼ15分おきぐらいかしら」

 _| ̄|○ ←由乃さん。

「え、由乃はしないの? 菜々ちゃんと」
 おそらく、私の聞いたこの一言はきっと言ってはいけない一言だったんだろう。
 由乃は「ウワァァァンヽ(`Д´)ノモウコネェヨ!」と叫びながら薔薇の館から出ていってしまったから。

 結局、その日はマリア祭に付いての話し合いが行われる予定だったけど、
 遅れてきた乃梨子ちゃんと3人でお茶を飲んで解散になった。





「……それで?」
「えっとね、桂さんは頼んでみたんだけど恥ずかしいから駄目って言われたわ」
 そっか、そうだよね。
 私だって当日あそこに立って、おまけに紅薔薇が挨拶するのが決まりとか由乃や志摩子に言われて逃げ出したいぐらいなんだもん。
「同じく、真美さんと蔦子さんには断られました。 取材に専念させてもらいますって」
 写真を撮る蔦子さんと違って、真美さんは引き受けてくれると思ったのに……去年何かあったのかな。
 去年のマリア祭……あっ。
 そうか、そういうことかリリン。
 マリア祭で何らかの事件が発生しても、今回報道規制には応じませんよという意思表示か。
 今年の真美さんはちょっとやる気だ。 どことなく美奈子さまのオーラを感じます。

 うーん、どうしよう。
 友達のつては……絶たれた。
 てゆーか、私…友達少なすぎっ!

 ……だって、しかたないじゃない。
 祥子さまに妹にしてもらうまではごく目立たない背景な生徒だったんだもん。
 嫌われてるわけではなかったけど、あまり認識されていない、それが私。
 ところが、一転して紅薔薇の蕾となり、薔薇の館デビューしたもんだから急に高嶺の花みたいに持ち上げられて、
 今度は別の意味で人が寄りつかなくなっちゃったんだもん。 

 ……ああ、どうしよう。
 こうなったら、由乃か志摩子のつてで……。
「祐巳、私の最初の友達が祐巳って覚えてるよね?」
「ごめんなさい、私もなるべくこの学園で絆を作らないように生きてきたから、去年まで」
 うわ、心を読まれてる。 ていうか、百面相でモロバレですか。

「そうね、もう同級生ではあてがないわ。 ちさとさんは私の妹の代わり頼んじゃったし」
 由乃と田沼ちさとさんはそういえば仲がいいんだった。
 由乃にはちゃんと妹が居る。 入学式当日にロザリオを渡したそうだ。
 一説には、それ以前にフライングで姉妹の契りを交わしたとも言われているが真偽は定かではない。
 しかし、その妹の菜々ちゃんは一年生。
 この場合、いくら妹でもおメダイを受ける側の菜々ちゃんが由乃の横に立つわけにはいかないのだ。
 そっか、由乃はちさとさんに頼んだんだ。
 でも、年中喧嘩してるよね、この二人。
 ちさとさん、わざと菜々ちゃんにちょっかい出したりして由乃を煽ったり。
 喧嘩するほど〜と昔の人は言ったけれども、どっちかというとちさとさんが一方的に由乃をいじってるような気もしないでもないけれど。
 仲がいいんだろうな。


 ……さて、本当に困った。





『……そうですか、ごめんなさい。 お姉さま』
「ううん、瞳子ちゃんのせいじゃないから」
『ところで、いいかげんちゃん付けはやめてくださいませんかお姉さま』
「えへへ、つい癖で」
『聞きましたわよ、乃梨子さんから。 由乃さま達との間での罰当番制度』
「え……もう、乃梨子ちゃん」
『お姉さまが瞳子をちゃん付けで呼んだ分だけ、今度夏休みで日本に戻った時、お姉さまに何でも言うことを聞いてもらえるというのはどうでしょう?』
「と、瞳子ちゃん!?」
『まずは、1回目ですわね』
「も、もう始まってるの!?」
『もちろんです』

 久しぶりの瞳子ちゃんの声。
 ひっきりなしにメールのやりとりは出来るんだけど、やっぱり声を聞けると心が温かくなるのを感じる。
 そうすると、私はどんどん欲張りになってきて……顔が見たくて……瞳子ちゃんに触れたくて。

「……えっ!? 夏休みに帰ってこれるの!?」
『ええ、夏休みは日本で過ごす予定です』
「…………」
『お姉さま?』
「う、うん……楽しみにしてるから」
 ちょっと、声が震えちゃった。
 嬉しくて泣いちゃったの、瞳子ちゃんにばれちゃったかな。
『瞳子も楽しみにしてますわ』

 ずっと話していたい。
 地球の裏側だって、電話があれば声が聞こえる。
 でも、国際電話で長電話を許してもらえるほどお互いの家は甘くはない。
 それでも、月に何度か許してもらえているこの一時は、私の心の支えになっている。
 お母さんは私に毎月電話料金の請求書を見せながら小言を言うけど、わかってくれているんだ。
 リリアンでたった一人しか作ることの出来ない妹が、外国へ行ってしまったことの寂しさを。

『お姉さま、瞳子の代役ですが可南子さんでどうでしょう』
「え? 可南子ちゃん?」
『はい、先日可南子さんとメールで色々お話しして、もしお姉さまがよいのでしたら引き受けてくださるそうです』
 思いもつかなかった。
 そう、可南子ちゃんと私は友達になったんだったっけ。
 でも、無意識に避けていたんだ。
 だって、可南子ちゃんは妹じゃない。
 妹じゃない下級生をマリア祭で隣に立たせるのは何か違うと思っていたから。
『瞳子はお姉さまを信じています。 あと、可南子さんも。 だから、大丈夫です』
 そう言った瞳子ちゃんには以前の可南子ちゃんとの確執は少しも感じられなくて、
 だからわかったんだ。
 二人の間にも何か変化があって、二人はいい関係になれたんじゃないかってことが。







「新入生の皆さん……」
 私はマリア祭の舞台に立っている。
 信じられないことに、練習の時あんなにつっかえていた挨拶が何故かすらすら喋れている。
 私はきっと、それは瞳子ちゃんのおかげじゃないかなと思う。
 地球の裏側で、きっと瞳子ちゃんが『頑張ってくださいお姉さま』って応援してくれてるんだ。
 寂しくなんて無い。といったら嘘になるけれど。
 それでも私は前を向いて歩いていく。
 進み続ければ、きっと夏はすぐにやってくる。
 そうすれば瞳子ちゃんに会えるんだから。





「しかし、天井から可南子ちゃんの頭がでているのに誰もつっこまないのね」
「由乃ってば。 祐巳の挨拶の最中よ」
「……でも、誰も何事もないようにしてるのが絶対変よ」

「まあ、それはお約束よ」



おわっとけ(w





……なんじゃこりゃ(w
可南子×祐巳じゃないじゃん(爆)
タイトルで、瞳子ちゃんがカナダに行っちゃって、
可南子ちゃんが祐巳を寝取っちゃう話を書き始めたつもりだったんですが、
私の中の可南子ちゃんはそんな悪い娘じゃ無かったみたいです、デカイだけで。
蓋を開けてみれば、単に【No:865】の焼き直しっぽい物になってしまいました。
まあ、中途半端なんでボツでもいいかなと思ったんですがもったいないので投稿。

なんか、原作も雲行き怪しいし……瞳子ちゃんどっかいったりしないですよね?


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