キーワードが出てしまったので【No:170】のパクリ、らしい。
マリア様の下に集いし乙女達は、今日も今日とて純粋培養お嬢様になるべく学園生活を粛々と送っている。
勉学に励み、心身を鍛え、親しい者同士が親交を深める。
そんな、いつもと変わらぬ日常を送る乙女の園…だった……ついさっきのその下の前までw
「「 なんじゃコリャ〜〜〜〜〜!!!! 」」
薔薇の館にそぐわないとはいえ二度目の絶叫が響き渡る。
声の主の片割れ、祐巳は立ったまままたもや凍結、相方の由乃はスカートを抑え苦しげに。
「ってまたなの?」
「だって昼休みにNo.170を見たら一発でこれが出てたんだものしょうがないじゃない。」
「昼休みに会社で投稿するのやめたほうがいいわよ。人格を疑われるわ。」
またか、と若干うんざりする二人の前に、二発目の爆弾リリアン瓦版。
『 本誌独占! 』
『 白薔薇の蕾情報で蔦子激写!! 』
『 お姉様は、はいている!!! 』
『 黄薔薇の蕾は、はいていない!!! 』
『 紅薔薇の蕾は、やっぱりはいていない!!! 』
またもや一面ぶち抜きのこの見出しと、二年生トリオこと志摩子、由乃、祐巳のどアップ写真。
「蔦子さんまで〜〜〜(怒)。おのれ真美、一度といわず二度までも。祐巳さん、クラブハウスまできりきり殴り込みでいっ。」
「がってんだ。由乃さん。で、はいてないの?」
「聞くな〜〜〜〜〜!」
「ってことはやっぱりはいてないの?」
「そういう祐巳さんはどうなのよ。」
「あの。」
もじもじと顔を赤らめる祐巳。
「そういう反応をするか。」
そこへ、例によってにこにこと現れる志摩子さん。
「ごきげんよう。」
「志摩子さんっ。私たちはこれからクラブハウスへ殴り込みに行くからねっ。止めても無駄よ。」
「そうよ。志摩子さんははいているからいいけど、私たちは撮られたのよ、その、あの。」
志摩子さんは、にっこりと満面に笑みを浮かべる。
「はいてないのね。」
「「ああああああああ」」
そこへ、当の『はいているお姉様の妹』乃梨子がやってくる。
「「乃梨子ちゃん!!」」
「私がはいてないって、いつ見たのよ。」
「なんかもうネタがばれてるような気がするけど、はいてないってどういうこと?」
乃梨子はまたもや無言のまま鞄から分厚い辞書を取り出し、突き付けた。
やっぱり、志摩子さんはずっと微笑んでいた……
また出てきたコンクリートブロックくらい分厚い辞書。
乃梨子が開き指し示した場所にはこう書かれていた。
は・く【刷く】 [動カ五(四)]
(刷く)はけや筆などでさっと塗る。「紅を―・く」
「「 なんじゃコリャ〜〜〜〜〜!!!! 」」
本日5度目の絶叫が薔薇の館に木霊する。
「口紅っていうわけじゃないけど、唇が弱いからリップクリーム、ちょっとだけ色が入ったのをつけてるのよ。」
「それを刷いているって、だいぶムリがあるぞ山口真美。」
白薔薇姉妹のいなくなった薔薇の館で、由乃と祐巳はがっくりと突っ伏した。
「もーいや。」
「登録キーワードにR指定つけてほしいわ。」
「絶対、↓と同じ登録者よね。」
「連続して出る確率が高いのかしら。」
「うー。」
「うまくいきましたね、お姉さま。」
「乃梨子、よくやったわ。相手がダメージから回復しないうちに畳みかけるのが攻撃のセオリーよ。」
「こうして、白薔薇が世界を支配するのですね、お姉さま。」
「そうよ。祥祐も祐瞳も、まして原作に登場さえしない由麒なんか、どこかへ消えてしまいなさい。」
「へへへへ。」
「ふふふふふふふ。」
「ふははははは、はははは、ははははははは」
「ふふふふ:ふふふふふふふふふふ、ふふふふふふふふふふふふふふふふふ、あはははははは、あはっあはっふあっはっはっはっはっはっ」
白薔薇姉妹が壊れた・・・・・茂みの後ろで見守る真美と蔦子は、これでよかったんだろうか、と、ふと世界の行方に不安を覚えるのだった。