【1732】 迫り来る背後霊幸せでいて欲しいから立ちふさがる  (琴吹 邑 2006-07-30 01:10:21)


がちゃSレイニーシリーズです。
最初から読みたい人はくま1号さんのまとめページか
http://homepage1.nifty.com/m-oka/rainyall.html

確認掲示板を参照してください。
http://hpcgi1.nifty.com/toybox/treebbs/treebbs01.cgi

このお話は琴吹が書いた「【No:1715】瞬殺の白薔薇」の続きとしてかかれています。




「昨日の言葉は嘘だったのかしら? あの時あなたはなんて私たちに言っていたの?」

 乃梨子さんの後ろから聞こえてきた声。それは、いつのまにやってきたのか、細川可南子の声だった。

 細川可南子の声は、本当に冷たく鋭く、私の心を突き刺すようなそんな声だった。
 きっと、彼女は本当に怒っているのであろう。外から見れば、私の態度が二転三転しているように見えるから。
 それは、クラスで昨日のことを何らかの手段で知っている人も、同じような気持ちだろう。
 それは、端から見ればきっと祐巳さまを侮辱しているように見えるから。

「私は、姉妹複数人制に反対なだけです。」

 可南子さんの問い答えずにわたしは、そう言葉を紡いだ。

 あの時の言葉

『たとえ祐巳さまが薔薇さまになれなくても、私と祐巳さまは姉妹です』

 その気持ちに今も偽りはない。

 だからこそ、今祐巳さまの妹になるわけにはいかないのだ。
 そして、もう寄り道は許されない。私は心から祐巳さまの妹になりたいと思っているから。そして祐巳さまが心からそれを望んでくれているから。

「私は、先日白薔薇さまから、成り行きとはいえロザリオをいただいてしまいました。だから、リリアンの常識から言えば、今の私は白薔薇のつぼみというわけです」

 だれも、言葉を発しなかった。朝の登校風景のざわめきだけが通り過ぎ、この教室にはいると、そのざわめきはあっという間に沈黙した。
 本当にその場所に魔法でもかけられているように。

「私は、姉妹複数人制に反対です」

 もう一度ゆっくりと繰り返す。

「今、私が乃梨子さんに預けたロザリオを返して欲しいと言ったのは、そのロザリオを正式に白薔薇さまにお返しするためです。私が白薔薇のつぼみで、乃梨子さんが薔薇の館のお手伝いという、今のゆがんだ状況を元に戻すために必要な手順なのです。わかっていただけますか?」

 そう言いながら私は細川可南子の顔をじっと見つめかえした。


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