「祐巳さま、またこのレオタード姿ということは」
「そうよ、瞳子ちゃん。怪盗するのよ! テーマ曲も杏里なんだから!」
「確か一年前はTMレボリューションと間違えていましたわね」
「そうだね。だけど、若い世代にはそんな事分からないよ。現に作者も分かってないし」
「作者? 怪盗シリーズの作者はくまこと熊沢さまことくま1号ではありませんか」
「今だけは違うの。某道化師が書いてるみたいなの」
「道化師がですか? そんな全く違うジャンルの職業の方がSSを書いても票を取れるとは思えませんわ」
「実際は学生で霊能者らしいよ?」
「ジャンルが違うという点では変わりませんわ。それで、今日は一体何を盗むのですか?」
「えっとね、『七つの家』という所へ行って、亡霊に「盗」り憑かれに行くの」
「シリーズが違いますわ! 場所も違いますわ! それは『こぼ落ち』でやって下さい」
「ああ、間違えてた。三賢者の王を探しに行くんだった」
「だから、シリーズも場所も違いますわ! それは『このセリ』です!」
「ああ、志摩子さんの1/1フィギィアを盗みに行くんだった」
「だーかーらー! 昔のネタはやめてください! あのくま1号さまさえ分からなかったではありませんか!」
「えー、だって乃梨子ちゃんばっかりフィギィア持っててずるいんだもん」
「それは乃梨子さんが趣味でご自分で作られただけです。ずるいも何もありませんわ」
「だって、『瞳子ちゃん1/1』フィギィア(ドリル可動)とかも持っているんだよ?」
「……乃梨子さん、一度しめあげて差し上げますわ」
「ね? だから瞳子ちゃんフィギィア盗みに行こうよ」
「それはくま1号さまがやってくださいますわ。きっと」
「えー、私、瞳子ちゃんフィギィア欲しいのに(おめめうるうる)」
「な゛!?」
「だって、瞳子ちゃん、いつもツンツンしてて、ロザリオ受け取ってくれないし、カナダ行っちゃうし、志摩子さんのロザリオを貰っちゃうし」
「それはレイニーシリーズの話ですわ! って、またネタだったんですか!?」
「うん!!」
「元気に返事をしても駄目ですわ!!」
「そんなぁ、せっかけ頭の両脇に人参をぶら下げたのに」
「また昔のネタですか! いい加減昔から離れて下さい!」
「面白いよ?(昔のネタが)」
「どんなに面白くてもです」
「うぅー、瞳子ちゃんのいけずぅー」
「もう、いちいち泣かないで下さい。話が進まないではありませんか。今日は一体、どこへ忍び込みに行くのですか?」
「今日はね、写真部に忍び込みに」
「……祐巳さま、いい加減にしないと、本当に許しませんわよ」
「ま、待ってよ、瞳子ちゃん。今日は本当に写真部に盗みに入るのが目的なんだよ〜」
「ネタじゃなくてですか」
「うん、ネタじゃなくて」
「では一体、写真部から何を盗みだすのですか? 去年みたいに、また危ない写真を盗りに行くのですか?」
「まあ、似たような物なんだけどね。昔、笙子ちゃんが一枚の写真を撮ったの」
「笙子さんがですか? 誰の写真ですか?」
「蔦子さんの写真」
「蔦子さまの? それはそれで珍しいですが、盗みに行くまでとは思えませんわ」
「それがね、蔦子さんの眼鏡を外した姿の写真なの」
「眼鏡を? 確かに珍しいですけれど、笙子さん意外に利益があるとは思えませんわ」
「それがね、蔦子さんは眼鏡を外すと絶世の美女で、素顔を見て一度に10万人以上が失神するという記録を持つぐらいの物なの」
「な、なんですの、その妙なデフォ設定は」
「噂によると、宇宙の辺境にいる絶世の美人と引き分けたとか」
「とんでもない噂が飛び交っていますわね。それで、その素顔の写真が写真部にあると」
「そうなの。だからそれを手に入れて、菜々ちゃんを失神させて、狐耳をつけさせて、由乃さんの前に置いてみたりとかしてみたいの」
「な、なにか暗いものが見え隠れするのは気のせいでしょうか?」
「気のせいだよ、瞳子ちゃん。決して、由乃さんにもう一度復讐をとか考えてないよ」
「そ、そうですか」
「では、さっそく写真部へGO!」
「というわけで写真部前に着いたね」
「それで、どうやって扉を開けるんですの?またドリルを使うのですか?」
「使わないよ。今日はこれを使います。じゃじゃーん」
「? なんですの、その桐みたいな物は」
「アンチロックブレードだよ」
「また、元ネタが分からないようなネタを……」
「大丈夫だよ、瞳子ちゃん。蔦子さんの妙なデフォ設定あたりから誰もついてきてないよ」
「思いっきり読者無視ですわね、祐巳さま。なんで、そんなに昔にこだわるのですか?」
「私達、思い出に負けたの」
「だから!元ネタが、わかりません!」
「瞳子ちゃんだってやってるじゃない」
「べ、別に良いではありませんか!」
「瞳子ちゃんはどこから始めたの?」
「え、VIIIから始めてXをクリアしてからIから順に……って、そんな事どうでもいいですわ!は、早く写真部に入りますわよ!」
「あ、ちょっと待ってよ。今開けるから。よいしょっと……あれ?」
「どうしたのですか?祐巳さま」
「鍵が開かないんだけど、おかしいなあ」
「ちょっと私に貸して下さい」
(がしゃがしゃ、かちゃ)
「おおー、瞳子ちゃん凄い!」
「これくらい当然ですわ」
「ではさっそく探すとしますか」
(がさごそがさごそ)
「祐巳さま祐巳さま、この箱とかは怪しくありませんか?」
「ああ、その中の写真は、全部志摩子さんの写真だよ」
「志摩子さまのですか?」
「そうだよ。青いアルバムには全部カメラ目線の志摩子さん、緑のアルバムにはコスプレショーの時の志摩子さんが写っているよ」
「全部カメラ目線って、記念写真ですか?」
「違うよ。全部隠し撮りなんだけど、全部カメラ目線になっちゃったの。中にはお姉さまに頼んで、衛星から撮った写真もあるんだけどね」
「お、恐ろしいですわね」
「あ、あった!これこれ、この写真だよ」
「蔦子さまのですか? でも見たら失神してしまう程の物ではなかったでしょうか?」
「うん。だからこれから試すんだよ(ピラ)」
「つ、蔦子さま……」
「おお、さすが素顔の蔦子さん。瞳子ちゃんも一撃ね。これで由乃さんに……。フッフッフ」