この胸一杯の愛を【No:1767】の続きです。
「祐巳、これはどういうことなの!」
これが、祐巳が今日初めて聞いた大好きなお姉さまの言葉でした。
言葉が続き、
「この記事は何なの!」
そう、掴みかからん勢いでお姉さまが、見せてきたのはリリアンかわら版だった。
内容はこんな感じであったはずだ。
『 白紅薔薇革命か!
今日の早朝、白薔薇さまが紅薔薇さまのつぼみの妹に「妹にしてほしい」と発言した。
その後、白薔薇さまが「スールに上級生でなければいけないという規則は無いはずだ。」と、言い切り
紅薔薇さまのつぼみの妹の手を取り連れ添ってどこかに消えていった。
また、未確認ではあるが、そのときに白薔薇さまと紅薔薇さまのつぼみの妹が「お姉さま」と「聖」と呼び合っていたらしい。
』
そりゃ授業始まる前に発行してその後ずっと同級生に聞かれ続ければ内容も覚えるってもんだよ。ホント。
できれば、薔薇の館の中では安心したいのにな???。
「聖さまが急に???」
「ってことは白薔薇さまにホントに言われたの?」
さっきまでとは違う緊張した言葉で聞かれた。
「???はい」
本当のことをいうしかないよ。
「そんな。祐巳のことを信じていたのに。 うぅっうぅ」
いや、スールになってないはずだけど。
「ですから、それは聖さまが勝手、ぎゃー」
急に後ろから抱きついてきた人がいた。
「ひどいなー勝手に。それなりに考えてるんだよ私も」
と、聖さまが言った。ってか、こんな行動すると一人しかいないけどね。
すると、急に手を掴まれて聖さまから引き剥がされた祐巳はそのまま引っ張った本人、お姉さまの胸の中に。って、えっ!
「それ以上私の祐巳に触らないでくださいます」
怖いです祐巳は。
「どうしてかな、祥子ちゃん?
妹である私は甘えることが出来ると思うんだけどなー」
だから、スールじゃないはず???。
「そんなの認めません。白薔薇さまは三年で祐巳は一年なんですよ。
まだ、妹にするなら分かりますが???ってどっちでも認められません」
「お姉さま???聖さま???すこし冷静になってくださいー」
スールちゃうのにー。でも、聞いてないし。
「祥子ちゃんには関係無いから、認められる必要は無いはずよ。」
「いえ、私は祐巳の姉ですから」
「だったら、姉らしく見守ったどうかしら。
それが姉の役目じゃないかなー?」
とか言いながら今度は聖さまが祐巳の手を引っ張ってお姉さまから引き剥がした。
このままだとまた抱きつかれるのが目に見えているしここらではっきりさせたいから、
「やめてください。それと聖さま、まだ返事はしていないはずです」
強気でいかないと、負けてしまう。
「えっ、じゃー祐巳ちゃんは私のこと嫌いなの?」
ええ、嫌いとじゃないはずだけど。なんか負けそう。
「いえ、嫌いとじゃなくて、そのあの」
「じゃーいいんだね!」
「えっ、そういう訳では無いはずなんですけど」
「やったー」
「酷い。祐巳のこと信じていたのに」
聖さまとお姉さま人の話聞いてくださいよー。
「ですから、聖さま。あのですねー」
言わないと流されてしまう。
「だから、"聖"でしょーお姉さま」
「決定ね!」
「えっ」
何ですか黄薔薇さま、今まで暇そうにしてたのに。
「新聞部に行ってくる。話題の二人がスールになったって」
そんなことを言いながら、黄薔薇さまが笑いながら出て行こうとしていた。
「ちょっと、待ってくださいー!」
そして、次の朝には学園中の生徒が二人がスールになったと知れ渡ったのでした。