【1824】 メイドな祐巳ちゃんを見かけた方は  (タイヨーカ 2006-09-02 14:53:23)


【No:1692】で完結した『祐巳姉ぇ』シリーズが『祐巳姉ぇがガン見』シリーズとして復活☆
詳しい事情は↑を参照されたし。乃梨子と祐巳姉ぇがリアル姉妹なラヴラヴ?ものの予定。




「お帰りなさいませ〜☆お嬢様♪」

 …あれ、私なんか頭おかしくなっちゃったのかな。
やばいやばい。菫子さーん、私ちょっと風邪引いちゃったみたいなんだけど〜。
「ちょっとノリ。無視?無視なの?」
「…疲れてるのにいちいちツッコんでられないっての」



 祐巳姉ぇがガン見
            Vol.1「メイドな祐巳ちゃんを見かけた方は」



 帰宅したら祐巳姉ぇがメイド服を着ていた。以上、終了。さ、夕飯食べようかなー。
「ノ〜リ〜!!!」
「あぁもう、五月蝿いなぁ。なにしてんの祐巳姉ぇ」
 ええい、足にまとわりつくな鬱陶しい!!そして上目遣いで涙目になるな!
「買ったの。ノリが喜んでくれるかな〜って」
 どんな思考回路ならそうなるんだろうか、この人は。
相変わらず足にまとわりついていた祐巳姉ぇは、菫子さんの「ご飯できたよ〜」の言葉であっさりと
私から離れて、そのままの姿で歩いていった。ほんとに何したいんだこの人。

「あれ、祐巳ちゃん面白い格好してるわね」
「でしょ?この間ノリが志摩子さんのメイド服見てもだえてたから参考にしたんだ〜」
 ブッ!!!!
「な、な、なんで知ってんの祐巳姉ぇ!?」
 なんだその不適な笑みは!
 志摩子さんから直接聞いた?いや、それはないだろうな。じゃあ瞳子?ありえるかもしれないけど、違うだろう。
信じてるぞ瞳子。というか、祐巳姉ぇならそういうの分かってしまう気がする。リリアンの影の権力者(妄想)な祐巳姉ぇなら…



 それは、昨日の出来事。
 薔薇の館に入った私の目の前には、なぜかメイド服で階段に立っている志摩子さんがいた。
「……………」
 私、混乱中。妄想中。OKOK。だいじょうぶ。ぜんぜんへーき。
「あ、の、乃梨子。ご、ごきげんよう」
「し…まこさん、なにやってるろ?」
 あぁ!もう呂律も回らない。やばい。なんだろうかコレは。クリティカルヒットです隊長!!
「乃梨子?どうしたの?」
 ッ!!いつのまに私の近くに!!
 くぅ!後光が!志摩子さんから後光だ出てるよ!!ヤバい。志摩子さん、それ以上近づいたら……
「あ、乃梨子さん。ごきげんよう」
「ぐっ…と、瞳子?」
 瞳子は満面の笑みをしながら、会議室から出てきて私の元へ歩いてきて、コソコソと耳打ちを始めた。
「感謝してくださいね。私が白薔薇さまに頼んだんですのよ」
「!瞳子の仕業か!!なんであんな服が!?」
「うふふふ。それは企業秘密ですわ。あ、白薔薇さま。お姉さまが来たらなにを言われるかわかりませんので、早く着替えてしまいましょう」
 じゃあなんの為に着替えたんだよ瞳子GJ!!あとで祐巳姉ぇの写真をあげよう。
「え?あ、そうね。でも私1人じゃあ…」
「大丈夫ですわ、乃梨子さんが手伝ってくださいますので」
 えぇ!?そ、そんな事言ってな…

    バシッ!

「…白薔薇さまの、生着替え……」
「……うん、志摩子さん。私手伝うよ」
 後で瞳子が言うには、そのときの私はとても輝かしい笑顔だったらしい。否定はしない。


 まぁ、そんなことがあったわけで。その後の展開は省くとして、なんでそれを祐巳姉ぇが……
 というか、なんでそれに便乗するんだこの人は!


 そんな、どこか落ち着かない夕飯が終わって私がテレビを見ていると、祐巳姉ぇはソロソロと近づいてきて
私の隣に座った。相変わらず、メイド服だ。
「……なに」
「べっつにー。ただ、お姉ちゃんはちょっとがっかりしたなーって」
 いつもの祐巳姉ぇらしくもなく、拗ねて遠まわしな発言だ。
恐らく、私が志摩子さんに言った一言を言って欲しいんだろう。

 いや、言うのは構わないんだけど、それで祐巳姉ぇが調子に乗ると後でどんなことになるかわからないのが怖い。
 でもなぁ。なんか拗ねつつも期待してる目で私見てるもんなぁ。
はぁ、察しがいいってのはやだなぁ。
「ほらほら、ノリ。なにかいう事あるんじゃない?」
「……」
 だから、そんな期待の眼差しで、上目遣いで、うるうるした目で、頬を赤らめながら、近づいてきながら、言うな。
 ……ほらみろ。私まで、なんか変に顔が赤くなってくるじゃないか。
「ねぇ〜ノリィ〜。の〜り〜こ〜」
「……わかったわかった。似合ってるから」
 私のたった一言で、祐巳姉ぇはまるで自分の好きなものがいっぺんに目の前に現れたみたいな満面の笑みになった。
 やれやれ。忙しい人だ。

「じゃあ、さっそくこの似合ってる服でコンビニまで行ってくるね!」
「それはやめようよ」
 …今回の結論。祐巳姉ぇは褒めると調子に乗る。
 メイドな祐巳姉ぇを見た人は注意してほしい。ヘタに褒めると、後で自分が疲れることになるのだから……



 で、次の日。
「あ、乃梨子さん。約束した昨日の祐巳さまのメイド服の写真とってくださいました?」
「やっぱりお前が言ったのかよ!!!」
 しかも、そんな約束した覚えないし!!
「でも祐巳さまの写真くれるって…」
「だからさー、人の地の文読むのやめようよ!」


終われ


一つ戻る   一つ進む