【1833】 騙されて二度目は悲劇して!  (クゥ〜 2006-09-04 23:55:55)



 選挙が終わり実質的な薔薇さまに成った祐巳は、一枚の書類を胸に立ち上がり。

 「ねっ、二回目の茶話会しない?」

 そう言って祐巳は切り出した。

 「二回目?」
 「そう!!一応当選した公約でもあるし、今回は三年のお姉さまたちにも参加してもらって、妹選びではない。本当の茶話会」
 祐巳の提案に、薔薇の館にいた由乃さん、志摩子さんはどうしようかと顔を見合わせる。
 「でも、受験でお忙しいのでは?」
 「そうかも知れないけど、もうすぐ三年のお姉さまたちは卒業してしまうし、この後って三年生と一緒に開くイベントって無いじゃない」
 「そんな事を言って、実は祥子さまと楽しみたいだけじゃないの?」
 「えへへ、それもあるかな?」
 由乃さんのツッコミに祐巳は照れ笑いを浮かべる。
 「それでさ、もう一つ呼びたい人たちがいるんだけど……そうなると、かなりの大事に成っちゃうんだよね?」
 「呼びたい人?」
 「大事?」
 祐巳の言葉に更に怪訝な表情を浮かべる由乃さんと志摩子さん。
 「うん、今の中等部の三年生たち」
 「「えっえぇぇぇぇ!!!!!」」
 由乃さんと志摩子さんの声が重なる。
 「ゆ、祐巳さん!!何考えているのよ!!」
 「それは流石に」
 祐巳の提案に、由乃さんも志摩子さんも困った顔に成った。まぁ、予測はしていたから話を祐巳は進める。
 「概要はこう。三年生のお姉さまたちは卒業まで来られたり来なかったりして会う機会も減る。中等部の三年生達は殆どが進学組で高等部に不安と期待を持っている時期だから両方の学年を現二年生達で茶話会に招待するの、そうすれば卒業が近い三年生達との記念にも成るし、来年の一年生達の顔見世にもなる。これは開かれた山百合会を目指すのに良い行事に成ると思うの」
 「それは、そうかも知れないけど」
 「でも、規模が大きすぎるわね」
 当然、心配そうな表情の由乃さんと志摩子さん。
 「うん、分かってる。でもね、この事を考えたのは由乃さんがクリスマス会で菜々ちゃんを招待したのを見て考え付いたんだ」
 「菜々?」
 由乃さんは思ったとおり菜々ちゃんの名前に食いついてきた。
 「うん、菜々ちゃんも三年生だよね?」
 「そうだけど……う〜ん」
 悩んでいる由乃さんはこのまま陥落するだろう。後は志摩子さんだが……。
 「それにね、志摩子さん。もうすぐ祥子さまたちもいなくなるし、最後の記念て大事だと思わない?」
 「それは思うけど、実際的な問題があるのではないかしら?」
 「それなら、大丈夫。既に各部に応援を頼んでるんだ」
 「祐巳さんいつの間に」
 少し呆れ顔の志摩子さんだが笑っている。
 「既にね、料理部やお作法研究会や合唱部に新聞部や写真部、そうそう余興をしてくれる落語研究会なんかも参加してくれることが決まっているんだ」
 「祐巳さん、それって」
 「既に決定しているじゃないの?」
 「えへへ、これだけ根回ししていれば二人とも賛成してくれるかなって思ってさ」
 祐巳の言葉に志摩子さんと由乃さんは呆れ顔で、それでも笑顔で頷いてくれた。
 これで山百合会として正式に企画が出来、体育館の使用の許可も取りやすくなる。
 「まったく、いつの間にか紅薔薇さまらしく成って……それで、企画はどこまで進んでいるの?」
 流石は由乃さん、いいところを突いて来る。
 「うん、お客さんとしては三年生と一年生そして中等部の三年生で現二年生が招待する立場になるの。場所は一応、第二体育館を使用して料理部が簡単な食べ物を提供、合唱部や落語研究会が余興……あと、新聞部と写真部で翌日にリリアン瓦版を出すことが決まっているくらいかな?」
 「殆ど、決まっているじゃない!!何よ勝手に決めてさ」
 由乃さんは怒ったように頬を膨らませるが、本当に怒っている様子ではない。
 志摩子さんも同様だ。
 「でも、まだ漠然としたもので中身はこれから煮詰めていかないといけないんだから、本当に忙しいのはこれからなんだ」
 そう言って祐巳は一枚の書類を差し出す。
 それは今回の茶話会の企画書だった。
 由乃さんと志摩子さんのサインが入り、祐巳の企画は動き出す。

 二回目の茶話会。

 それは茶話会のレベルを超えて殆どパーティーの様相を見せていた。

 「あっ、そうだもう一つ企画があったんだ」
 「なに?」
 「うん、裁縫部から茶話会の衣装の企画」
 「裁縫部?」
 「そう、制服や体操着にエプロンではつまらないから、メイド服を用意してくれるって言ってた」

 祐巳の口からその言葉が出た瞬間、由乃さんと志摩子さんは顔を引きつらせ固まった。






 ごきげんよう、お久しぶりの投稿……。
 書きなぐり〜だぁ!!
 夏が終わったのでようやく色々な話の続きが書ける時間が取れそう……忘れられてなきゃいいけど、トホホ。
                                   『クゥ〜』
 


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