【196】 決戦前夜乃梨子を確保  (西武 2005-07-11 21:25:12)


「明日、祐巳さまにいいますわ。それでよろしいのでしょう」
その答えに満足したのかどうか可南子さんは去っていきました。そこで、
「というわけですから、乃梨子さんにお願いがありますの」


「何かと思えば、家に泊まってくれとはね」
「ご迷惑でしたか」
「いや、瞳子が逃げ出さないように監視できるしね。願ったりだよ」
「この期に及んでそんなことしませんわ。ご心配なく」
「どうだかね」

乃梨子さんのいうとおり、正直今からでもやめたい気持ちはあります。明日の行動について、勝算など皆無なのだから仕方ないでしょう。しかし可南子さんのいった言葉、
「それで、何か守れまして?」
その通りです、瞳子がもっていたはずのもの─祥子さま、敦子さん、美幸さん、その他の人々との関係─みんな元のようではなくなっていますわ。
だから、結果がどうあろうと明日はやらなければなりません。多分、明日砕けるのが新たなはじまりへの儀式ということにでもなるのでしょうね。ただ、
「瞳子は全然こわがってなどいませんわ」
本当です。瞳子がそう言うことができる相手が1人残っていますから。だから…本当に…


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