薔薇の館では一種異様な雰囲気が立ち込めていた。
その発信源は、紅薔薇の蕾である祐巳だった。
薔薇の館の住人ももちろん全員が気付いてはいるのだが…
いつもとはまるで違う雰囲気の祐巳に対して、どのように接すれば良いのかお姉さまである祥子も含め悩みこんでいるのだった。
原因は、昨日の夜に睡眠促進の為に読んだ本。
題名は『電波から逃れる方法』
そしてそこに書かれていたのは…『脳に近い髪は電波の受容体になりやすいので髪型に注意』
それはトンデモ本だったのだが、そこは純粋さが売りの祐巳の事・真に受けてしまっていた。
祐巳は悩みに悩んでいた…昨日の夜から…はたして電波を受けない髪型とは…
(お姉さまの髪の長さだと…どれだけ受信しているかわからない)
(同じ理由で、可南子ちゃんも…)
(由乃さんのおさげは…纏めてある上に2本あるとそれだけ受けやすいということ)
(志摩子さんのウェーブ…一体どれほどの受容性が)
(乃梨子ちゃんは短いけど…揃えらた後ろ髪には何かの意味があるのかもしれない)
(瞳子ちゃん………アレは絶対に受信しやすくしてるんだわ)
(となると残りは…令さましかいない!
令さまのそばにいれば安全!)
即断即決即実行とばかりに令に駆け寄る祐巳。どうやら親友の由乃がどうなるかも思考から除外されているらしい。
「令さま〜」
近づこうとしたした祐巳を…令はすっとよけた。
「令さま! 何故よけるんですか!?」
「いや…ある本に書いてあったんだけど…
祐巳ちゃん、そのツインテールは…アンテナ?」
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ごめんなさい。私も電波受信したみたい。
No.1968の砂森 月 様のお話を読んで…変なのが降りて来たみたいです。
砂森様、ネタにしてしまい本当に申し訳ありません。m(_ _)m