【1973】 全面解禁祐巳より愛を込めて  (雪国カノ 2006-10-31 20:03:38)


 
ハローウィン記念です!


でも先に謝っておきます。色んなことにごめんなさい(笑)

ではどうぞ…

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「Trick or treat!!」

やほー!ごきげんよう、可愛い天使たち。皆の佐藤さんこと、聖さまだよ〜ん♪卒業しちゃってからめっきり出番が減っちゃったよ。まぁ代替わりしたんだから仕方ないけどさ。

おっと、脇道に逸れちゃったね。皆もさっきの挨拶でもうわかってると思うけど…今日はね、なんと!ハローウィンなんだな〜これが。

と、いう訳で。今から山百合会の皆の家にレッツゴ〜♪

題して…『突撃!隣のハローウィン!!お菓子くれなきゃ、さぁ大変!聖さまがセクハラしちゃうよんw』大作戦!

始まり〜始まり〜。


***


えーそんな訳で最後にやって来ましたのは、ここ。はい、表札に注〜目!



『福沢』



つまり、祐巳ちゃんの家ね。え?何でいきなり最後なんだって?他のメンバーはどうしたんだって?…そんなの決まってるじゃん。キレイさっぱり省略!

あれよあれ。大事の前の小事ってやつ?所詮は前座みたいなものよ。私にとって重用なのは祐巳ちゃんただ一人なの!

でもまぁ、コメントすら省略じゃあ可哀相だよね。特に蓉子とか?学園祭以降、直接的な絡みってないもんねぇ。だから一言二言だけね。





んじゃあトップバッターはその蓉子ね。

何て言うかさ…実は蓉子ってこーゆーイベントとかノリノリなタイプ?かなり方向性を間違えてるけど。

なんかね…悪魔みたいなコスプレしてたんだよね。おまけに庭には目付きの悪いジャック・オー・ランタン(かぼちゃの提灯ね)が足の踏み場もないくらいに並んでたのよ。しかもきっちり整列して…正直怖かったって!で、くれたお菓子はキャンディ一個。ケチだなっ!





お次は祥子ね。

コイツは魔女っ子の格好して出て来たよ…瞳子ちゃんも一緒にいて、こっちは妖精か何からしくてふわふわした派手な衣装だったなぁ。

パーティーでもあるのって聞いたら『瞳子ちゃんの趣味ですっ』『祥子お姉さまの趣味ですわっ』だって。二人とも祐巳ちゃんが来てくれることを期待してあんな格好してたんだろうに…相変わらず素直じゃないよね。

旧紅薔薇姉妹は蓉子の卒業で、瞳子ちゃんは祐巳ちゃんと姉妹になってから…頭のネジが緩んじゃったのかな?でも魔女っ子祥子は可愛かった、うん。





次はでこちんこと江利子。

チャイムを鳴らす前にちょうど江利子が家から出て来たんだ…すんごい大荷物で。『Trick or デコリート!!』って言ったらその凶器(荷物)で背中を殴打されちゃったよ。

んで今から熊男んちだとさ。小さい子供がいるからイベント事って何かと大事なんだって。ちなみに凶器はイベントアイテムなんだそうな。ほんと大変だね。

あー帰りがけに鳥居家男四人衆に泣き付かれたのよね。『トリックぷりーず!憎っくき山辺にっ』だってさ。マジうざい…てゆうか誰もお菓子くれなかったし。





はいはい、次。令と由乃ちゃん。

いやぁ予想通り大量にお菓子貰っちゃったよ。令の手作りだから味は文句なしだろうし。

江利子が熊男の家にお泊りだって言ったら(もちろん嘘)令ってば泣き出しちゃったんだよね。よっぽどショックだったんだろうねぇ?うわ言みたいに『お姉さまの乙女が…私のご馳走が…』って呟いてたし。

ご馳走って…江利子のこと食べるつもりだったのかよ。呟く度に由乃ちゃんにぶん殴られてたけど。しかも竹刀じゃなくて金属バットだったような…令、生きてるかな?





ラストは志摩子。

これは…かなりびっくりした。この衝撃は言葉には表せられないね…だから回想しちゃおう!

言っとくけど妹だからって訳じゃないよ?他に特別な理由なんて“一切”ないからねっ!?


***


「う〜ん…お寺にハローウィンってのもなぁ。まぁいっか♪」

私はチャイムを押した。ちなみに小寓寺の裏手にある藤堂家の、だ。



――ピンポーン

――どたたっ!!ばたばたばたばたばたっ!



「な、何だ?この音は…」

先ほどまでは誰もいないかのように真っ暗で静かだった藤堂家。しかし今はみるみる明かりが点けられていき、その広がっていく光と共に誰かが走ってくる慌ただしい物音が聞こえる。

「あ…今日はご両親いないんだっけか。もしかして寝てたのかも」

悪いことしちゃったかな、私がそう呟いたと同時に玄関の明かりが点いて勢い良く引き戸が開けられた。

「ははははいっ!どちら様でしょうかっ!?」

出て来たのはもちろん、志摩子だ。

(慌てすぎでしょー)

志摩子にしては珍しくどもった返事に私は笑いを噛み殺しつつ用意していた言葉を投げ掛けた。

「Trick or トリぃ……」

そこまで言って…私は固まってしまった。言葉を途中で止めた私に志摩子が首を傾げている。

「……っ……がはぁっ!」
「お姉さま!?」

突然奇声を発しながらを鼻を押さえて蹲った私に、志摩子はおろおろしながらも駆け寄ってくる。

「ぐふぅっ」

近付いて来た志摩子を目の前にして、またもや私は吹き出した…いや、噴き出した。赤くて熱い飛沫を。

「お、お姉さま!鼻血がっ」
「じま゙っ!じま゙じま゙じま゙、じま゙ごっ……ぐ、ぐる゙な゙!…」
「何言って…」

志摩子が私の顔を覗き込んだ、その時。



――ばたばたばたばたばたっ



また誰かが廊下を走ってくる。

「志摩子さぁんっ!」

それは乃梨子ちゃんだった。

(あぁ…何で何で何で何で…何で!)

なぜ藤堂家に彼女がいるのか…私にはわかっていた。わかっていたのだが必死でわからない振りをしていた。

そんな私に構うことなく乃梨子ちゃんは叫んだ。









「志摩子さん!パンツとスカート履いてないからぁぁぁっ!」










そう。私が二度も噴き出した理由…それは志摩子がスカートを、あろうことかパンツさえも履いていなかったからだ。それに加えて、慌てて着込んだのかブラウスのボタンを掛け間違っていて胸の谷間は見えるし、その頂きも薄く透けて見えていた。

一度目の噴出はノーパンノーブラの志摩子に。二度目の噴出は近付いてきた志摩子と蹲った私の目の高さとが…ちょうどジャストフィットしたその下半身に!!

「え…」

乃梨子ちゃんの言葉に自分の姿を改めて見下ろした志摩子はたっぷり三十秒は固まって。

「きゃああああっ!!」

悲鳴を上げたのは言うまでもない。










そして志摩子と乃梨子ちゃんが二人でナニをしていたのかも…

いや…むしろ言わぬが花、というやつだろう。


***


回想終了!ふっ…長い旅路だった。色んなことがあったな…なぁ?友よ。

それにしても。

(志摩子の無修正の…志摩子の無修正の…志摩子のむしゅ……)

「ぐふ、ぐふふふっw……ハッ!!いかんいかん。何考えてんのよ、私!しっかりしろ!」

と、まぁ…そういった様々な冒険を潜り抜けてやっとこさ私は愛する祐巳ちゃんの家に辿り着いたのだよ、ワトソン君。

さて。次はいよいよ大本命の祐巳ちゃんだぁ!!きっとこの戦利品(主に祥子と令)にも喜んでくれるだろう。

私は鼻歌混じりにチャイムを押した。



――ピンポーン



『…はい』

暫くして応答があった。この声は祐麒だな。では一発。

「Trick or treat!!」
『………は?』

何とも間の抜けた声。さすが祐巳ちゃんの弟だ。

「いやいや祐麒。今日はハローウィンだよ?ハッピーハローウィン!!」
『はぁ……あの…聖さん?』
「ん、そうだよん♪ごきげんよう。祐巳ちゃん呼んでもらえるかな?」
『あ、こんばんは。…わかりました。少しお待ち下さいね』

そう言い置いて祐麒は祐巳ちゃんを呼びに行ってくれたようだ。

(本当に祐麒は優しくていい子だよな)

私がそんなことを思っていると。



――ガチャ

「聖さまぁ!」



満面の笑みで私だけのお姫様が現れた。

祐巳ちゃんは今日も可愛い。私も思わず頬が緩んでしまう。

「Trick or treat!!」

ゆるゆるの笑顔から悪戯っぽい笑顔に変えて、更に襲い掛かるような真似をして言った。

「へ?」

案の定、祐巳ちゃんはぽかーんとしている。そんな顔も可愛い。

「祐巳ちゃん、口開いてるよ?」
「うぇ?…う、あ…うわわわぁっ」

ハテナ顔から口を押さえて慌てふためいて耳まで真っ赤になって…相変わらず楽しい反応だ。

(もう…ダメ)

「ぶっ……あはははっ!」

私は堪えきれずに吹き出してしまった。

「せ、聖さまぁ…そんなに笑わないで下さいよぉ」

涙目になってうなだれる祐巳ちゃん。何だかツインテールもしょぼんとして見える。

「ごめんね。祐巳ちゃんがあんまりにも可愛かったからさ」
「どうせ私が百面相していたんでしょう!いいですよ、もうっ」

今度は子犬みたいにうーと唸ってそっぽを向いてしまった。

「ごめんごめん」

後ろからそっと抱きしめて頭をいい子いい子してやる。

「もう…子供扱いして…」

祐巳ちゃんはそう言ったが私の手を振りほどくことはなく、逆にゆっくりとその身を預けてきた。

「…今日はハローウィンなんですね」
「うん」
「びっくりしましたよ。聖さまったらいきなり何言い出すんだろうって…」
「あはは。しっかり顔にもそう書いてあったよ」
「もうっ」

祐巳ちゃんは頬をぷうっと膨らませる。そんな祐巳ちゃんが可愛くて可愛くて私は抱きしめる手にぎゅっと力を込めた。

「聖さまの甘えんぼう」

祐巳ちゃんを抱えてゆらゆら揺れているとそんなことを言われた。

(あーあ。言われちゃったな)

私は苦笑した。そしてあることを思い付く。

「ね、祐巳ちゃん……Trick or treat?」

祐巳ちゃんの顔を覗き込む。ホストばりの爽やかなキメ顔付きだ。

「…ちょっと待ってて下さいね」

祐巳ちゃんは何か考える仕種を見せてから徐に私の手から抜け出して家へと戻っていってしまった。

(あれあれ…チューしたかったのにな)

私は祐巳ちゃんが『Trick』と答えれば、ここが祐巳ちゃんちの玄関先だとか人目だとか、そんなこと関係なくキスするつもりだった。もちろん、祐巳ちゃんがそう答える自信もあった。

(うーん…考え込む前に顔を赤くしていたし堕ちたと思ったのになぁ)

ホスト佐藤聖、敗れたり。










「お待たせしました」
「あ、お帰…り?」

暫くして戻ってきた祐巳ちゃんの手には大きめの鞄。

「何、それ?」
「お菓子がいいですか?」
「へ?」

私の質問を無視して全く思いもしなかったことを聞いてくる。訝しく思っていると。

「それとも…私がいいですか?」

祐巳ちゃんはそんな驚くべき言葉を発した。

「聖さま」

何も言えずにいる私の手を取る。

「どっちがいいですか?」

祐巳ちゃんはにっこり笑った。

(そんなの…決まってるじゃん!)










「祐巳ちゃんがいい!」

Fin


あとがき。
ハローウィン…全然関係ないですね(汗)

聖さま下品すぎてすみません…orz

ちこっと修正しました(06/11/01)


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