「アリスさん、貴女は嘘をつきましたね。300年前の人を知らないと言った時に目が左上に向きました。それは右脳にアプローチして知っている人物を思い浮かべた時です」
「祐巳さま祐巳さま祐巳さまーーー!!」
「どうしたの? 瞳子ちゃん」
「どうしたの? じゃありませんわ!! また勝手に人の作品をぱくったうえに、クロスしてはいけませんわ!」
「事後承諾だよ、瞳子ちゃん」
「おめでたーい! おめでたいですわ祐巳さま! だいたい、直前の作品(【No:2033】)に堂々とツッコむのはどうかと思いますわ!しかも「千里眼 福沢祐巳」バージョンで!!」
「えー、楽しいのにー」
「楽しくても、駄目です! それより、祐巳さま。私達がまたレオタード姿という事は」
「そうよ、瞳子ちゃん。怪盗紅薔薇よ。またもや盗むのよ!」
「人の作品を、すでに盗んでいますけど」
「駄目よ、瞳子ちゃん。気にしたら。気にしたら、くまなんだから」
「意味が分かりませんわ、祐巳さま」
「そうね、ひぐらしが哭いているわね」
「祐巳さまーー!! 言ってるそばから人さまの作品にちょっかい出さないで下さい!!」
「えー、面白いよ?」
「面白くてもです」
「うぅ〜、瞳子ちゃんのいけずぅ。……いいもん。祥子お姉ちゃんに言いつけてやる」
「アホですか!? アホ子ですか!? 駄目だと言ってるじゃないですか!」
「だって、笑いを盗るには各々が知ってる作品に関連させた方がうけるよ? ワカイオサムみたいに」
「安置過ぎますわ、祐巳さま。そんなので笑いが盗れたら、みんな物真似師になりますわ。それより、祐巳さま。今日は何を盗むんですの?」
「えっとね、真っ黒くてA4ぐらいの大きさの大学ノートを、いけすかないナルシストな大学生の部屋から盗み出せって、チャーリさんが言ってたよ」
「……祐巳さま、既に怪盗では無……いえ、もういいですわ。それで、そのノートってもしかして」
「デスノートです」
「……ダジャレ?」
「あのね、このノートに名前を書くと死んじゃうんだって」
「既に盗んでいるんですのね」
「じゃあとりあえず、しーまーづ、よーし」
「祐巳さまーー!! 何をさらりと書いているのですか!!」
「えー、だって由乃さん、既に菜々ちゃんが内定済みだし、なんか出番が多くなってるし、消しとけばいいかなーって」
「黒いですわ、祐巳さま! 一応親友を殺してはいけませんわ!」
「えー、じゃあ、とーうどー」
「だーかーら! 駄目ですわ祐巳さまー! そんな黒い事ばかり言ってたら藤原祐になっちゃいますわ!」
「えー、だって、魔法少女とか志摩子さんばっかり企画化されてるんだもん」
「だもん、じゃありませんわ! 親友を殺すのはいけませんわ!」
「じゃあさじゃあさ、これなら大丈夫だよね?」
「誰でも駄目ですわ」
「大丈夫だよ。死ぬって言っても物語上で死ぬって意味だし。出番が無くなるって感じだよ」
「つまり、ある意味『命』を盗るのですわね」
「そうだよ。影となるだけだから心配ないよ」
「祐巳さまがそうおっしゃるのなら……分かりましたわ」
「じゃあさっそく。か――」