ARIAシリーズ
【No:1328】【No:1342】【No:1346】【No:1373】【No:1424】【No:1473】【No:1670】【No:2010】―今回
まつのめさま最新【No:2036】
今更ながら、まつのめさまの『こぼれ落ちた』の方に、祐巳のARIAカンパニー制服姿があるのを知った。愚か者です……。
ありがとう!!まつのめさま!!
『クゥ〜』
「月が綺麗ね」
「そうですわね」
昨夜の嵐が空の汚れを無くしてくれたのだろう。
空に浮かぶ、月が今日は良く見える。
「貴女とこうして一緒に居られるのも今日が最後なのよね」
「はい……」
「やはり決意は変わらない?」
「はい、それが私の想いですから」
「そう……」
小さな溜め息の音が、奇妙なほど大きく聞こえた。
「ごめんなさい、我侭なのは分かっているのです。ですが……」
「大丈夫、私にもその想いは分かるから……ただ、私はまた失うのかと思ってしまったのよ」
「……」
二人の間に沈黙が流れる。
――ガチャ。
「あっ、こちらにいらしたのですね」
そこにドアが開いて、別の人影が入ってくる。
「皆さま、おそろいに成られましたよ。今夜の主役不在では話に成りませんから」
「あぁ、すみません」
「では、いきましょう。皆、貴女のために集まったのだから」
そして、ドアは閉じられた。
ゴンドラを使った水上マラソン=ヴォガ・ロンガの噂。
曰く、水先案内人=ウンディーネの昇格試験。
そんな事を聞かされれば、頑張らないわけにはいかない。
そう言うわけで、祐巳はヴォガ・ロンガに向けてアリア社長と今日も練習を続けていた。
まぁ、やっていることは何時もと変わらない、運河=カナレッジョでの練習なのだが……ただ、最近は……。
「え〜と、右手に見えますのが、天国の道と呼ばれています商店街の入り口に立つマリアさまで……え〜と」
観光の説明の練習も加えるように成っていた。
ヴォガ・ロンガの上位入賞を目指すのなら、ゴンドラの練習だけしたほうが効率は良いのだろうが、観光案内も出来ないようでは一人前=プリマには成れないだろう。
勿論、舟謳の練習も欠かせない。
やるべきことは多いのだ。
「ぷいにゅう!!」
祐巳が詰まりながら観光案内の説明をしていると、アリア社長から怒られてしまった。
祐巳としても普通の観光ルートなら大分説明できるように成ってきていたが、ほんの少し外れたところにある名所などの説明はまだまだ覚えていない。
祐巳は、惰性で流れるゴンドラを手近なパリーナを掴んで止め、アリシアさんや灯里さんから教わった事を書いておいたメモ帳を取り出し確認。
――パッン!!
音を立ててメモ帳を閉じ。
「よし!!今度こそ!!」
「ぷいにゅう」
「はい、がんばります!!」
祐巳はパリーナを放し、オールに力を入れる。
祐巳が操るゴンドラは、カナレッジョを進んでいく。
「あら、祐巳ちゃん」
「えっ?」
気合を入れなおしたところで不意に声をかけられた。見てみればカナレッジョ沿いの道=フォンダメンタから、老婦人が二人、祐巳を見ていた。
「……グランマ!?」
「ぷいにゅう!!」
祐巳は慌ててゴンドラを岸に着ける。
「ごきげんよう、お久しぶりです。今日はこれからARIAカンパニーの方に?」
祐巳がゴンドラを岸に着けると、アリア社長はグランマに走りよっていく。
「ほっほっほっ。いいえ、お友達とネオ・ヴェネツィア観光よ」
グランマは、アリア社長を抱きしめたまま優しい笑顔で祐巳の質問に答える。
……ネオ・ヴェネツィア観光。
「どうしよう」
ネオ・ヴェネツィア観光と聞いて、祐巳は自分のゴンドラを見て悩む。
本来、祐巳の立場ならグランマをゴンドラに乗せるべきなのだろうが、何せ相手は伝説の水の大妖精。怖いというか、恐ろしい。
「ぷいにゅ!!」
だが、アリア社長がグランマから離れ、祐巳のゴンドラに乗り込んだあげくに、グランマを誘ったのだ。
……アリア社長!!!!!!
祐巳は瞬間、アリア社長に抗議する。
「あら、祐巳ちゃんは練習中なのではなかったの?」
アリア社長の手招きに、グランマは笑顔のまま聞いてくる。
「あっ、はい。一応、ヴォガ・ロンガに向けて特訓しながら、観光の練習をしていました」
「ほっほっほっ、それでは練習の邪魔は出来ないわね」
「い!!いいえ!!大丈夫です!!」
何が大丈夫なのか祐巳自信も良く分かって言っていない。
「あっ!!」
祐巳はフッと水先案内人=ウンディーネの規則を思い出す。
確かにARIAカンパニーの関係者で伝説とまで言われる人だが、現役を引退した人を指導者無しに乗せていいものか?
だが、ここで断るのも大変に失礼だ。
迷いに迷って祐巳が出した結論は……。
「どうぞ、お乗りください」
祐巳は片足でゴンドラを、もう片方で岸を押さえるとグランマとグランマのご友人に手を差し出した。
……意思、弱いな〜。
まぁ、アリシアさんや藍華さんから、似たような例で乗せていた灯里さんの話を聞いているので大丈夫だとは判断できるのだが……。
「ほっほっほっ、ありがとう」
グランマは嬉しそうに祐巳の手を取りゴンドラに乗り込む。
「さっ、どうぞ、お手を」
「ごきげんよう、失礼するわね。祐巳さん」
……?
グランマの友人の老婦人の声を聞き。手を取ったとき。祐巳は奇妙な違和感を感じてしまった。
「どうかしたの、祐巳ちゃん?」
「あっ、いえ」
祐巳はグランマの声に違和感を振り払うと、老婦人をゴンドラに乗せた。
灯里さんに教わった練習通りにグランマたちをゴンドラに案内したつもりだが、グランマの評価が気に成るところだ。
……。
「さっ、行きましょう」
だが、グランマは笑っているだけで祐巳に注意はしない。
祐巳は仕方なくゴンドラを岸から離す。
「どちらに行きましょうか?」
「祐巳ちゃんにお任せするわ」
お任せされるのが一番困るのだが……。
「それではARIAカンパニーに向かいつつ観光と言うことで……よろしいですか?」
「ほっほっほっ」
「ごめんなさいね」
どうやら良いようなので、祐巳は頭の中でルートを浮かべながらゴンドラを進めていく。
祐巳は、一先ず大運河=カナル・グランデの方に抜けることにした。
……あの角を右に行けば出られたはずだよね。
少し、祐巳自信の方向感覚に疑問はあるが間違いはないはず。
「ゴンドラ通りま〜す!!」
祐巳がゴンドラを右に旋回させようとしたとき、突然。
「祐巳ちゃん、そこを左ね」
「えっ?」
「早く、左」
「は、はい!!」
祐巳は慌ててゴンドラを左に旋回させる。
その後もグランマの指示に従って、右、左とゴンドラを進めていく。
そして気が付けば……。
「ここ、どこでしょう?」
「ぷいにゅう?」
祐巳はオールを握り締め、困り果てていた。
「さぁ、どこかしら?」
「本当に困ったわね」
祐巳はグランマたちの言葉に固まる。
お任せと言いつつ、指示を出して迷った挙句に知らないと来た。
だが、困っている場合ではない。周囲を見れば、記憶の片隅に覚えている建物がある。と言うことは、少なくとも一回はこの場所に来ているはずだ。
「あの〜、グランマ。本当にココはどこでしょう?」
一応、もう一度聞いてみる。
「ほっほっほっ、ごめんなさいね。本当に分からないのよ」
何故か笑っているグランマを見て、祐巳は少しグランマを疑った。
乃梨子ちゃんや由乃さんあたりなら食って掛かっていることだろが、祐巳はそれ以上は聞かなかった。
グランマ相手に文句が言えなかったというのもあるが、もう一つは、最近祐巳の中に生まれてきたウンディーネとしてのプライドだ。
それは高飛車な事ではなく。
半人前とはいえ、灯里さんやアリシアさんにアリスさんたちに教わってきた様々な事。祐巳はそれらを誇れるウンディーネに成りたいと思っているのだ。
だから、グランマに嘘でしょうなどと失礼な言葉を言うわけにはいかない。
お客さんの指示に従って、迷いましたではウンディーネ失格だろう。
以前、姫屋の晃さんに言われたことがある。
『一人前に成りたいのなら、自分のミスは自分でフォローしろ』
確かに、ココまで来たのはグランマの指示だ。相手はグランマ、当然、祐巳の数十倍凄いウンディーネだからそのままの指示を受け入れた。が、その指示を受け入れることを決めたのは祐巳の意思だ。
……私の意志か。
祐巳はフッと思い出す。今でも目を閉じるだけで思い出せる祐巳の大事なお姉さまのこと。きっと、あのままあの時代に居たのなら、祐巳は生徒会の選挙に出ていただろう。そして、選挙に出るのは、お姉さまの指示ではなく。祐巳の意思。
……ウンディーネに成ることを決めたのも自分の意思。
……なら、自分のミスは自分でフォローする!!
「よし!!」
「ほっほっほっ、祐巳ちゃん、気合入れているところ悪いのだけど。この時期の一番難しい時間帯になるから」
「はい?」
祐巳が気合を入れたところで、グランマは笑い。
「潮が満ちが早いから、通れなくなる場所が増えてゴンドラが閉じ込められてしまうわよ」
ニコニコしながら言った。
……。
……。
「ど、どどど、どうしよう!!」
祐巳は慌てていた。
グランマの言葉を聞いて急いだつもりだが、既にいくつかの橋が通れなく成っていたのだ。
しかも、移動を重ねたので、更に迷うことに成ってしまった。
「ほっほっほっ、祐巳ちゃん大丈夫?」
グランマは微笑んだまま祐巳を見ていた。多分、本当に泣きついたら道を教えてくれるだろう。だが、それは取ってはいけない選択だという気が祐巳はしていた。
……考えなきゃ、これはグランマの試練なんだから!!
……そうだよ。これはグランマが指導してくれている大チャンスなんだから!!灯里さんやアリスさんだって、グランマからウンディーネの指導なんて受けて居ないのだろから。
……一先ずこの辺の地理に詳しい人でも探すか?
そう思ったとき、祐巳の上を風追配達人=シルフが飛んでいく。シルフとはAQUAの空をエア・バイクで翔る宅急便屋さんのこと。
……シルフの人かぁ、ウッディーさんが居たら道が聞けるのだが。
ウッディーさんは祐巳の知り合いのシルフさんで、ARIAカンパニーに荷物をよく届けてくれる。
「あっ!!」
祐巳は急いでゴンドラを進める。
「アルさ〜ん!!」
祐巳が声をかけたのは地重管理人=ノームのアルさんだ。
「おや、確か貴女は、灯里さんの後輩の」
「はい、福沢祐巳です。何度か灯里さんと一緒に会ったことがあると思いますが」
「あぁ、そうでした。祐巳ちゃんですね」
ノームと言う人たちは、AQUAの地下に住み、本来重力の小さいAQUAの重力を地下でコントロールしている人たち。住んでいる場所の影響か背の低い人が多いらしいのと、いつも黒いマントを羽織ってサングラスをかけている。
アルさんも、外見は祐巳よりも小柄で年下に見えるが、実年齢は二十歳を過ぎているらしい。
「今日は……おや、貴女はグランマさん?」
「こんにちは」
グランマとアルさんはお互いに挨拶する。
「あれ?お二人は知り合いですか?」
「えぇ、以前、灯里ちゃんの紹介でね」
グランマの言葉に祐巳は頷く。
確かに祐巳も灯里さんを通じて二人と知り合いに成ったのだから、知り合いだとしてもおかしくはない。
「それで祐巳ちゃんはどうかしたのですか?」
アルさんが年上なのは分かっているが、アルさんにちゃん付けされるのはどうも違和感は拭えない。
「あのですね。潮が満ちてきて、ゴンドラが閉じ込められてしまって……」
祐巳は経緯を説明する。
「それで海かカナル・グランデの方に出られるルートはないか知りたいのですが?」
「海か、カナル・グランデの方にですか?……そうですね。僕もこの辺の地理に詳しいわけではないので」
アルさんも知らないようだ。
「抜け道とかあれば良いのですが……」
それでも食い下がってみる。
「抜け道ですか……あぁ、ありますよ。抜け道」
「本当ですか!?」
「はい」
アルさんは少し困り顔の祐巳に笑顔で応える。
祐巳の顔は、アルさんの自信ありげな顔に笑顔に変わる。
「この先に地下世界への水門があります。そこを入って、別の水門に出れば良いんですよ」
「ち、地下世界ですか?」
それを聞いて祐巳の顔は、また少し曇る。
「はい、地下世界へのエレベーターがある場所から、いくつもの水路がネオ・ヴェネチアの何箇所かのカナレッジョに繋がっていますので、そこを通れば別の場所に出られますよ」
「それって複雑ですか?」
地下世界そのものに行ったことのない祐巳に不安が募る。
「大丈夫、水路は基本的に荷物搬入も考えて広いですし、そんなに複雑ではないですよ」
祐巳はその言葉に少し安心するが、不安は残っていた。
「あの、もし良かったら案内しましょうか?」
「えっ、良いんですか?!」
祐巳の顔が笑顔に変わる。
「はい、グランマがよければ」
「あっ、そうだ」
アルさんがグランマを見たので、祐巳もグランマを見る。
「ほっほっほっ、いいわよ。貴女はどう?」
グランマはお友達に声をかける。
「ふふふ、元は秋乃さんのイタズラのせいだから勿論大丈夫よ。それよりもウンディーネさんの表情がコロコロ変わって面白いわ、まるで百面相みたい」
「あっ、う」
うぅぅ、グランマのお友達にまで百面相と言われてしまった。
「あぁぁ、祐巳ちゃんの百面相は素敵だと思いますよ!!」
アルさんが、フォローしてくれる。が、フォローに成っていない気がする。
「……あれ?そう言えば秋乃さんて?」
フッと思ったので聞いてみる。
「あら、グランマのお名前よ?」
……まぁ、少し考えれば分かることだ。だからと言って祐巳がグランマのお名前を言うなんて恐れ多いことは出来ない。
「あら、言ってもいいわよ?秋乃って」
「い、いいえ!!そんなこと出来ません!!」
「ほっほっほっ、少し残念ね」
……祐巳が思ったことが分かるなんて、グランマもエスパー?
グランマの楽しそうな笑顔を見ながらアルさんに手を差し出す。
「それでは案内を、お願いします」
アルさんをゴンドラに乗せ、祐巳は地下世界の水門の方に向かう。
祐巳は地下世界にはまだ行ったことはない。素通りするだけと分かっていても少しドキドキしていた。
ちなみに祐巳は空に浮かぶ浮き島と呼ばれるAQUAの気候制御ユニットにも行ったことはない。
地下世界へのトンネルは、壁のライトが周囲を照らしゴンドラを進めるのに問題はない。
「ここが地下世界に続くカナレッジョですか」
「そうです。まぁ、正確には入り口に向かうための地下のカナレッジョですけどね」
アルさんは楽しそうに話してくれる。
そんなアルさんを見ていると申し訳ないが弟を思い出す。
丁寧で優しいアルさんとは違い、生意気な弟だったが祐巳が居なくなった今どうしているのか知る術はないが、居なくなった祐巳を探して学校を休むようなことはなく、両親を支えていって欲しいと思う。
「どうかしましたか?」
「あっ、いえ」
家族のことやお姉さまたちのことを考え出すと止まらなくなるので、祐巳は頭を振り気分を無理やり変える。
アルさんの指示で地下水路の交差を二回ほど角を曲がった。
「あっ、見えてきました。あそこが地下世界への本当の入り口です」
「本当の?」
見えてきたのは小さな船着場のような場所と普通のドア。実は祐巳、地下世界の入り口と言うことで大げさな設備を想像していたるする。
……地下世界ってもしかしてそんなに大げさな場所じゃないのかも。
そんなことも思ってしまう。
「祐巳ちゃん、すみませんがあそこで降ろしてもらえますか?」
「えっ」
「後は、ココを真っ直ぐ行くだけですので大丈夫ですよ」
「あっ、すみません。アルさん」
祐巳はまた百面相をしていたのかなと思いながらゴンドラを入り口前の岸につける。
「それにしても何だか普通の扉ですね。鉄の大きな扉とか想像していました」
「……そうですね。別に地下世界以外の人は立ち入り禁止とかしているわけではありませんから、よかったら見ていきませんか?けっこう凄いですよ」
アルさんは屈託なく笑った。そんなところが弟を思い出させるのかも知れない。
「いえ、せっかくですがグランマ……」
「あら、せっかくだから見てみたいわ」
祐巳の言葉を遮ったのはグランマの友人の老婦人だった。
「ほっほっほっ、そうね。私も行こうかしら」
グランマも賛成したので、祐巳はゴンドラを近くの手すりに紐で括り付け。グランマたちと本当の地下世界に向かう。
先頭にはアリア社長、その後を、アルさん、グランマが続き。祐巳とグランマのご友人が並んで着いていく。
少し長いトンネルの先には、入り口と同じドア。
何の変哲もないドアを開くと、ゴッウ!!と風が祐巳を押し返そうとする。
こんな地下で風なんてと驚いてドアを抜けた。
「わぁっぁぁぁぁ!!!!!」
そこに広がる光景が少し信じられなかった。
「これが地下世界!?」
巨大な竪穴の空間が底が見えないほど広がり。まさに壁としかいえない場所に下の方まで家が引っ付いて建てられている。
「凄い……」
祐巳は今度こそ想像を超える光景に絶句していた。
「ほっほっほっ、良かったわね」
「えぇ、本当に来て正解ね。ウンディーネさんの嬉しそうな顔が見られたもの」
「えっ?」
祐巳はグランマたちを見る。考えてみればグランマたちは地下世界に来たことがないとは思えない、ならワザワザ来たのは祐巳にこの光景を見せるため?
しかも、どうやら祐巳が笑顔を見せていなかったのが原因のようだ。
本当に……。
祐巳はもう一度笑った。
ウンディーネたるものいつも笑顔でなければ、不安な顔をしてお客さまを不安にさせてはいけないのだ。
「では、祐巳ちゃんも笑顔に成ったことですし、とっておきの場所に案内しましょう!!」
「ぷいにゅう」
アルさんは笑顔で先頭に立つ。
「あのアルさんはどこに?」
「さぁ、残念だけど知らないわ」
「楽しそうだから着いて行きましょう」
アルさんが向かったのはレトロなエレベーターだった。
昔のアメリカの映画に出てくるような、格子が扉に成っているようなエレベーター。スピードもゆっくり降りていく。
「何所まで行くんですか?」
「地下世界の最深部、つまりはAQUAの底ですね」
「AQUAの底……」
ゆっくりと降りていくエレベーターが音を立てて止まった。
ガラガラと格子扉が開いていく。
――キイィィィン!!
――カァァンカァァン!!キィィィィン!!
――カァン、キィィィィン、キィィィン、カァァァン!!
「何の音?」
――キィィン、コォォンン!!
――キイィィィン!!
クリスマスのハンドベルのような音が響いている。
「不思議な音楽」
「これは重力石が、AQUAの核に張り巡らされたパイプの中を走ってく音なんですよ」
「重力石?パイプ?」
確かに壁一面に大小さまざまな大きさのパイプが通っている。
音は、その中から響いてくる。
「本当だ」
エレベーターからしばらく歩くと、飴玉工場に出た。
「飴玉?」
「それが重力石ですよ」
「えっ?!」
祐巳は驚いて飴玉もとい重力石を見る。でっかい砂時計のようなガラスの中、上には虹色の液体が溜まっており。小さな管を通って、飴玉のような丸い形で下に溜まっていく。
「そして、アレが重力石をパイプに送り出している装置です」
「わぁ」
そこにあったのは巨大なパイプオルガンだった。
不思議な音色の音楽はまだ演奏が続いていた。
重力を作り出すために重力石を送り出す機械。
それでこんなに素敵な演奏をするのは、どんな人だろうと思ってしまう。想像したのはやはり祐巳の大事なお姉さまである祥子さま。
祐巳の空想力が低下していようが、柏木さんみたいな人が演奏しているのは嫌だと思った。
そして、音楽が鳴り止み。演奏していた人がゆっくりと振り返る。
それは黒い火星猫に見えた。
「アパじいさん」
そこにいたのはアリア社長と同じくらいの背丈のノームのおじいさんだった。アルさんと同じ黒いマントにサングラス、黒い帽子まで被っているものだから火星猫に見えても仕方がない。
しかも、勝手に祥子さまを連想していたものだからギャップが痛かった。こんなことなら、柏木さんを想像すればよかったと後悔する。
……ごめんなさい、お姉さま。
「なんじゃい、そこの失礼な娘は」
また、顔に出ていただろうか?
「あっ、いえ、その余りにも素敵な演奏だったもので!!」
祐巳は慌てて取り繕う。
「なんじゃ、ワシに惚れたか。じゃが、奥さん居るのでな、遠慮させてもらおうか。ひゃははは」
アパじいさんは何故か高笑いをしていた。
「うん、じゃが気に入った!!きのこ鍋をご馳走しよう、アル、後は任せたぞ」
「……はぁ」
訳が分からないままアパじいさんに連れられていく祐巳。
「ほっほっほっ、それではね」
「ごきげんよう」
「アルさ〜ん、どうもありがとうございました!!ごきげんよう!!」
アルさんと別れ、今度はアパじいさんと地下世界を歩き。地下世界名物きのこ鍋をいただいた。
きのこ鍋は美味しく。
アパじいさんも実に楽しく、素敵なおじいさんだった。
地下世界は素敵なところがいっぱいで、今度、灯里さんたちと一緒に歩くのも悪くないと思った。
アルさんの代わりに、帰りはアパじいさんと地上での出口で別れ、ゴンドラまで戻る。
「……あっ」
水位が下がり、ゴンドラは紐が足らず少し水面から浮いていた。
祐巳は紐を解き、ゴンドラを水面に戻す。
「何だか、出口を探して慌てていたのがバカみたいですね」
「でも、楽しかったでしょう?」
「そうですね」
祐巳は再びゴンドラにグランマたちを乗せて出口へと向かう。
「……楽しかったです」
「それは良かったわ」
ゴンドラはゆっくりと外へ出た。
「……」
「ふふふ」
「素敵ね」
夕暮れのネオ・ヴェネツィアが暗いのに慣れた目に眩しく映る。
「祐巳ちゃん」
「はい?」
「この世界には、素敵なことがいっぱいあるのだから、ひとつひとつ知って育んでいけばいいのよ。そして、そうやって知ってきたことをお客さんに伝えていくのがウンディーネの楽しいところよ」
「楽しいところ?仕事ではなく?」
「そう、楽しいところ」
グランマの優しい言葉に、祐巳はオールに力を込めゴンドラを夕暮れのネオ・ヴェネツィアに漕ぎ出す。
「そうですね」
祐巳は、祐巳のペースで頑張っていく。
昇格試験が掛かっているから楽しめないと思っていたが、ヴォガ・ロンガも灯里さんたちが言うように楽しもうと思える。
せっかくプリマを目指すのだから、お客さんを楽しくさせるウンディーネに成りたい。
「祐巳ちゃん、ウンディーネであることを楽しみなさい」
グランマの言葉に祐巳は小さく頷いた。
「あっ、でも、満ち潮とか引き潮とかは覚えておくように」
グランマの少し意地悪な笑顔に祐巳は小さく笑った。
夕暮れのネオ・アドリア海をゴンドラがARIAカンパニーに向かって進んでいった。
「ただいま戻りましたー!!」
「遅いです!!でっかい待ちました」
グランマと老婦人と一緒にARIAカンパニーに戻ると、そこにアリスさんとまぁ社長がいた。
「どうしたの?」
ゴンドラを桟橋に着け、出迎えたアリスさんを見る。
まぁ、アリスさんや藍華さんたちがココに来るのは珍しいことではないから、なんとなく来ただけなのかも知れない。
「何って……明日のための話があるから来たのです」
「明日?」
「そうです。グランマもそのために来てもらった……祐巳、もしかして何も聞いていないのですか?」
「何を?」
「あぁぁ!!アリスちゃん、祐巳ちゃんに話しちゃダメよ!!」
「でっかい失言でした」
慌てる灯里さんを見て、アリスさんが渋い顔をする。
「祐巳、今の話忘れてください」
「……いや、無理」
「でっかい悪人です」
「何で!?」
「あらあら、楽しい話を邪魔して悪いけれど。祐巳ちゃん、ゴンドラを戻して急いで帰ってきて」
「あっ、はい」
アリシアさんに言われ、祐巳はゴンドラを船着場に戻すと急いで戻ると、嬉しそうな灯里さんを先頭にアリシアさん、アリスさん、グランマが並んでいた。その後ろでは、老婦人とアリア社長が祐巳を眺めている。
「……あ、あの、これは」
「ふふふ、ジャーン!!」
灯里さんは笑い、祐巳の前に何か銀色のプレートを差し出す。
「何ですか?コレ」
「マンホーム行きの宇宙船の旅客券よ」
「マンホーム行き?」
「そう、社員旅行でマンホームに行くの」
「社員旅行ですか?」
「祐巳、話を理解しています?」
「うん、だから、社員旅行でマンホームに行くんでしょう?」
祐巳の言葉にアリスさんがコクコクと頷く。
「そうです……ちなみにどこが社員旅行に行くのかは知ってます?」
「ARIAカンパニー?……あっ?あぁぁ!!うえぇぇぇ!!」
「やっと気がつきましたか、でっかい鈍いです」
アリスさんが祐巳を見てやれやれと肩をすくめると、灯里さんが不思議そうな顔をしてハッと気がつく。
「もしかして祐巳ちゃん、自分が行くって気がついていなかったの?」
「……こっちも、でっかい鈍さです」
アリスさんがワザと溜め息をつき、祐巳と灯里さんはお互いを見て笑った。
「でも、マンホームに社員旅行ですか……あっ、でも私はパスポートとか持っていませんよ?」
「パスポート?」
「……なにそれ?」
アリシアさんたちには不思議な顔をされ、老婦人にまで笑われた。もしかして、この時代にパスポートは存在していないのだろうか?
「……あっ?!……もしかして、グランマもそれで来られたのですか?」
「えぇ、そうなのごめんなさいね。アリシアから祐巳ちゃんにナイショにして欲しいと言われていたから」
グランマは少し楽しそうな笑顔をしていた。
「……それでは皆で地球じゃなかった、マンホーム旅行ですね。あれ?でも、何でアリスさんも?」
アリスさんは仲が良いとはいえ別会社。
「私が誘ったのよ、本当は藍華ちゃんも誘ったけど姫屋も社員旅行はマンホームだからって断られちゃった」
「ちなみにグランマは行かないわ」
「えっ、でも、それならどうしてグランマが?」
「私たちがいない間、アリア社長を頼もうと思って」
「アリア社長も行かないんですか?」
「えぇ」
聞けば火星猫は、AQUAから離れるのを嫌がるらしい。その理由は良く分かっていないらしいが……。
アリア社長を見ていれば、何となくその理由が分かる気がするのは気のせいだろうか?
「でも、まぁくんは着いていきます」
「まぁ!!」
……中には変わり者もいるだのだろう。
……。
…………。
「祐巳ちゃん」
「灯里さん?」
「はい、紅茶」
「……すみません」
夕方、突然のマンホーム旅行の話を聞いた後。アリスさんも一緒に、祐巳お手製のピッツアで夕食を頂いた。
その後は、アリア社長はグランマたちと老婦人の知り合いのお宅に泊まるとかで向かい。アリシアさんとアリスさんも一緒に帰ってしまった。
だから、ARIAカンパニーには、今、祐巳と灯里さんの二人だけしか居なかった。
祐巳は、少し気持ちを落ち着けたくて、祐巳に与えられた練習用のゴンドラに乗って波に揺られていたのだ。
そこにワザワザ、灯里さんが紅茶を持って来てくれた。
「明日の事でも考えていた?」
祐巳は灯里さんの言葉に頷く。
「マンホームに行くのが不安?」
「……」
祐巳は返事の変わりに頷いた。
「そうなんだ、でも、なんでこんな所で?」
「……さぁ?」
夏から秋に変わって来ているのだろう。日が落ちると少し半そでのARIAカンパニーの制服では少し肌寒い。
それなのにゴンドラに乗って考え事と言うのは少しお間抜けだが……。
「なんだか、いつの間にかココが落ち着ける場所に成ってしまったみたいですね」
「……そうかぁ」
灯里さんは小さく頷いた。たぶん詳しく言わなくても分かって貰えているのだろう。
「紅茶、温かいですね」
「うん」
二人してAQUAの夜空を見上げる。
空には二つの月が輝いていた。
目の前に二つの月が見えている。
見えているといっても宇宙船の中に映し出された映像で、何だかジャガイモみたいだ。
「ジャガイモ?」
「でっかいジャガイモです」
「……でも、AQUAは凄く綺麗」
「はい、でっかい綺麗です」
そう、本当にAQUAは綺麗だった。
あそこに自分が住んでいるなんて信じられない気分。
そのAQUAが遠ざかっていく。
向かうのはマンホームと、今は呼ばれている地球。
祐巳は、何だか複雑な気分で、せっかくのおろしたての新しい洋服も気分が乗らずに台無しな感じ。
「はぁ」
少しは新品の洋服で気分が晴れると思ったのだが、これならいつもの灯里さんからの古着でも良かったかもしれない。
祐巳は、基本的に朝起きてからパジャマに着替えるまで、ARIAカンパニーの制服を着ている。これは灯里さんも同じ。
それ以外のとき休日などは灯里さんから貰った古着を着ていた。祐巳と灯里さんは趣味が似ているのか、古着とはいえ気に入った洋服も多く。
祐巳の持つ衣類の殆どは灯里さんからの貰い物。
今、着ている服のように祐巳が買ったものもあるが、衣食住が揃っているので殆どは日用品や下着類。買っても靴くらいなもので、洋服などは数は少ない。
まぁ、冬に備えてコートは欲しいとかは思っている。
あと買うものといったら……間食が多い気はする。
少しお腹に手を当て、お肉を摘む。
「はぁ」
少し控えようと思った。
「どうしましたか、祐巳?」
祐巳の様子が気に成ったのか、隣に座るアリスさんが声をかけてくる。
「ん、ちょっと不安がね」
「そうですか、ちょっとなら良いですが、でっかい不安なら話して下さい。力に成れるかは別問題ですが、聞くくらいはしてあげます」
アリスさんらしい慰め方だ。
「ありがとう」
「別にお礼は良いです。祐巳は大事な友人ですから」
何だか微妙に意味が違うような気がするのは、気のせいか?
「おお、仲がよろしいことだね」
今度は後ろの席から、灯里さんが楽しそうに覗き込んできた。
「あらあら、本当に祐巳ちゃんとアリスちゃんは火星の月のように仲良しさんね」
「火星の月ですか?」
祐巳はアリシアさんの言葉の意味が分からず聞き返す。
「そうよ、火星の月は知っての通りに二つ」
それは聞いたことがある。
火星の月、かつてフォボスと呼ばれた火星軌道の内側を回るのがルナツー。
ダオモスと呼ばれていた外側を回る月が、ルナスリーと呼ばれているらしい。
ちなみにルナワンとは、マンホームの月の事。
だが、それがどうして祐巳とアリスさんに成るのか?
アリシアさんの話は続く。
「ルナスリーとルナツーは火星の周囲を回っているけど、その速度は違うわ。ルナスリーはゆっくり、ルナツーはとても早く。それでも仲良く周っていて、お互いがお互いの速度で惹かれあっている」
「だとするとルナツーがアリスちゃんで、ルナスリーが祐巳ちゃんですね。二人とも自分のペースで相手のことを思っている。友人て良いものですよね」
灯里さんは嬉しそうに手を叩き。
「あらあら、でも……確かにそうね」
微笑むアリシアさん。
祐巳は、二つの月を見て、その下で輝く青いAQUAを見て、フッと思ったことを口にする。
「それなら灯里さんとアリシアさんはAQUAですね」
祐巳の言葉に、アリシアさんも灯里さんもアリスさんも顔を真っ赤にして、祐巳も自分で言った言葉に顔を赤らめ。
一緒に笑い。
「「「「恥ずかしいセリフ禁止!!」」」」
その言葉の後、もう一度笑った。
宇宙船は、ゆっくりとルナスリーへと近づいていく。
ルナスリーには宇宙ステーションがあり、超光速航法のゲートがあるらしい。
『まもなく、ルナスリー宇宙ステーション・オデッセイ。マンホームへのゲート突入は一時間後を予定しております』
アナウンスが流れるのを聞きながら、祐巳たちは座席を灯里さんたちと向かい合わせにしてマンホームの話に興じる。
AQUAからマンホームまでは、ゲートを使っても半日近く時間がかかるらしい。その他にも移動時間や待ち時間がかかり、辿り着くのは一日後とのことだ。
その間、お喋りをしたり。トランプなどのゲームをして時間を過ごす。
「なんだか、何時もと余り変わらないような?」
「あらあら、そうね」
「でも、アリア社長は居ませんし、藍華ちゃんたちも居ないから少し静かだよね」
そんな何気ない話をしている間に時間は立ち、アナウンスの後、宇宙船はゲートを越えてマンホームへと向かっていく。
宇宙船の旅は、修学旅行のときの飛行機よりも快適だった。
「祐巳ちゃん、どうしたの?」
「灯里さん」
「眠れない?」
「はい」
しばらく話やゲームで遊んでいたが、まだ到着まで時間があるということでアリシアさんの提案で仮眠を取ることにした。……だが、祐巳は寝付けなかった。
「それなら少し展望室の方に行こう」
祐巳は灯里さんの誘いに乗り。眠っているアリスさんを起さないように、灯里さんと展望室に向かう。
「わぁぁ」
展望室は宇宙船の前方にあり。そこから見えるのは、まさに流れていく光の濁流だった。
この光景を見ると本当に宇宙を旅しているのだなぁと思う。
「凄いの一言ですね」
「でしょう!!」
「はい」
「……祐巳ちゃん、マンホームに行く不安は消えない?」
「ですね……なんだか知らない土地に行く気分です」
知っているはずの場所なのに、知らない場所のような気がする。
「そうか」
「知っています?私、最近はパソコンでアイちゃんとメールしかやってません」
以前はリリアン女学園だけでなく、色々なマンホームの様子を知ろうとしていた。だが、知れば知るほど、そこは祐巳の知らない場所に思えてくるのだ。
リリアン女学園を調べていたとき分かったことは、確かに薔薇の館や校舎は残されているが、それはただ残っているだけなのだ。
そこには生徒も薔薇さま方もいない。
そんな現実が分かるにつれ祐巳は知ることを止めたのだ。
祐巳が手すりに掴まって呟くと、灯里さんがそっと背中を抱きしめ。
「うん、知っていたよ」
それだけを呟いた。
「だから、マンホームに行くことをアリシアさんと計画したの、アイちゃんにも連絡して、グランマにも話を通して……迷惑だったかな?」
「いいえ」
「そう、良かった」
灯里さんは嬉しそうだが、マンホームに行って本当に良かったに成るのかは分からない。ただ、この世界の祐巳の大事な人たちが、祐巳のためにしてくれたことに感謝したかった。
祐巳はそっと服の下のロザリオを握り締め。
微笑んだ。
……。
…………。
「祐巳、祐巳!!」
「なぁ」
「なぁって何ですか?」
「……アリスさん?」
「灯里さん、祐巳の寝起きは悪い方ですか?」
「いつもはそんなことないけど……」
「あと、五分」
「いいから起きなさい」
寝ぼけていた祐巳を少し怒ったアリスさんが起す。
「マンホームが見えてきましたよ」
「……マンホーム……地球!!」
祐巳は慌てて起き上がる。
「……マンホーム?」
「こちら側は夜だから」
「いえ、そうではなくって……」
祐巳の目の前にあるマンホーム、それは巨大なイルミネーションのようだ。
宇宙船の動きに合わせるように、徐々に青い地球が見えてくる。
「あれって都市ですか?」
「そうだよ」
陸地だけでなく、海にも巨大な都市が広がっている。
情報として知ってはいたが、ココまでとは思わなかった。以前、マンホームの海では泳げないと聞いた意味が分かった。
「このまま東京に降りるのですか?」
「ううん、この便は直通ではないから、一度、ルナワン近くの宇宙ステーションに向かってからよ」
「ルナワン?……あっ、月のこと……か?」
マンホームを外から見たことはないが、月なら望遠鏡などで見たことはある。
だからだろう、マンホーム以上に月の変化が良く分かる。
月にも多くの都市が作られているようだ。
「……アレが月?」
『まもなく、ルナワン軌道宇宙ステーション・ステルヴィア。ルナワン及び東京以外への都市へ向かわれる方はお乗換えです』
小さな祐巳の言葉はアナウンスに掻き消されてしまった。
……地球はマンホーム。
……月はルナワン。
それは祐巳の知る地球でも月でもなかった。
宇宙ステーションに一度寄った宇宙船は、月などへ向かう乗客を降ろし。今度こそ、マンホームの東京へと向かっていく。
祐巳は、宇宙船の窓から遠ざかるルナワンを眺め。
ゆっくりと視線をマンホームへと向けた。
懐かしさは感じなかった。
あははは、挫折した!!
今回、数百年後のリリアンを書こうと思ったのに、書けなかった!!
まつのめさまの社員旅行までも使ったというのに……ごめんなさい!!
その上、早く出るかな?などと書いていて、時間が思ったよりもかかってしまった。
困ったものです。
ちなみに宇宙シーンは遊んでいますので、笑って流して欲しいかな(汗
次ぎは本当にヴォガ・ロンガ?(また?付き、あはは)
『クゥ〜』