【206】 天使はじめました  (joker 2005-07-12 20:08:01)


「お前の人生、それでいいのか!?」
「…はぁ?なんですの?乃梨子さん。」
 放課後、マリア像の前でいきなり呼びとめられ、こんなことを言われた瞳子は、怪訝そうに乃梨子を見る。
「私はよく似ているが、二条乃梨子ではない。私はこういう者だ。」
 そう言って名刺を差し出しす乃梨子(?)。瞳子は、いっちゃってる親友を哀れみの目で見つつ、名刺を受け取ってみる。


  死条 天宮(しじょう あまね)
  職業:天使


(なんですの?このふざけた名刺は。)
 あまりのぶっとんだ名刺に、思わず破り捨ててしまおうとしたが、乃梨子(?)のあまりにも真剣な眼差しに一応止めておく。しかし、この名刺、天宮の天の一を外すと四条大宮になる。どう考えても、これは二条乃梨子の名前を意識したものだろう。
「それを見ての通り、私は天使だ。今日は天使として、貴様に命題を与えに来た。」
 が、このふざけた一言に抑えていた怒りが爆発する。
「なんなんですの!!貴様って!何様のつもりですの!!瞳子をからかってどういうおつもりですの、乃梨子さん!」
 と言いながら、乃梨子(?)に詰め寄る。と、次の瞬間、前にいたはずの乃梨子が、いつの間にか背後から現れる。
「からかうつもりも、ふざけている訳でも無い。それに、私は二条乃梨子では無い。その証拠に、ほら、二条乃梨子は彼処だ。」
 死条の指さす先、銀杏並木に確かに乃梨子と志摩子が仲良く談笑して歩いている。あまりの状況に、瞳子もさすがに絶句する。
「分かってもらえたかな?松平瞳子。」
 再び瞳子の目の前に現れた死条は、乃梨子が絶対にしないような、ニヤリとした歪んだ笑みを浮かべる。
「分かってもらえた所で、早速、貴様に命題を与える。」
 そう言い、懐から一枚の白い便箋をだし、読みあげる。
「命題。今週の金曜日までに、福沢祐巳に、好きです、と言えなければ…お前は死ぬ。」

「な、なんなんですのー!いったい、それはー!!」


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