【2103】 パラレルンルン物語ルンバ物語  (クゥ〜 2007-01-03 21:34:36)


 「うっぎゃぁぁぁぁ!!!!!」
 静かな午後に響く奇声。

 「今の声はお父さまだね」
 「そのようですわね、祐巳の若さま」
 ここ三条邸西の宮。そのお庭に立つのは凛々しい若武者姿に弓を掲げた祐巳の若さまだった。
 「どうしたんだろう?菜々」
 祐巳は横に使える祐巳の女童である菜々を見る。
 「さぁ、例の件でもバレたのでは?」
 菜々はあっさりと言った。
 「菜々……逃げようか」
 そう言って祐巳は弓を置いて逃げ出そうとするが、そこに息を切らせた祐巳の若のお父さまである藤原顕通卿が走ってくる。
 「ゆ、祐巳!!」
 「遅かったみたいですよ」
 「あぁ」
 「弾正伊宮の坊と決闘するというのは本当か!!!」
 「やっぱり例の件でしたか」
 「うん、本当」
 菜々は、薄笑いを浮かべ。
 祐巳は悪びれる風もなく頷いた。
 「今度ね。二手に分かれて弓を射掛けあうんだ。大丈夫、必ず勝つよ」
 「勝つよではない!!……まったく、いいか?お前はなぁ」

 「女の子なんだぞ!!」

 そう祐巳は若さまと呼ばれ男の姿をしているものの女の子なのだ。
 「それがどこでこんなことに……今や祐巳の若さまとまで呼ばれて、子供の頃から貝合せや琴も興味を持たんと、蹴鞠や小弓に興味を持ち。はては笛や漢学にまで才能を見せる有様、その上……」
 ジト目で祐巳を見る、お父さま。
 「はぁ、何でこんなに男物が似合うのか」
 お父さまは溜め息をつく。
 「そんなこと言われてもねぇ」
 「ねぇ……と私に振られましても困るのですが」
 祐巳が菜々に同意を求めるが、菜々は笑いながら顔を背ける。
 「それに決闘と言っても相手はあの悪たれだろうが、怪我でも……なんだね?」
 お父さまの言葉を菜々が止める。
 「違います、相手の方のほうが危険なんです。何でも祐巳の若さまとの決闘を恐れて出家するとまで言っていなさるとか」
 「なっ!?」
 菜々の言葉に、お父さまは言葉を失った。
 「……と、とにかく決闘は止めなさい」
 お父さまはフラフラとしながら祐巳の前から立ち去ろうとする。そこに大慌てで東の宮の女房が飛んできた。
 「祐麒の姫さまが貧血で倒れました!!!」
 「またか!!!」
 お父さまは女房の言葉に本当に倒れそうだ。
 そのままフラフラと東の宮に向かっていく。
 祐麒の姫。祐巳とは腹違いの弟。
 そう祐巳が若さまと呼ばれているように、祐麒は男なのに姫さまと呼ばれている。
 しかも体が弱く、一日に一回は貧血で倒れる有様だ。
 「お父さま、ご病気かな?なんだかフラフラしているけど」
 「……病気よりもたちが悪いと思いますが」
 「……」
 「どうしました?」
 「祐麒の姫に会いに行こうか?」
 「姫さまに!?」
 祐巳は菜々を連れて、東の宮に向かう。
 ……。
 …………。
 「て……祐麒の姫の寝所は……」
 「あちらですわ祐巳の若さま」
 祐巳は菜々を連れ東の宮に忍び込んでいた。
 「それにしてももう少し運動した方が健康にいいのに、まったく姫は動かないから」
 「普通の姫はそんなものです……祐巳の姫さま?」
 「……菜々貴女ねぇ」
 どう聞いても嫌味にしか聞こえない菜々の言葉に祐巳は顔をしかめるしかなかった。
 「だれ?誰かいるの」
 「おっ」
 その時、澄んだ声が聞こえる。
 「私だよ祐麒の姫」
 「あっ、お姉さま」
 祐巳が声に引かれ御簾を上げて顔を覗かせると、そこには見た目麗しい十二単を着こなした姫が鎮座していた。
 艶々の髪。
 白く透き通るような肌。
 祐巳の友人達が、祐麒の姫目当てに屋敷に来るのが分かるってものだ。
 「どうしたの?」
 「ううん、相変わらず美人だなって思って……て、どうした?」
 「嫌味!?嫌味だね!!そりゃぁ、祐巳の若さまは好きで男装しているんだろうけど!!僕が好きで女装していると思っているの!?」
 「わっ、わわわ、そんなに癇癪起さないでよ!!菜々、助けて」
 祐巳は涙目の祐麒の姫に責められ、楽しそうに見ている菜々に助けを求めた。
 「まったく祐巳の若さまたら、祐麒の姫さまも落ち着いて」
 どうにか菜々に説得されて祐麒の姫は落ち着く。
 ……まったく癇癪もちなんだから。
 「落ち着いた?」
 「どうにか」
 「よかった」
 祐巳はホッと胸をなでおろした。
 「それにしても本当にもう少し体動かしなよ。最近の男共は軟弱すぎ!!恋や歌だと、弓も射れやしない!!……そうよ、なんでそんな奴らにバカにされなきゃならないのよ!!」
 「ど、どうしたのさ?」
 「この前、元服した奴らとちょっとあったのよ!!私が元服していないからってさぁ」
 「元服なんて出来ないでしょう?」
 菜々の冷静なツッコミが入る。
 「やっぱりダメかぁ」
 祐巳は残念そうに呟くが、祐巳は諦めていなかった。
 姫なのに男として元服をする。
 当然、お父さまからは大反対され、ついには女童の菜々を連れて別荘のある北嵯峨に家出をしてしまう。
 この時、水浴びをしていて志摩子と言う見た目麗しい貴族と出会い。

 それから少しして、大反対をしていたお父さまから元服を許すという知らせが届き。

 そのせいで、祐麒の姫の御裳着まで起こってしまうのだが、それはまた別のお話。


 一先ずは、祐麒の姫の叫びを聞きつつ、めでたし、めでたし。




 「めでたし、めでたしじゃない!!!!!!」



 とりかえばや(ざ・ちぇんじ)クロス主演

 綺羅の若(女の子)=祐巳の若――福沢祐巳(原作では祐麒)
 綺羅の姫(男の子)=祐麒の姫――福沢祐麒(原作では祐巳)
 祐巳の若の女童――――――――有馬菜々。
 当今さま(謎の貴族)――――――藤堂志摩子。
 藤原顕通―――――――――――???(原作では可南子)










 『特別』を読んでいつかは書きたかったのですが、流石にあのままでは無理でした(笑


                                      『クゥ〜』


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