【2114】 やっぱり誤魔化してた暴走狂騒曲  (若杉奈留美 2007-01-08 11:12:52)


不肖・若杉、がちゃSでは初のクロスオーバーに挑戦いたします。
元ネタはモーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」。
サブタイトル:「真里菜の結婚・なんでそ〜なるの!?」

キャストは次のとおりです。
フィガロ:岡本真里菜
スザンナ:大願寺美咲
バルトロ:佐藤聖
マルチェリーナ:福沢祐巳
ご領主(アルマヴィーヴァ伯爵):瀬戸山智子
奥方さま(伯爵夫人):佐伯ちあき
ケルビーノ:小野寺涼子


ここはとある国のとある町。
今この町で、一組のカップルが結婚を目前にしていました。
そのカップルの名前は、真里菜さんと美咲さん。
2人とも、この町のご領主さまに仕え始めて1年。
一緒にお仕事を頑張るうちに、いつしか愛が芽生え始めて
めでたく今日を迎えることとなりました。

それなのに、美咲さんはどこか浮かない顔をしています。

「どうしたのよ美咲、今日はめでたい日じゃないの」
「…真里菜さま、笑っていられるのも今のうちですよ?」

美咲さんに手を引かれ、ドアの外に出た真里菜さんが見たもの。
それは…

「…智子の部屋じゃん」
「そうですね。これは確かにお姉さまのお部屋です。
ではなぜ私たちの部屋が、この町のご領主さまのお部屋の隣にあるんでしょうね?」

分かっているくせに、と言いたそうに美咲さんは笑っています。
その笑顔に、真里菜さんも悟るところがありました。

「…まさか、あのバカ」
「…そうです。そのまさかです」

この町にはかつて、「初夜権」なるものがありました。
これは町の住民が結婚するときには、領主が花嫁と初夜を過ごすことができるという、
迷惑極まりない権利でございます。
住民たちの強い反対により一度は廃止されたこの初夜権を復活させようともくろんでいらっしゃるのは、この町のご領主、瀬戸山智子さま。
智子さまはご自分が姉とお決めになった佐伯ちあきさまとご一緒に暮らしておりましたが、ちあきさまにお仕えし始めた美咲さんに一目ぼれ。
なんとか自分のものにしようとあれこれ策を弄していらっしゃるのでございます。

「…ちあきとの仲も冷え切ってるみたいだし、一度懲らしめてやるしかなさそうだね」
「我が姉ながら、なんと情けない…智子さま」


その頃、城内の別のお部屋では。

「ふふふ…これさえあれば、真里菜は私のものよね」

ツインテールもかわいらしい少女のような見た目の女性が、ひそかに笑いをこらえています。
その手には、「借金が返せなければ福沢祐巳と結婚する」と書かれた、真里菜さん直筆の証文。
すでに40も間近の、いいご婦人でありながら、祐巳さんは真里菜さんを追いかけていて、結婚のためなら手段を選ばない覚悟です。
しかしながら、真里菜さんもとんでもない相手から借金したものですね。

「まあ私も、ちあきちゃん狙ってたのを真里菜に邪魔されたし、協力してやってもいいけどね」

内心あきれながらも真里菜さんへの個人的な恨みから協力しようとしているのは、
これもまたご領主さまにお仕えする身の佐藤聖さん。
聖さんはちあきさまに惚れこんでいたのですが、その頃宿屋で働きながら町の便利屋として活躍していた真里菜さんに、
ちあきさまとの結婚を邪魔されて、それはそれは恨みに思っておりました。
ちょうど祐巳さんとは利害も一致することだし、もとより刺激も何もない退屈な生活に嫌気がさしていたところ。
ここらでいっちょう、と思っても不思議ではありません。

「さて、どうする?」

それぞれの、夜中の密談。
これが町中、お屋敷中を巻き込んだ大騒ぎになっていくのですが、
それはまたのちほどお話することに致します。


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