【No:2153】の続きになります。
キャラやや壊れ気味。
細川祐巳、彼女には最愛の姉細川可南子がいる。
今日も今日とて可南子はその長身を生かし祐巳を膝にのせ抱きかかえている。
祐巳からその顔は見えないがはっきりいってイタい人にしか見えない。
それでも祐巳も幸せそうなのでいいとしよう。
………そう、ここが薔薇の館でなければ。
「可南子、ここは薔薇の館よ。遊びにくるところじゃなくってよ」
こめかみのあたりを震わせながら可南子を睨みつける祥子だが
「ご、ごめんなさい祥子さま」
と勘違いした祐巳に泣かれる始末である。
「よしよし。これで怖い怖い祥子は見えないわよ」
と可南子は祐巳の体を180度入れ替えて正面から抱きつく。
祐巳を抱きしめる可南子の口もとがつり上がったのは幻覚では無いだろう。
そしてそんな仲のよい姉妹の姿を見せ付けられる形になった祥子は本日最初のハンカチを破くことになった。
可南子と祥子は何も初めから仲が悪かったわけではない。むしろ仲良しさん、親友さんなのだ。
二人とも極度の男嫌いのためか高校からの可南子と生粋のリリアンっ子の祥子とでもかなり気があったのだ。
しかし、今年になってそれも変わった。
祐巳の入学だ。
一目惚れだった。一撃だった。最高だった。
祥子はどうして一年遅く生まれてこなかったのかこの時ほど自分の身を嘆いた時は無かった。
祥子は祐巳を妹にしようとしているがそれは無理だ。
なぜなら祥子にはもう妹がいるからである。
「ごきげんよう。祥子お姉さま」
紅薔薇である祥子の妹、紅薔薇の蕾、松平瞳子である。
「ごきげんよう、瞳子」
「ごきげんよう、瞳子ちゃん」
「ごきげんよう、瞳子さま」
順に祥子、可南子、祐巳である。
瞳子は顔を紅くしながら祐巳を見つけて一言
「祐巳、瞳子のいもうとバァッ!!」
瞳子は言い切る前に祥子に飛ばされ。
「どうしたの瞳子。そんなところで寝ていると……」
「ごきげんよう」
ばたん!
ごきん
「暴走列車にひかれるわよ」
瞳子の首は突如現れたリリアンの暴走列車、ブレーキの壊れたダンプ、核弾頭という不名誉極まりない二つ名をもつ黄薔薇である島津由乃によって曲がってはいけない方向に曲がっている。
「大丈夫ですか瞳子さま」
祐巳が心配そうに瞳子に声をかけると
「大丈夫ですわ!」
と強がってしまうも、顔がにやけてしまうほぼツンなしデレだけな瞳子だった。
そうはいいながらも首のあたりをさする祐巳を止めないあたりいかに祐巳に入れ込んでいるかが分かる所である。
「祐巳、そんなことはしなくてもいいのよ」
「そうよ、瞳子ちゃんの首は超合金ニューZ並なんだから」
「さっさと祐巳ちゃんから離れなさい!瞳子!」
しかし、そこは既に祐巳に魅了されてしまった山百合会、2年の瞳子は三年たちに逆らう力はないため、すぐさま可南子に祐巳をひっぺがされてしまった。
「いい祐巳?あんな髪型がどりるな子と一緒にいたらあなたまでどりるになってしまうのよ」
「なっ!可南子様は人を酷く言うような方なのですわね。こうまで姉妹で違うものなのですわね。祐巳、そんな人を姉に持つとロクな大人になれませんわ!ということで私のろざりぶぉっ!」
再び祥子に吹き飛ばされる瞳子。
というかあの二人は本当に姉妹なのだろうか?
「いやー本当ににおもしろいわね〜」
「笑いごとじゃなくってよ、由乃」
いつのまにやら由乃が全員分の紅茶を淹れていたのか祥子や可南子も紅茶を飲んでいる。可南子は当然祐巳抱っこ状態で、祥子は瞳子放置の方向で。
体が痙攣し始めている瞳子を見て祐巳はおろおろするばかりだが、みな口を揃えてどりるが動いているだけといい、押し切られてしまった。
「「ごきげんよう」」
瞳子がいまだ痙攣し続けるなか薔薇の館に続けてやって来たのは白薔薇姉妹、二条乃梨子と藤堂志摩子だ。
「と、瞳子、一体どうしたのよ…」
地べたに伏せて痙攣している瞳子をみてかけよる乃梨子。
唯一自分を真面目に心配してくれる乃梨子の姿に感極まったのか涙声で
「乃梨子さま…」
と言う瞳子だが
「そんなにどりるをぎゅいんぎゅいん言わせてどうしたのよ」
という一言によって完全に動かなくなった。
それでもやっぱり山百合会は彼女を放置の方向で。
そんな紆余曲折があって会議は順調?(てか会議してたのか?)におわり皆で紅茶を飲みながら雑談に興じていた。
そして、そこで核弾頭がうちこまれた。
「ねえ、祐巳ちゃんはお姉さまは欲しくないの?」
由乃の何気ない…いや限りなく悪意に満ちた一言によって山百合会は世界のどこよりも危険な戦場になることが決定した。
「祐巳の姉は私一人で十分よ」
「あら、そんなことはなくってよ。いつもとは違う環境にいることも大切よ祐巳ちゃん」
可南子と祥子は祐巳を挟んで視線をぶつけ合う。
「ねえ、志摩子は誰か妹候補はいるの?」
「妹候補ですか?まだこれといっては…今はお姉さまがいますから」
「し、志摩子…!」
まだ妹ばなれ…というか実際彼女が彼女を妹にしたのは1ヶ月にもみたないのだから(前話参照)それも仕方ないだろう。
「でも、少しだけ気になる子はいますわ」
そう言って穏やかに微笑む志摩子に乃梨子は心中穏やかではない。
「ねえ、その子の名前は?」
「佐藤聖という子です」
がーんという音が聞こえそうなほど乃梨子は落ち込んでいた。
「祐巳は私の妹よ!」
「いいえ、私が祐巳ちゃんの姉になるわ」
果てなき二人の言い争いに怯える祐巳は由乃に抱きかかえられていた。
妹の令が部活で居ないためか手持ち無沙汰でからかう相手が欲しかったのだろう。
まるでどこかの世界の黄薔薇さまそっくりだ。
「ねえ、祐巳ちゃんは令の妹になる気はないの?」
「由乃、あなた抜け駆けする気?」
「そうよ、祐巳ちゃんを妹にしたいなら正々堂々と勝負よ」
いつの間にか争いを止め、由乃にくってかかる二人。
「私は遠慮するわ。それより、結局どうなったのよ?」
「「…………」」
数秒の沈黙があって再び祐巳争奪戦が始まってしまった。
「あの子は紅薔薇家(というか私のもの)にふさわしい子よ」
「なにを根拠に…片腹痛いわね」
「な、何ですって?」
ハンカチを今にも破こうとする祥子に可南子は意地の悪い笑みを浮かべた。
「ふっ、祥子敗れたり。あなたは祐巳と一緒にお風呂に入ったことはあるかしら?」
「な!祐巳ちゃんとお風呂ですって…!な、なんてうらやましい!」
「あまつさえ体を洗いっこしたことは?」
「洗いっこ…ずるいわよ」
少しずつ祥子の声が小さくなっていく。「祐巳と同じ布団で寝たことは?祐巳の着替えを手伝ってあげたことは?祐巳を看病したことは?されたことはあるかしら?」
「布団…着替え…看病……」
がくりと地面に崩れ落ちる祥子。
「ふ…虚しい勝利ね」
「当たり前じゃない。可南子は祐巳ちゃんの実姉なんだから。まあ、勝負に乗った祥子がわるいか…」
「あの…祥子さま大丈夫ですか?」
心配した祐巳が祥子に駆け寄る。
「ありがとう。祐巳ちゃんは優しいのね」
なでなで
ぎゅむ
ごちん!
「なに調子に乗ってるのよ祥子!」
「まあ、可南子は怖いわね祐巳ちゃん、ああいう人になってはだめよ」
「祥子ぉっ!」
どたばたどたばた
ぎゃーすぎゃーす
…………………
「「はぁ……はぁっ…」」
「で、結局決着つかないのね。さっさとケリつけなさいよ祥子、可南子」
「ええ、そうね。まあどちらが勝かは目に見えているけど」
「ほざきなさい、祥子。自分の無能さをしるだけよ」
互いに不敵に笑う。
「「祐巳(ちゃん)どちらがいいの?」」
「えっ?そんなどちらっていわれても…」
もはや由乃並にブレーキが効かなくなってしまった二人は祐巳を挟む形のまま、上から見下ろすように言った。
そんな二人の姿に驚く祐巳だがそこは我らが狸姫。ニコニコしながらマスドライバーを打ち込む。
「お姉ちゃんも祥子さまも大好きですよ」
ばたっ!×2
「ど、どどど、どうしたんですか!?」
「あ〜祐巳ちゃんは自分の破壊力を分かってないわね」
床を真っ赤液体で染める祥子と可南子をみてかたをすくめながら由乃は呟いた。
祐巳争奪戦
祥子VS可南子
勝者、祐巳
決め手、上目遣いで好き発言。
うーん、間が空きすぎ…てか一回投稿したのに反映されないてなに?
携帯でやってるからコピーできなくて結局新しい話になってもうた…orz