※未使用キー限定タイトル1発決めキャンペーン第12弾
タイトルからして少しおかしいですが気にしてはいけません(何
☆
最近の令ちゃんは連日受験勉強を頑張っている。ならばやはり応援したりするのが妹の務めではないだろうか。
ということで。
「令ちゃん、夜食作ってきたよ」
「あ、由乃。わざわざありがとう……って、何これ?」
「グラタンよ」
「グラタンねぇ……」
疑いの目を向ける令ちゃん。まあ確かに由乃もこんな赤いものを出されてグラタンと言われれば首をかしげるかもしれないけれど。
「ちょっと分量間違えちゃったけど、ちゃんとしたミートグラタンよ。お母さんにも見てもらったし」
「そう。なら大丈夫ね」
「なら大丈夫って何よ」
「ごめんごめん。じゃあ早速……」
「どうぞ召し上がれ」
そりゃ確かに由乃は料理が得意な方じゃないけれど、仮にも妹の作ってきた料理なんだから。まずは素直に一口食べてみるのが姉じゃないのとか思ったのだけれど。
「どう、令ちゃん」
「……からーい」
「ええっ……うわっ、これ失敗作の方だ」
「そ、そうだったの……」
「ごめん令ちゃん、すぐに成功した方持ってくるから」
「う、うん」
令ちゃんの言うとおり、真っ赤なグラタンはとんでもなく辛かった。思い立ったら即行動の由乃が最初に作ったこの失敗作はお肉に大量の豆板醤を入れてしまって、成功作は見かねたお母さんに手伝ってもらってどうにか完成したのだった。どちらもお肉を大量に入れてしまったから見た目では判断が付きにくい。
「ということで今度は成功作の方よ。はい、あーん」
「ち、ちょっと由乃。恥ずかしいってば」
「どうして? 誰も見てないわよ」
「見て無くても恥ずかしいものは恥ずかしいの」
「いいじゃない、減るもんじゃないし。それとも私の作った料理は食べられないとでも言うつもり」
「そんなことないよ。食べる、食べるから」
「じゃ、あーん」
「だから、自分で食べられるってば」
「令ちゃん、私のこと嫌い?」
「そんなことないから。ああもう、分かったよ」
怒っている風に言われても、表情を見れば照れてるのは丸わかり。なんだかんだ言ってもこういうところは可愛いんだから。
「どう?」
「うん、おいしい」
「よかったぁ」
こっちも不味いって言われたらどうしようかとも思ったけれど、そこはお母さんパワーのおかげもあって大丈夫だったようだ。
でもって最近受験勉強で構ってもらえないから本当はもう少し甘えたかったけど、邪魔したらいけないから食べ終わったお皿を持って早々に引き下がった。でも今日のことで不安になったのか、今後時間があるときに料理を教えてもらえることになった。これでこそ失敗作を「わざと」持って行った甲斐があるというもの。令ちゃんにもう少し甘えられると思うと、思わず顔がにやけてしまう由乃だった。だって、なんだかんだ言ってもやっぱり由乃は令ちゃんが大好きだから。