お姉さまが、ご卒業した。
私は、今、三年生の教室が並ぶ廊下の一番端っこに足を伸ばし座っている。
閉じられた窓からは、少し早い春の日差しが注ぎ込んでいる。
「ここに居たんですね」
フッと見れば、私の妹が立っていた。
少し我侭で、意地っ張り。それなのに実は寂しがり屋な天邪鬼な妹。
それでも私には大事な妹。
「こちら、よろしいでしょうか?」
「スカート、汚れるわよ」
いつか、大事な人から聞いたセリフ。
「えぇ、構いませんわ」
そう言って、妹は私の横に座った。
窓の外から、部活生の声が響いてくる。
何だか音楽のよう。
「ご卒業成されましたね」
「うん」
「新学期が始まれば、ここにお姉さま方が集うのですわね」
「そうだね」
「来年の今頃は、私もこうして感傷的に成っているのでしょうか?」
「さぁ、アンタは強いから、まだ見ぬ妹と楽しく笑っているんじゃないかな?」
これは嘘。
この子は私以上に弱いところがある。だが、今の私の側にこの子が居るように、彼女の横にはきっと妹が居るだろう。
妹は支えなのだから……。
「どこに行ったのかと思えば」
「あらあら、二人して眠っているわね」
「と、言いながらお二人ともどうして横に座るのですか?」
「良いじゃない」
「そうそう」
そんな声が春のまどろみに沈む意識の中に響いてきて、ゆっくりとまどろみの中に沈んでいった。
付き合いくださった皆さまに感謝。
『クゥ〜』