【2201】 春の日の  (クゥ〜 2007-03-24 22:46:11)


 お姉さまが、ご卒業した。
 私は、今、三年生の教室が並ぶ廊下の一番端っこに足を伸ばし座っている。
 閉じられた窓からは、少し早い春の日差しが注ぎ込んでいる。
 「ここに居たんですね」
 フッと見れば、私の妹が立っていた。
 少し我侭で、意地っ張り。それなのに実は寂しがり屋な天邪鬼な妹。
 それでも私には大事な妹。
 「こちら、よろしいでしょうか?」
 「スカート、汚れるわよ」
 いつか、大事な人から聞いたセリフ。
 「えぇ、構いませんわ」
 そう言って、妹は私の横に座った。
 窓の外から、部活生の声が響いてくる。
 何だか音楽のよう。
 「ご卒業成されましたね」
 「うん」
 「新学期が始まれば、ここにお姉さま方が集うのですわね」
 「そうだね」
 「来年の今頃は、私もこうして感傷的に成っているのでしょうか?」
 「さぁ、アンタは強いから、まだ見ぬ妹と楽しく笑っているんじゃないかな?」
 これは嘘。
 この子は私以上に弱いところがある。だが、今の私の側にこの子が居るように、彼女の横にはきっと妹が居るだろう。
 妹は支えなのだから……。


 「どこに行ったのかと思えば」
 「あらあら、二人して眠っているわね」
 「と、言いながらお二人ともどうして横に座るのですか?」
 「良いじゃない」
 「そうそう」


 そんな声が春のまどろみに沈む意識の中に響いてきて、ゆっくりとまどろみの中に沈んでいった。





 付き合いくださった皆さまに感謝。

                               『クゥ〜』


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