『がちゃSレイニー 行くべき道』篇
〜 最初から読まれる方 〜
・ 『筋書きのない人生の変わり目 【No:132】』が第一話です。
くま一号さんの纏めページ。
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『琴線に触れる愛のパワー 【No:2203】』の続きです。
私は祐巳さまの方をちらりと見た。
祐巳さまはひどく不安そうな顔をしていた。
祐巳さまは本当に私のことを好きでいてくれるのだなと思い、心がほんのりと温かくなる。
私は祐巳さまに向かって、微笑むと、改めて白薔薇さまの方を向いた。
私の心は決まっている。
昨日の夜、私は祐巳さまと一緒にいたい。確かにそう思った。今、祐巳さまの心からの声を聞いて・そして、不安そうな顔を見てその想いはより強固なものになっていた。
だから、祐巳さまの想いに答えるためにも、私は、私の気持ちを口に出す。
演技ではない本当の自分の気持ちを。
「私は、カナダには行きません。もちろん。女優の勉強は大事です。そのためにはカナダに行った方が良いと今でも思います。でも、今の私には、その女優の勉強よりも、祐巳さまと一緒にいたいと思っています。だから………」
そこで、息をつき、私は白薔薇さまに最後の言葉を告げる。
「白薔薇さまには、本当に感謝しています。でも、私は、祐巳さまの妹になりたいのです。お姉さま。申し訳ありませんが、このロザリオはお返しします」
お姉さまと呼ぶのは、私にとって祐巳さまだけ。この心は変わらない。でも、ここまで私のことを面倒見てくれた感謝の意を込めて。一回だけ、白薔薇さまのことをお姉さまとお呼びした。内心祐巳さまに謝りながら。
白薔薇さまは、その言葉に少しびっくりしたようだが、すぐにマリアさまのように微笑んだ。
「わかったわ。それが、あなたの望みならば」
そういって、今度こそ私が差し出した、ロザリオを受け取ってくれた。
白薔薇さまに、深々とお辞儀をし、すぐに祐巳さまの方を向いた。
「祐巳さま、ごらんになられていたと思われますが、たった今、白薔薇さまとの姉妹関係を、解消いたしました」
そのことに祐巳さまはこくりと頷いた。
「祐巳さまにお願いがあります。私を祐巳さまの妹にしてください」
祐巳さまはその言葉に目に涙を浮かべながら、首に掛かっていたロザリオを手に取り、そっと、そのロザリオをわたしの首にかけてくれた。
【No:2202】に続く