「お誕生日おめでとう、真美」
「ありがとうございます、お姉さま。開けてもよろしいですか」「もちろんよ」
「ヘアピンですか。お姉さまにも普通の感覚があったんですね」
「大げさね。妹の誕生日を祝うくらい当然じゃない」
「いえ、お姉さまのことだから、水に溶けるスパイ手帳とか、盗聴グッズとか、自決用の薬なんか用意するんじゃないかと思いまして。ごめんなさい」
「い、いやね。漫画じゃあるまいし」
「そうですね、ちょっと妄想がすぎました、ふふ」
「そうよ。う、うふふ」
現在でも大事に使われているヘアピン。その秘密を知る者はほとんどいない。