【231】 真美、わくわく恋の物語  (OZ 2005-07-16 23:39:45)


 私、リリアン女学園中等部3年、山口真美は困っていた。
 学校帰り、先生から寄り道の許可を貰い、高等部進学にあたって、必要物資を少し買うため1人K駅まで来ていた。
 何を困っているかというと・・・
 
 いわゆる、ナンパと言うものに合っていた、こんなこと初めてで、しかも男子3人に囲まれるような状態だったので、どうしていいのか分からず、ただただ、身を固めるしかなかった。

男A「ね・ね!良いじゃん!ちょっと位、遊びにいこうよ〜」
男B「おれ、マジで君みたいな子、好み。その七三も、とってもキュ―ト。」
男C「バーカ、この子には俺みたいなイケメンが良いに決まってるだろう、だよね〜」私の頬に男Cのが手伸びてきた。なんか、嫌、すごく怖い・・・
頬に手を掛けようとする男、おびえる私。そのとき、 スパコ〜〜ン!! と、軽快な音とともに男Cの頭がバックで殴られた。

「いい加減にしたらどう? 大の男が3人も寄ってたかって恥ずかしいと思わないの、この子おびえてるじゃない!!」
その女性は、まるで私を守るかのように、男達の前に立ちふさがった。
背中越しなので顔までは分からないが、腰近くまで伸びたさらさらの髪、女性にしては高いほうの身長、ぴちっとしたビジネススーツみたいな服装なため、後ろからでも分かるなかなかのプロポーション、私はなぜか冷静に彼女を観察していた。

「いって〜〜な〜〜!! いきなり何しやがる!!」いきり立つ男の声に私は ビクッと してしまった。が、その女性はまったく動じる様子も無く言い放った。
「いきなりで何が悪いの? かわいい女の子が、町でちゃらちゃらした連中に絡まれていて、しかもおびえている、制服を見れば、私の後輩にあたるリリアンの中等部の生徒、かわいい後輩を守る事の何処がいけないって言うのかしら? この行為の何処が悪いのか、逆にこっちが聞きたいくらいね!!」

 何とか、文句の1つでも言ってやろうとしている、3人組、けど、彼女の気迫にビビッてしまったのか、 勝ち目が無いと感じたのか、ギリギリと奥歯を噛みつつ、去っていった。
 その様子を見ていたギャラリーから、ちらほら拍手が上がった。

私は安堵というか、なんと言うか、気が抜けてしまいその場にヘタリこんでしまった。 そんな私に彼女は、優しく微笑み 「もう大丈夫よ」 っと ゆっくりと立たせてくれた、その顔、姿は夕日を背に浴び、私には、まるで女神のごとき美しさを感じ、胸がとても高鳴った。

「あ、あああ、ありがとうございました!!」
「いいのよ、気にしないで、 でもね、いい!! 『水と平和はただ』なんていう、日本の日常はすでに崩れていることを認識しなさい。今度から簡単な用事でも町に出るときは誰か友達と来るようにしなさいな、特にあなたみたいな可愛い子は、分かった? 」
「か、可愛いって・・・ 」
「返事は?」
「は、はい!」
「よろしい」彼女は満足そうに私の頭を撫でてくれた。
「ところで、私のことを後輩、と言っていたのですから、リリアン女学園の関係者さまなのですか?」
「関係者も何も、私はリリアン高等部の1年生なんだけど。」
「ええ!!」
「 『ええ!!』って何よ、失礼ね、そりゃ今はこんな格好で居るけど、正真正銘リリアンっ子よ」
「す、すみません、そ、そのあんまりにも美人さんで、すごく大人っぽく見えて、服装のこともあるかと思いますが・・・ その、あの、」たかが1歳年上なだけでここまで雰囲気から容姿まで違うなんて薔薇様が居る高等部はすごい!!
「あら、美人だなんて、お世辞でも嬉しいは、ところで、あなたは今年度、高等部に進学するの?」 お世辞じゃないのに
「はい、一応もう進学は決まってます。」
「なら、また会えるわね、これも何かの縁、もし、学園生活で聞きたいことが有ったら、そのときは気軽に声を掛けてね。」
「はい!! あ、でも、私、まだお名前もお聞きしてもないし、自己紹介もしていませんでした、私は、山口真美と申します。ごきげんよう。」
私はかなりあせりながらしゃべった。
「はい、ごきげんよう。真美さんね、いい名前ね、私は・・・ 」言葉がとまった・・・ 私はどうしたのかと不安になった。
そのとき「ごめん、狙っているターゲットが動いたみたいなの、途中だけどここでお暇するは!!」彼女はダッシュで走り出した。
「え、そんな〜〜」 名前も伺ってないのにそんなのヤダヤダ!! と思っていたら。彼女は遠くでちょっと止まって、私に向かって叫んだ
「私は、新聞部に居るから、じゃ!!」
と、言い残し、また走り出した、『疾風のように去ってゆく〜〜♪』月光仮面の様な人だ。

新聞部、か。


私は高等部に進学した、新入生歓迎会での紅・黄・白の薔薇様方はとてもお美しかった、でも、私の心は別の人物でいっぱいだった、やっとあの人に会える、それがなんとも待ちどうしかった。

入学式後2、3日は色々と忙しかったので、ひと段落下した後の放課後、私はドキドキする心臓を何とか落ち着かせ新聞部のドアを叩いた、中から「どうぞ〜」と、キーボードを打つ音とともに声が聞こえた。

中に入ると、1人、メガネをかけ、黙々とパソコンと紙の原稿に向かって奔走してる長い髪をポニーテールにした人の後姿がみえた。この時期にもう部活動をしているということは、たぶん先輩なのだろう。

「あ、あの〜〜」恐る恐る、声を掛けると。 突然。 こちらを見もせず
「ああ、ちょうどいいは、そこの棚の2段目の資料取ってもらえる」
「は、はい!?」 あまりにも自然に指示されたものだから、ついつい従ってしまった。
「それと、こっちの棚の4段目にある写真、あと、たぶんその辺に落ちてると思うんだけど、赤いマーカーで『癸蓋狭董戮辰峠颪い討△觧罎鮖蟲涕つけて!!」
「あ、有りました、これですね?」
「ありがとう、じゃ、この原稿の誤字、脱字のチェックよろしく、今回は本当に時間が無いんだからね!!」
「はい!!」 自然に返事が出た。あれをして、これをして、あれをチェック、これをチェック、なぜだろう? 私は新聞部の部員な訳でもないのに、作業を手伝い、あまつさえ、充実感まで感じていた。

「終わった〜〜 ああ、今回もぎりぎり、もう、ハラハラよ。」ばんざ〜い、と両手をあげるポニーテールの先輩は顔もめがねもインク等でかなり汚れていた、お世辞にも綺麗とは言いがたい。
「よかったですね。」
「ええ、あなたのおかげよ、って ? うえ? あなたどなた?」 おいおい、今頃気づいたんかい!!

私はなんかぐったりしてしまったが、気を取り直し
「あの、見学というかなんというか、 その ・・・お会いしたい方が居まして・・・」もごもご
「ふむ、ふむ、それは誰?」
「その、実はお名前を伺ってないんです ・・・数ヶ月前、町でお世話になりまして、その時、その方は『私は新聞部に居るから』
と、仰っていらしたので、と、とても美人な方だったんですけど? お分かりになりますでしょうか?」
 ここに居る先輩を差し置いて、 美人な方 なんて言うのはとても失礼なのかも知れない、でも、私は、あの方に会いたかった。本当に本当に、会いたかった。今ではこの気持ちを恋といわれても否定するつもりも無い、それほど私の中では会いたい気持ちが膨らんでいた。

「もしかして、あなた、山口真美さん?」
「はい、そうですけど。」 なぜ名前を知っているのだろう?
「なるほど、いいわ、合わせてあげる、でも、条件が1つ在るんだけど・・・いい?」
「はい、なんでもします!!」 この人の条件さえクリアーすれば、あの人に会える。
 「では、いいかしら、私はこれからちょっと顔に付いたインク等を洗いに行くわ、その間に、あなたは二人分の紅茶を用意しておいて、その紅茶の味が良かったら、紹介してあげる。」
 なんだか良く分からない条件だったが、私は、心を込めて紅茶を入れた、そして、ガサツだけれどもどこか親切な、めがね&ポニーテールの先輩のこともちょっと思い、じっくり心を込めて紅茶を入れた。あの人に会える、そう思っただけで心臓は高鳴った。

 「真美さん、いいかしら?」
「はい、どうぞ。」 再び自分の目の前に現れた先輩は先ほどまで居た場所に戻ると、さも自然にポニーテールをといた、流れるように髪が落ちる、その姿に私はびっくりした!! 
顔のインクを洗い流し、めがねを取り、ロングの髪をさらりとなびかせながら私の方に振り向いた、夕日を背にしたその姿は・・・
間違いない、あの時、夕日を背に浴び、私が女神のごとき美しさを感じ、胸が高鳴った人物に間違いなかった。

彼女は、静かに椅子に座ると、私の入れた紅茶をとても優雅に1口、口に運ぶ、「おいしい、完璧に合格よ。」

私は、突然のことにどう対処していいのか分からず、口をぱくぱくさせてしまった、かなり混乱している。
だってそうでしょう? さっきのインクまみれの先輩がいきなり、シンデレラのごとき変身をしたのだから。
「どうしたの? あなたは私に会いに来たのでしょう? 真美さん、私は築山三奈子、新聞部副編集長よ。」やさしく微笑む三奈子様。

私は何とか正気を取り戻し、
「ず、ずるい!!三奈子様は私のことを承知の上でからかっていたのではないのですか!!」
「そんなこと無いわよ、それに、ずるいなんてひどいんじゃない? 真美さんに至っては、今の今まで私のことを分からなかったんだから。お互い様。」

反論できない

「ともあれ、お久しぶり、真美さん。」
「あ、はい、その節はお世話になりました。」 ペコリと頭を下げる。
「いえいえ、どういたしまして。」 三奈子様もペコリと頭を下げる。
なんだかお互いのその姿にがおかしくって、2人して笑ってしまった。

そして、私は新聞部に正式に入部し、私の彼女の呼び方も『三奈子さま』から『お姉さま』へと変わっていた。




「とまあ、こんな感じよ、私たちの出会いは。ところでいい、日出美だからこの話をしたのよ、だから誰にも言っちゃだめよ。」顔を真っ赤にしながらも、お姉さまは私に話してくれた。
「はい、でもなかなかいい話じゃないですか。」
「そうかしら?」
「あ、でも1つ質問があります、私はお姉さまの言う、そのお美しい姿の三奈子様をまだ、一度も見たことが無いのですが? いえ、三奈子さまは、今のままでも十分にお美しいと思いますが、その、なんで、今のような奇抜な格好をするようになってしまわれたのですか?」
「私もそう思って昔、聞いたことがあるのよ、そしたらね。」


「え? 真美に始めてあった時の格好? ああ、あれはもう止めたは、なぜだかあの格好で町に居ると色々邪魔が入るのよ。」
「邪魔というと?」
「お暇ですか? とか、お茶しませんか? とか、何かと男の人がちょっかい入れてくるの。せっかく色んな姉妹のお忍びデートを隠れて取材しているのに、あんなんじゃ目立ってしょうがないじゃない。」
「はあ、それで今のような格好に・・・」
「そうよ、そのおかげで、今は変なちょっかいも入らず、静かに尾行、いやいや、取材ができるようになったの。」てね。
三奈子様の頭の中では、[声を掛けられる=目立っている、 声を掛けられない=目立ってない、]とまあ、そう単純に思っているわけだ。

「三奈子様は根本的に、ご自分の魅力と、男の人が寄ってくる原因が何なのかまったく分かってないんですね。」
「そうなのよ、まあ、そこもお姉さまの良い所、と言えなくは無いけどね。」
「でも、私もできることなら三奈子様の素敵なお姿を拝見したいものです。」
「そうね、じゃあ今度、2人でお願いしてみましょうか? できれば色んな格好をしてくれる様に。」
「三奈子様ファッションショーですね!! でも、了解してくださいますでしょうか?」
「かわいい妹と、孫がお願いするんだから、無下には断れないんじゃない、ね。」にぱっと笑みを浮かべるお姉さま。
「そうですね、じゃあ、今度お願いしてみましょう。」私はすごくわくわくしてきた。



数日後・・・ 

「ちょ、ちょっと、どうしたのよ! 真美も、日出美ちゃんも!!」おろおろする三奈子様
三奈子様の部屋で真美と日出美は、悶絶死し掛けていた。

「ひ、日出美・・だ、大丈夫・・・ ワタシはもうだめ・・・」でも、とても幸せそう
「お、オネエサマ、ワタシも・・・ も、もうだめです・・・」こちらも、とても幸せそう

「「 ああ〜ん  三奈子さま〜〜〜ん 」」 ガクッ

いったい三奈子様にどんな格好をさせたのでしょう、この2人は?


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