【2353】 ぶるーたすおまえもかどうしようもない位最強  (彷徨うコロンタ 2007-08-05 22:24:06)


※始めに・・・・

  この作品は【No:2338】→【No:2348】の続きです。
  この作品内の人物相関及び学年等はほぼ原作通りです。
  この作品内の山百合会のメンバーは以下の通りです。

   紅薔薇姉妹  祐巳   瞳子
   黄薔薇姉妹  由乃   菜々
   白薔薇姉妹  志摩子  乃梨子

  この作品内の時間軸はマリア祭終了後です。

  以下の内容を確認の上で本作品をお楽しみください。





 金曜日の朝、薔薇の館の会議室・・・・

 明るい朝日が窓から差し込むその部屋に、祐巳は静かに椅子に座っていた。

 元々あった親しみやすい人柄に、最近は紅薔薇様としての貫禄も、少しずづ身に付き始めた祐巳であった。

 しかし、今はそんな事を微塵も感じさせること無く、とても真剣な表情で手にした私物をジッと見つめていた。

 やがて、朝礼の時間が迫って来た事に気が付いた祐巳は、手にした私物をカバンに入れて「よし!」と勢い良く椅子から立ち上がった。

(今日こそは絶対・・・・)そんな決意に満ちた表情で部屋から出て行く祐巳であった。 




マリア様が見てるif
福沢祐巳の絶叫<後編>
紅い子狸が薔薇の館の中心で○○〜!!!!と叫ぶ





 何とか、朝礼の前に教室に入ることの出来た祐巳は、クラスメイトに朝の挨拶をしながら自分の席にカバンを置いた。

 そして、今日の昼の件で話があった祐巳は、既に席についていた由乃の所に向かった。

「ごきげんよう。由乃さん」
「ごきげんよう。祐巳さん」
「あのね由乃さん、今ちょっと・・・・」
「ゴメン祐巳さん!今ちょっと時間良い?」

 そう言って由乃は祐巳の腕を掴むと、教室を出て廊下の隅の方に移動した。

「ちょっと由乃さん。どーしたの突然!」
「しー祐巳さん、少し静かに!」

 慌てて祐巳の口を塞いだ由乃は、周りに人がいない事を確認すると「ふぅ〜」と一息ついた。

「ゴメン祐巳さん、ちょっと静かにして貰えるかな?」
「うぅ、あかったはらほのふぇをはなひて」(うん、わかったからその手を外して)

 祐巳は、由乃の腕を激しくタップしながら苦しそうに答えた。

「あっ、ゴメン祐巳さん。苦しかった?」
「ちょっと由乃さん!もう少しで三途の川渡るところだったじゃない」
「やぁー最近剣道で鍛えているせいか、腕っ節が強くなったみたいで、つい加減がわからなくって・・・・」

 慌てて祐巳の口から手を離した由乃は、そんな言い訳をしながら、苦しそうに息をする祐巳の背中を優しく擦った。

「それで、由乃さんの用事って何?」
「そうだ!祐巳さんに朝一番で伝える事があったのよ」

 由乃は祐巳に、昨日の帰り際に菜々が話した噂にまつわる出来事について簡潔に説明した。

「そっかー、そんな噂があったんだ。何か、えーとっ、とりあえずゴメン由乃さん」
「まあ、私に謝られても困るけどね。とにかく、今日さえ気を付ければ自然に収束すると思うからそれまで注意してね」
「うん、わかった」

 今は、新聞部に色々聞かれると山百合会的に不味いので、お互い注意することで意見が一致した。

「ところで、祐巳さんも私に何か用事があったんじゃないの?」
「そーだ忘れてた!」

 おーっとウッカリって感じで、慌てて自分の用事を思い出した祐巳は、まだ若干口の周りに由乃の手の痕を残ったマヌケ顔を近づけて、先ほどの由乃同様に声を落として話をした。

「今日の昼の件なんだけど、今日家から持ってきたカードで勝負したいの」
「うん、それで」
「ただ、その勝負少し時間が掛かるから、お昼を食べたら直ぐにでもやりたいの」
「けど、雑務はどうするの?」
「それは、土曜日に私がやるから大丈夫。だからお願い、協力してくれる」

 そう言って、手の痕を残したマヌケ顔に眼をウルウルして手を合わせてお願いする祐巳に、ちょっと『萌えー!』を感じてしまった由乃であったが、それはおくびにも出さず平然と答えた。

「私は別に構わないわよ。何なら罰ゲームとして追加しても良いし」
(昨日の会議の意味が無くなったけど、まー仕方ないか。せっかく祐巳さんがやる気になってるし・・・・)
「あははは・・・・ありがとう由乃さん。他の皆には、お昼休みまでに私から伝えておくから」

 由乃の『罰ゲームの追加発言』にちょっと苦笑いしながらも、祐巳はそう話をまとめた。

 一応お互いの話がまとまった頃に、ちょうど朝礼の時間を告げるチャイムが鳴った。



 
 同日の昼休み、薔薇の館の会議室・・・・

 今日は、朝に祐巳が由乃に話したように、昼食後に行う雑務には手を付けず、早々に罰当番(今日の雑務込み)を賭けた勝負を始める事になった。
 
「それじゃ、今日も早速始めましょうか。ところで祐巳さん何で勝負するの?」
「うんっとね、今日はこれで勝負したいと思います。」

 そう言うと、祐巳は今日の為に自宅から持ってきた私物を、自分のカバンから取り出してテーブルに置いた。

「「「「「ウノー!!」」」」」」
「うん、『ウノ』だけど・・・・。えっ、何かまずかった・・・・かな?」

 メンバー達の意外な反応に、祐巳はまた何かヤッテもーたと思ったのか、慌ててそれを引っ込めようとした。

「違うわ祐巳さん、ちょっと意外だなーと思ったから。別になんでもないのよ」
「そうそう、私はてっきりこのトランプじゃ縁起が悪いからって、どこかの如何わしい業者が作った『○○○が練り込まれた運が向上するトランプ』見たいな怪しい物が出ると思ったから」
「いったい、私の事を何だと思っているの?」

 苦笑いして「ゴメンね」とか言ってる親友2人に、少し脹れた表情で抗議する祐巳だが、良く見ると他の3人も似たような事を考えていたようで、お互い見合わせて苦笑いしていた。

「じゃあ、異論が無いみたいので早速カードを配るね」

 そう言って、祐巳はぎこちない手付きで皆にカードを配り始めた。

「ところで、新聞部の動向はどうだった?」

 祐巳がカードを配っている間に、由乃は新聞部の動きを皆に確認した。

「うちのクラスでは、朝から何も言われませんでしたわ」
「それに、昼休みのチャイムと同時に教室から出て行ってしまったので、その後の足取りはわかりません」
「私の所も同じです。お姉さま」
「とりあえず、付けられた感じでも無かったわね。そういえば真美さんはどうだったの?」
「皆と同じで、チャイムが鳴ったら教室からいなくなっちゃた」

 急にいなくなったのは気になるが、突然ここに乗り込んで来る事は無いだろう、と言うことで皆の意見は一致した。

 だか用心の為に、部屋の窓を閉めたり、声を少し控えめで行うことにした。

「ところでお姉さま。今日はご自分で決めたから『ウノ』には相当自信が有るのですよね」
「もちろんだよ瞳子。これは家族でやって負けたことが一度も無いから、絶対に大丈夫だよ」
(それって、始めの勝負の時と同じパターンの感じが・・・・)

 若干不安を感じるが、とりあえずモチベーションだけは高い紅薔薇姉妹である。

「あら祐巳さん、流石に凄い自信だね」
「勝負は最後まで判りませんよ、祐巳様」

 勝負が絡むと容赦が無い黄薔薇姉妹からは、早速鋭い牽制が飛ぶ。

「ねえ、志摩子さん。何かとても悪い予感がするのは私だけかな?」
「いいえ、乃梨子。私もそう思うわ」

 やはり、相変わらず落ち着いた様子の白薔薇姉妹である。

 そして、由乃は全員準備が出来た事を確認すると、開始の合図を宣言した。

「それでは、第五回 山百合会主催 リリアン初夏の陣を始めます!」
「「「「「おぉ〜!!」」」」」

 昨日と同様に、やる気に満ちた掛け声とともに戦いの火蓋が落とされた。

 

 今回は、螢拭ラ○ミー(旧蝓ミー)で発売された『ウノ』に同封されたルールブックを基本にゲームを進めるが、話し合いにより、何点かルールを変更して行うことになった。

(1)最初に手札を無くした人が出た時点で、残りの人の手札を一枚ごと決まった点数で各自合計する。
そして、最初に上がった人に全てを加算し、残りの人はそれぞれの合計を減点する。
(2)『ワイルド・ドロー・フォー』を出した時の『チャレンジコール』は無効とする。
(3)『ドロートゥー』と『ワイルド・ドロー・フォー』は、出した次の人の手札に同じ物があれば続けて出す事が出来る。
続けて同じカードを出せない人が、それまで出た枚数の合計分のカードを取る。

・・・・(3)については、「これがなきゃ、このケームのロマンが無い」と意味不明な理由を言う黄薔薇姉妹の強引な主張で、急遽変更がされた。

 また、今回も『祐巳ルール』が特別に設定された。
(1)手札の集計時に、『ドロートゥー』『リバース』『スキップ』(各1枚20点)は集計対象から外す。

 以上の内容で、ルール変更を設定しゲームが始まった。



 今回も、特別ルールのお陰で祐巳はビリにはなっていないが、未だ一回も上がって無い為、予断を許さない状況だ。

「じゃあ『ワイルドカード』を出して『赤』に変更ですわ。お姉さま」
「よっしゃー!グッジョブよ瞳子!」

 そう言って親指をサムズアップすると、祐巳は逸る気持ちを抑える為に一呼吸置いて、最後の勝負に打って出た。

「それじゃ、ゴメンね菜々ちゃん。はい『ドロートゥー』、そして『ウニョ〜!』」
「・・・・祐巳さん。気持ちはわかるけど、そこは噛むとこじゃないから落ち着いて」
「だってー」

 祐巳にとって、初勝利を得る為の初『ウノ』のコールである。少し噛む位は許して欲しかった。

「いいえ祐巳様。じゃあ喰らえです。お姉さま『ドロートゥー』」
「残念でしたー。ゴメンね乃梨子ちゃん『ドロートゥー』」
「そう来ましたか。ゴメン志摩子さん『ドロートゥー』」
「良いのよ乃梨子。はい瞳子ちゃん『ドロートゥー』」

 こんな調子で瞳子まで『ドロートゥー』が続いてしまい、祐巳はアウアウと涙目の表情を瞳子に向けた。
 その眼は「お願い瞳子」と必死に訴えているようだ。

 そんな視線を一心に受けている瞳子の心の中は、今激しい葛藤の真っ最中であった。

 瞳子の心の天使(志摩子似)が語る(ここは出さずに引くべきよ)
 瞳子の心の悪魔(乃梨子似)が囁く(ここは出して止めを刺せ)

天(誰かが言った『包み込み守るのは姉、妹は支え』と。だから、ここは姉の勝利の為に引くべきよ)
悪(お前が言った『例え姉でも勝負に手心は加えない』と。だから、ここは勝負に徹すべきだ)

天(このまま引けば姉が勝利するわ。姉の勝利は貴方の喜び、姉の喜びは貴方の幸せ、そしてそのまま2人は・・・・<以下は18禁的表現の為に省略>)
悪(このまま行けば姉は敗北する。姉の落込みは相当なものになるだろう。だが、そこでお前が優しく包めば姉はイチコロだ。そしてそのまま2人は・・・・<以下は18禁的表現の為に省略>)

天(貴方は彼女と姉妹になって、今までの自分に決別したはず。だから昔の自分に負けてはいけないわ)
悪(お前は彼女と姉妹になっても、直ぐには中身は変れない。このまま行けば○な気分が心を満たし、後は優しく抱擁すれば、全てを独り占めできて一石二鳥だぞ。)

 この間約10秒・・・・そして瞳子は選択した。

「すいませんお姉さま『ドロートゥー』」(・・・・やはり私は少し○なのかしら?)
「瞳子お前もか〜!!!!」

 祐巳は、ムンクの絵みたいな顔で絶叫すると、そのまま崩れ落ちてテーブルの下で力尽きた。_| ̄|○(←こんな感じ)

 その隣で、菜々は「一枚、二枚、三枚・・・・」と嬉しそうにカードを山から取って、祐巳のいた所にカードを積み上げた。

 結局この敗戦が原因となり、今回も祐巳のビリが決定した。



「えーそれでは、第五回も祐巳さんに決定しました。罰当番と今日の雑務はよろしくね。じゃあ教室に帰ろうか、菜々」
「はい、お姉さま!それでは皆さんごきげんよう」

「・・・・え〜と祐巳さん・・・・ゴメンなさい、やっぱり私にはどうにも出来ないわ・・・・」
「それじゃ瞳子、後はよろしく。祐巳様ごきげんよう」

 そう言うと、祐巳と瞳子を残して部屋から出て行った。



 祐巳は「私って、私って・・・・」とブツブツ言って、未だにそこから動けないでいた。

「お姉さま、いい加減に立ってください。午後の授業が始まってしまいますわ」
「・・・・」

 祐巳の落込みは相当のようで、中々立ち上がれずにいたが、瞳子は祐巳の両肩を掴んで無理やり体を起こした。

「聞いて下さいお姉さま。こんな勝負に負け続けても、お姉さまはお姉さまです。」
「・・・・瞳子」
「たとえ誰が何と言おうと、私はお姉さまの側にいます。だって『妹は支え』ですから」
「瞳子!」
「お姉さま!!(あぁ〜このまま2人は・・・・<以下は18禁的表現の為に省略>)っていはははぁ」

 瞳子は、心の悪魔(乃梨子似)の言葉通りの展開に、少しニヤケ顔で祐巳に抱擁しようとしたが、不意に両頬に痛みを感じて意識を戻すと、祐巳が怒った顔で瞳子の両頬を摘んでいた。

「なんて言って、私が感謝するとでも思ったの!」
「にゃんにょきょちょぢぇしゅきゃ、ほねへしゃま」(何の事ですか、お姉さま)
「だいたい、瞳子があそこでカードを出すからこんな事になったのよ。それを今更そんな事を言う口はこうしてやる」
「いはいでふ。ふるひてほねへしゃま」(痛いです。許してお姉さま)
「いいや許さない。今ここで、姉としてシッカリ指導しないと瞳子の為にならないから。だから、えい・えい・えい・・・・」
「いはいー。・・・・ほーにょりきょにょはがー」(痛いー。・・・・もー乃梨子のバカー)

 思惑通りと行かず、自分の悪い心(乃梨子似)に八つ当たりをする瞳子に、祐巳は時間ギリギリまでお仕置きをして部屋から出て行った。



 土曜日の昼、薔薇の館の会議室・・・・
  
「ごきげんよう。久しぶりね祐巳」
「ごきげんよう。お久しぶりですお姉さま」

 突然現れた最愛のお姉さまにビックリしながらも、祐巳は祥子に椅子を勧めてお茶を入れる準備をした。

「今日はどうしたのですか?珍しくご自分から連絡もしないで来られるなんて」
「午後の授業が突然休講になって、時間があったから何となく・・・・もしかして迷惑だったかしら?」
「いいえ、そんな事は全然無いですよ。何時でも大歓迎です!」
「そぉ、良かったわ。ところで他の皆はどうしたの?」
「実はですね・・・・」

 祐巳は祥子に、自分が今週は昼休みに仕事を片付けて、後は休みする提案を出した事。

 その間、この部屋を綺麗に維持する為に当番制にして、それをカードを使って勝負して決めた事。

 そして、その勝負に自分は最後まで一回も勝てずに全敗した事などを祥子に説明した。

「・・・・で、今日は昨日やり損ねた仕事を、負けた罰として一人で居残りでやっていた訳でして」
「・・・・一回も勝てなかったですって・・・・」
「あのーお姉さま。どうかなさいました・・・・あっ」

 祥子の表情が急に強張って来て「何事ー」と慌てた祐巳は、直ぐに自分の姉は『超』が付くほどの負けず嫌いである事を思い出したのである。

「祐巳!私は貴方に立派な紅薔薇になれる様に指導したけど、どうやらまだ足りなかったようね」
「あの〜お姉さま。幾らお姉さまでもこればかりはどうにもならないかと・・・・」
「何か言ったかしら!?」
「いいえ、何でもありません・・・・が」
「では、この週末は祐巳を徹底的に鍛えなおします。」
「今からですかー!?」
「そう今から。何か問題でもあるかしら?あぁー後、泊まりになると家には私から言っておくから大丈夫よ」
「・・・・いいえ、まったく問題ありません」
(あーあ、来週は無事に学校に来れるかな?・・・・もう二度とこんな提案するのは止めよう。)

 祐巳は、自分の犯した失態を反省しつつ、半ば投げやりにこの展開に身を投じる事を覚悟したのだった。





終わり・・・・




   
「あとがき」と言う「言い訳」です。

 長くなりましたが、何とか本編を書き終わる事が出来ましたが、いまいち話が旨くまとまらない感じで、文章を書く難しさを改めて感じました。

 自分の部屋を掃除していた時に『ウノ』が出てきたので、祐巳に『ウノー』と言わせたくてこの作品を書きました。(それにしては言わせるまで長かったなー)
 
 この後はこの作品と同じ時間軸で、別の視点での<外伝>を一本書いて完結にしようと思います。もう少しだけお付合い下さい。

 最後に、色々ツッコミどころ満載の内容でありますが、初心者なので大目に見てください。

 それでは次回に・・・・ 


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