※始めに・・・・
この作品は【No:2338】→【No:2348】→【No:2353】の別視点での話です。
この作品内の人物相関及び学年等は、ほぼ原作通りです。
以上の内容を確認の上本作品をお楽しみください。
金曜日の昼休み、クラブハウス内の新聞部部室・・・・
あまり広くない室内には、所属する部員が全員集合している。
「そろそろ時間です。お姉さま」
「ありがとう日出美。もぉーそんな時間かぁー・・・・。う〜んっと、じゃあそろそろ行こうか?」
日出美は、室内に掛けてある時計で時間を確認すると、側で黙々と記事を書いていた真美に知らせた。
真美は、書きかけの記事をファイルにしまい「よいしょ」と席を立つと、室内で待機していた部員達に声をかけた。
「それでは、昨日の会議で決められた区域に皆さん移動してください。各自、健闘を祈ります」
そう言って、愛用のペンと取材用の手帳を握りしめ、他の部員と同様に決められた区域へ移動する為に部室を後にした。
マリア様が見てるif
福沢祐巳の絶叫<番外編>
メガネと7:3とハンカチ
事の起こりは、火曜日の放課後に囁かれた些細な噂話だった。
「昼休みに、リリアンの敷地内で微かな女性の叫び声が聞こえてくる・・・・」
始めは少数で交わされていた話であったが、次の日の放課後にはかなりの数の生徒に広まっていた。
新聞部でも同様の話を掴んでいたが、記事として扱うには余りにも情報不足の為、各自この噂話に関して取材を行って検証しようではないか、と『自称、瓦版の鬼編』こと部長の山口真美は、そう言って部員達を送り出した。
そして、木曜の放課後に各自の取材活動で得た情報を集計した結果、情報に幾つかの共通点が確認された。
(1)叫び声の女性の声である。
(2)聞こえる時間帯は、昼休みの半分過ぎたあたりから終わり間際までの間である。
(3)聞こえる範囲はリリアン高等部敷地内である。
(4)声の内容・発生源・原因は特定できていないが、山百合会のメンバーが関っている内容が多かった。
結局、昨日からの取材活動で判明したのは、どれも正確性に欠けた内容ばかりで、これでは記事に出来そうも無い。
また(4)については殆どが眉唾物の内容で、噂話での特有の想像力と妄想満載の内容が、話の尾ひれとして生徒の間を伝わるので、これ以上の正確な情報が得られなかった。
「どうしますかお姉さま。明日も同様の取材を続けますか?」
「うーん・・・・。多分このまま取材をしても、これ以上の情報は出てこないと思うの。むしろ話の尾ひればかりが一人歩きをして、このままでは正確な記事が書けないわ」
「そうですね、私もそう思います。では、この後はどうしますか?」
「・・・・」
日出美を含めた部員全員の視線が集中する中、真美は暫く何やら考え込んでいたようだが、どうやら考えがまとまったようで、おもむろに今後の活動方針を話し始めた。
「やはりここは集めた情報を元に、私達がこの噂について検証すべきだと思うの」
「でもお姉さま、現段階では正確な時間・場所がはっきりしてないので検証しようがないですよ」
「確かに正確な情報では無いけど、ある程度は揃っている。後は、私達で正確な情報を集めて行くしかないわ」
そう言うと、真美はホワイトボードに簡単なリリアンの見取り図を書き始め、それが終わると、違う色で幾つかの場所に丸印を書き込んだ。
そして、暫くその地図を見て幾つかの修正を加えた後、真美はホワイトボードを使って部員達に説明し始めた。
「とりあえず、明日の昼休みはこの丸印の所に各自待機して、声がした時間・方向・内容などを細かく情報収集を行い、放課後にその情報を集めて再検討するって事でどうかしら」
「部員総出のローラー作戦ですか?結構大掛かりな取材活動になりますね」
「まぁーそこまで大袈裟じゃないけどね。とりあえず、始めは大雑把に区域を決めて情報を集めて、その情報を元に範囲を少しずつ狭めて行けば、おのずと答えに近づけると思うわ」
部員達は、今回の大掛かりな取材活動に少し戸惑っていたが、真美が示した方針に驚きと賞賛の視線を送った。
「この提案に、質問や意見や別の提案がある人?・・・・ではいないようなので、各自の活動区域を決めたいと思います」
そう言うと、真美はホワイトボードの丸印の所に、次々と部員の名前を書き出した。
「では、明日の昼食後に全員ここに集合。その後は、各自決められた場所に移動して取材活動する事にしますが、その時はなるべく目立たぬ様に活動する事」
「それって、私達の行動が余計な騒動の火種にならない為に警戒するって事ですか?」
「そうとっても構わないわ。とにかく、目立たず穏便にお願い。・・・・じゃあ、今日はこれで終わるけど何か質問ある?」
真美はそう言うと部員達の反応を待っていたが、直ぐに妹から反応があった。
「あっお姉さま、薔薇の館周辺の区域が白紙になってますけど」
「あーそこは私が行くって決めていたから、つい書かずにいただけよ」
日出美にそう説明した真美は、その空白部分に素早く自分の名前を書き足した。
「この他に何かある?・・・・無いようね。では、今日はこれにて終了します。」
真美は、「後は自分が戸締りをするから」と言って他の皆に解散を伝えた。
金曜日の昼休み、薔薇の館前・・・・
噂の声が聞こえるであろう時間前に到着した真美は、さて何処に待機しようかとあたりを見回していたが、ふと館の入り口でその視線が止まった。
このまま、直接聞いた方が手っ取り早いかなと思いノブに手をかけたが、やはり外堀を固めてからが良いと思ってその場を離れようした時、藪の中から聞きなれた声がした。
「あら、そこにいるのは真美さんじゃない」
「あっ、ごきげんよう蔦子さん」
突然近くの藪から出てきたのは、山百合会並の知名度を持つ『神出鬼没なリリアンの盗撮魔』こと武嶋蔦子である。
「珍しいわね。こんな時間に、一人で薔薇の館へ取材行くの?」
「違うわよ。ただ、記事のネタ探しをしているだけ。そちらこそ、珍しく一人で盗撮中?」
真美は蔦子と会話しながら、いつも彼女と一緒に行動している『一番弟子』の姿が見えないのが気にはなったが、今の真美には、その事を考えるだけの余裕はなかった。
「ふ〜んネタ探しね。私はてっきり、例の噂話の件でここにいるかと思ったけど?」
「・・・・蔦子さん。また、うちの会議の話を盗み聞きしたでしょう?」
「何を失礼な。昨日一人で現像作業をしていたら、たまたま聞こえてきたのよ」
蔦子の登場に少し動揺しつつも、自分の目的を悟られない為に色々と誤魔化そうとした真美だったが、流石に蔦子相手にはその手は通用しなかった。
「それを盗み聞きって・・・・。まーいいか、貴方なら無闇に他人に話さないから」
「お褒めに預かり恐縮です」
「別に誉めて無いって・・・・。でそこまで分かっていて、この私に何か御用かしら」
蔦子の悪びれない態度に苦笑いしつつ、彼女の真意が分からなかったので、真美はその点をストレートに聞いた。
「もしよかったら、今回の取材が成功出来る素敵な場所を紹介しようと思うけど一緒にくる?」
「昨日の盗み聞きの件を、それで相殺して欲しいってことかしら?」
「そんな事思っていないわよ。ただ、純粋に真美さんの協力が出来ればとね」
蔦子の突然の提案に、最初は何か企んでいるのかと思ったが、話を聞いていくうちに真美はある仮説に辿り着いた。
「・・・・もしかして、蔦子さんは噂話の真相を知ってるんじゃないの」
「さあーそれは何とも・・・・。でも『百聞は一見にしかず』と言うし、実際に自分で確認した方が早いと思うよ」
蔦子の思わせ振りの会話から確信を得た真美だったが、本人から話が聞けないのでは確かめようも無い。
「・・・・分かったわ。何か、蔦子さんの手の上で踊らされている感じがして気分が悪いけど、言ってる事は確かにその通りだから仕方ないわね。じゃあ、その場所に案内してくれる?」
「はいはい、全く素直じゃないのだから。・・・・それじゃあ、付いて来て真美さん」
ここは彼女の話に乗るべきだ、と素早く判断した真美は、時間も無いので蔦子の後に続いて藪の中に入っていった。
「さてと、着いたわよ真美さん」
「蔦子さん、こんな所で何が始まるの?」
そこは、始めに2人が合った所から50m以上薮の中に入った場所で、真美の目の前には、周りの木々に比べて太く枝が茂った大きな木があった。
「この木の上の方を見てくれる」
「うん。あれ、あそこだけ何か置いてあった様な感じに、枝が平らになってるみたい」
それから、蔦子は改めて真美に向かってこの場所の由来を話し始めた。
「実は、この木は随分昔から鳥の巣箱が置いてあった場所なのだけど、数年前にその箱は撤去されてしまったの」
「そんな事、私は初耳だよ。何で、蔦子さんがそんな事知っているのよ」
「私の場合は、この場所を見つけたのは偶然でね、話は三奈子様から聞いたのだけど」
「お姉さまから!私はそんな事、全然聞いてないわよ」
「そうなんだ。まーあ、私も話を聞いたのは高等部に入学して直ぐ、ここで三奈子様に会った時だけどね。それに、姉妹だからと言ってお互いを全て知っているとは限らないでしょうけどね」
確かに蔦子の言う通り、姉妹だからと何でも知っている訳ではないので、お互い知らない事の一つはあると思うが、現実に他の人から話を聞かされると、少しショックでもあった。
蔦子は、真美のそんな気持ちを知らないふりをして、話をドンドン進めていった。
「でね、そこから館の会議室が覗くことが出来るの。しかも、向こうからは死角になるからばれる心配が無いのよ」
「ちょっと蔦子さん、私は蔦子さんに色々と聞きたい事があるのだけど・・・・」
「私も登ったから分かるけど、はしご無しでも登れるように枝が出てるから、ちょっとしたコツでそこまで登れるのよ」
「そんな事より、いったいあそこと今回の噂話の何の関係があるのよ!」
「まあまあ落ち着いて。私が下で指示するから、これを持ってとりあえず登ってみたら。騙されたと思ってさ」
真美は、中々見えない答えと時間が迫っている事に、イライラが募ってついキツイ口調になってしまったが、蔦子余り気にした感じもせず、真美にオペラグラスを渡して木に登る様に促した。
「それに、何で私が一人だけで登らないといけないの」
「だって、あそこは一人で場所が一杯だし、それに私は登る必要が無いから。もしかして、真美さん高い所ダメ?」
「そんな事無いけど・・・・もー分かった、登るわよ。でも、下から絶対に写さないでね」
「それは大丈夫、マリア様に誓って絶対に写しません」
ここまで来て、今更引き返す事も出来ないと悟った真美は、蔦子にそう言って目の前の木に足を掛けて登り始めた。
蔦子は、右手を軽く挙げてニッコリ笑って宣誓すると、真美がスムーズに登れるように指示する為に移動した。
「よっこらしょっと。うわ、思ったほどここは高いわね」
真美は、蔦子の指示に従って何とか目指す場所に辿り着いた。そして、手にしたオペラグラスで薔薇の館を覗いた。
「さてと薔薇の館はと・・・・あっ、見えた見えた。ホントにここからだと死角なんだ。あっ祐巳さん達発見!全員部屋にいるみたいね・・・・あれ、これじゃ肩口までで手元が全然見えないや」
真美は、独り言を言いながら会議室を覗いていたが、ここに来てこの場所の欠点に気が付いた。
「そっか、ここの高さが窓枠とあまり変らないからか。しかも、この距離じゃ立っても余り変らないか。何かやってるのは分かるけど、手元が見えないからそれが何か分からないー!」
残り時間も迫って来ていたので、真美は出来る限り詳細に情報を集めようと、眼を皿のようにして覗いていたら、突然聞きなれた人の声が微かに聞こえてきた。
『ウノ』
「ウノ〜!もしかして、噂の声ってこの事なの・・・・」
真美がそのまま暫く覗いていたら、祐巳が何かを叫んだ後に見えなくなってしまったが、その手に『ウノ』と書かれたカードを握っていた事を彼女は見逃さなかった。
どうやら勝負がついたようで、黄・白姉妹が部屋から出て行くのが見えたので、真美もそこから降りることにした。
「で、どうだった真美さん?真相の方は掴めたかしら」
「ええ、お陰様で。それに、お姉さまがなぜここの場所を私に言わなかったかも・・・・。あそこって、高さが下の方の窓枠とほぼ平行だから、いるのは分かるけど何をしているか分からないからでしょう?」
「確かに、アレじゃ取材活動には不向きね。それに、無理に覗こうとすると危ないからね。でも、私はそれとは違う理由もあるんじゃないかと思うんだ」
「違う理由って何なのよ、蔦子さん」
「これは憶測だけど・・・・三奈子様は、このような取材を真美さんは絶対にやらないと知っているからじゃないかな。私はそんな気がすると思う」
「・・・・うん、そうかもしれない・・・・」
蔦子の話に少し恥ずかしかったのか、顔を少し赤らめてしまった真美は、それを誤魔化す為に話を進めた。
「それで、何で祐巳さん達はあんな事をやってるの?それになぜ蔦子さんが知っているの」
蔦子は、昨日偶然に祐巳とあって一緒に下校した時に、その途中で聞いた『祐巳の提案から始まった事の顛末』の内容を真美に聞かせた。
「じゃあ、今までの声は全部祐巳さんの声で、それも今日の昼で終わりと言う事なんだ」
「まーそう言う事になるね」
「は〜あ・・・・。そんな事じゃ残念だけど、今回の噂話の件を記事にする事は諦めるしかないわね」
蔦子に真相を聞いた真美は、大きなため息を付いて、とても疲れた顔でそう言った。
「そんな事は、私に関係ないからどちらでも良いけどね。だけど、真美さんにしては凄く意外だったわ」
「そんな事はないわ。私だって、何でもかんでも記事にしたりしないし。今回も、新聞部部長として中立的の立場から決めたのだから」
「いや私的には、白か薄い淡色系か冒険してもストライプだと思ったけど、まさかクマさんとは思わなかったからね。やー久々に良い物を見れた、ご馳走様でした」
真美は、蔦子の言った意味を理解したとたん、慌てて、スカートを押さえながら顔を真っ赤にして抗議した。
「ちょ、ちょ、ちょっと蔦子さん!見ないって約束したじゃない!」
「写すなと聞いたけど、見るなと聞いてないわ。それに、ちゃんと真美さんを見て指示しないと危ないでしょ」
「・・・・確かにそうは言ったけど・・・・」
「それに、ここは誰にも見えないから大丈夫よ。それに、私って口が堅いって言ってたよね」
「ホント、蔦子さんって口が旨いんだから・・・・」
「お褒めに預かり恐縮です」
「だから誉めてないって・・・・もー良いわ。時間も無いし、早く教室に戻りましょう」
とりあえず目的も達したので、2人はそこから移動しようとした時、別の方向から誰かが歩いてくるのを感じた。
「あら、随分と珍しい所での再会ね」
そう言って2人に近づいて来たのは、3月に卒業したばかりの祥子であった。
「ごきげんよう。お久しぶりです祥子様」
「ごきげんよう。2人とも元気そうね」
2人の前に現れた祥子は、洗いざらしのシャツにジーパンとスニーカーといった軽装であったが、その神々しさは未だ健在であった。
「ところで祥子様、こんな時間にこんな所でいったいどうしたのですか?」
「大学校舎の窓から、あなた方の姿を見かけたからちょっと注意しに来たの」
そんな事を言いながら、祥子は今まで真美が登っていた大きな木に近寄って、その木肌に触れながら話を始めた。
「この木の由来は聞いているかしら?」
「つい数年前まで、あの枝の上に巣箱が置いてあったことは聞いてます」「私もです」
2人の答えに祥子は頷くと、視線を2人に移して再び話を続けた。
「巣箱が無くなった事で、この木の存在が薄れて人々から忘れられてきたわ。だけど、毎年何人かこの木に誘われて来る人がいるから、もし気が付いたら危ないから注意するようにと、私のお姉さまから言われていたのを思い出してね」
「蓉子様から、祥子様だけにですか?」
「いいえ。実際は、次の薔薇達に代々受け継がれている、申し合わせの一つとしてだけどね」
巣箱が外された後、生徒の自主性を重んじるとした学園側からの要請で、この木の取扱いは山百合会に一任されたのである。
「その話を聞いたお姉さまは、早速この木に登って見たくてここに来たら、他の2人と私達のように鉢合わせして、その時はとてもビックリしたって言ってらしたわ」
「まあ、あの方々らしいと言えばらしいですね」
「それで祥子様・・・・。今回限りで、私も真美さんもこの木には登りませんので、どうぞご安心ください」
「あなた達がそう言うなら、この話はここでお仕舞いにするわ・・・・ところで、2人で何を見ていたのかしら」
真美は、近頃話題の噂話とその内容、今回その件で取材中に蔦子さんに誘われてここに来た事、その原因は祐巳達が昼休みにやっている事に関係があったと言う事、を祥子に話をした。
「そんな事があったの・・・・」
「はい。それで、とりあえず今回の件は記事にしない事を、新聞部部長として決めたところです」
「ありがとう真美さん。そうして貰うと助かるわ」
真美から事の顛末を聞いた祥子は、しばらく何かを考え込んでいた様だが、良いアイデア浮かんだみたいで、悪戯っ子のような顔をして2人に話しを続けた。
「でも、山百合会の運営はともかくこの件は一言言わないといけないかしら・・・・。そうだわ、祐巳と合う時間が最近無かったから、明日はこの件のついでに顔でも見に行こうかしら」
「やはり、写真や映像より実物に勝るもの無しですね。祥子様」
「2人共ごめんなさいね。しかし、あなた方からの頂き物にケチを付けてる訳ではない事は信じて欲しいの」
「いいえ、私達もその気持ち分かりますから。また、祐巳さん関連で何か手に入ったらお知らせしますね」
「そうね、楽しみにしているわ。それと、この前はどうもありがとう。流石に、2人共良い仕事しているわね」
『盗撮マニア』の蔦子・『報道マニア』の真美・そしてスポンサーであり『祐巳マニア』の祥子。
別々の3人が、自分の得意分野でその能力をフルに使って活動し、そのマニアぶりを遺憾無く発揮している。
3人の合言葉は『鳴かぬなら、鳴かして見せよう、福沢祐巳』である。
「そう言う事だから、祐巳には内緒にしておいてね。・・・・あらもう時間ね、それでは2人共ごきげんよう」
そう言って、大学校舎に戻って行く祥子を見送った二人は、急いで教室に戻って行った。
そして次の日・・・・
2人は、祥子との約束通り祐巳に気ずかれない様に、昨日の昼に起こった事の一部始終を由乃だけに話をした。
事の重大さに、由乃は他のメンバーに話を伝えて、今日は全員で薔薇の館に近づかない事に決めた。
そして2人は、放課後に薔薇の館から祥子によって拉致・軟禁されるであろう哀れな子狸を見かけ、心の中で『頑張れ祐巳さん。骨は拾ってあげるからね』とエールを送りながら静かに見送ったのだった。
終わり・・・・
「あとがき」と言う「言い訳」です。
この投稿をもって、『絶叫シリーズ』を無事に完結する事が出来たと思います。
今回の作品で<後編>内での新聞部の行動と、祥子様の行動の裏付けが出来たと思います。
もう少し、簡潔に読み易く書ければ良かったのですが、創作下手の初心者なもので、色々と至らぬ所が在りました。
次の作品には、今回の反省を少しでも生かせれば良いかなと思っています。
最後に、色々とツッコミどころ満載の作品ですが、初心者なので大目に見て下さい。
それではまた・・・・