【2373】 人の事はどうでもいい青息吐息  (琴吹 邑 2007-09-12 02:36:37)


がちゃSれいにーシリーズ

紅白交錯編

【No:132】→【No:152】→【No:349】→【No:385】

 新聞部の部室からとぼとぼと一人教室に向かう。
「何でこんな事になっているんだろう?」

 昨日の出来事が脳裏に鮮明に思い浮かぶ。
 昨日、志摩子さんと抱き合う瞳子ちゃんを見て、感じたのは自分が予想もしていない感情だった。
 それは、恐れ。それは、瞳子ちゃんが遠くへ行ってしまう。そんな怖い考え。
 その考えは私をものすごく混乱させた……。逃げ出したい。そう思ったときに、横に彼女――乃梨子ちゃんがいたのだ。
 そのときの乃梨子ちゃんは、いつものクールな乃梨子ちゃんと違って、捨てられた子猫のような瞳をして私の方を見つめていた。
 だから、私はあのとき彼女の手を取ったのだ。寂しいのは私だけじゃない。そんな気持ちで……。

「どうしたらいいんだろう?」
 お姉さまから与えられた今回の課題は、一事が万事平均点の私にはかなり重い課題になりそうだ。
 私は大きなため息をついた。

「祐巳さん。これ、どういうこと?」
 教室に入るなり、そう声をかけきたのは、由乃さんだ。
 手には当然今日発行されたリリアンかわら版が握られていた。
「え? うん。私にもさっぱりなんだよね。もう何がなんだか」
 どうしたらいいかもわからない。そう由乃さんにこぼそうと思ったところで、予鈴がなった。

 朝のショートホームルームが終わり、一時間目の授業が始まりそして終わった。
 今日の一時間目は、現国。だったことは覚えているが、やった内容は全然覚えていなかった。
 昨日今日の出来事で、頭がいっぱいで、全然授業を聞いていなかった。
「何でこんな事になっているんだろう?」
 一時間目終了のチャイムを聞きながら、私はぽつりとそうつぶやいた。





行くべき道編の方が一区切りついたので、長い間眠っていたもう一つの枝を伸ばすのに挑戦です。


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