がちゃSれいにーシリーズ
紅白交錯編
【No:132】→【No:152】→【No:349】→【No:385】
新聞部の部室からとぼとぼと一人教室に向かう。
「何でこんな事になっているんだろう?」
昨日の出来事が脳裏に鮮明に思い浮かぶ。
昨日、志摩子さんと抱き合う瞳子ちゃんを見て、感じたのは自分が予想もしていない感情だった。
それは、恐れ。それは、瞳子ちゃんが遠くへ行ってしまう。そんな怖い考え。
その考えは私をものすごく混乱させた……。逃げ出したい。そう思ったときに、横に彼女――乃梨子ちゃんがいたのだ。
そのときの乃梨子ちゃんは、いつものクールな乃梨子ちゃんと違って、捨てられた子猫のような瞳をして私の方を見つめていた。
だから、私はあのとき彼女の手を取ったのだ。寂しいのは私だけじゃない。そんな気持ちで……。
「どうしたらいいんだろう?」
お姉さまから与えられた今回の課題は、一事が万事平均点の私にはかなり重い課題になりそうだ。
私は大きなため息をついた。
「祐巳さん。これ、どういうこと?」
教室に入るなり、そう声をかけきたのは、由乃さんだ。
手には当然今日発行されたリリアンかわら版が握られていた。
「え? うん。私にもさっぱりなんだよね。もう何がなんだか」
どうしたらいいかもわからない。そう由乃さんにこぼそうと思ったところで、予鈴がなった。
朝のショートホームルームが終わり、一時間目の授業が始まりそして終わった。
今日の一時間目は、現国。だったことは覚えているが、やった内容は全然覚えていなかった。
昨日今日の出来事で、頭がいっぱいで、全然授業を聞いていなかった。
「何でこんな事になっているんだろう?」
一時間目終了のチャイムを聞きながら、私はぽつりとそうつぶやいた。
行くべき道編の方が一区切りついたので、長い間眠っていたもう一つの枝を伸ばすのに挑戦です。