【238】 ミス・クイーン探してます  (くま一号 2005-07-19 21:59:47)


「うわっ、瞳子ちゃん。引いてはならないものを引いたわね。」
「っっって、いきなりなんなんですか、祐巳さまっ。」
「だって、このキーワード登録した人、マジか狙いかボケか。」
「何を言ってるんですか。なんだかわかりませんよ。ミス・クイーンと言えば去年の学園祭で祥子お姉さまが獲得したではありませんか。お似合いだと思いますよ。」
「それがやばいのよ。マリみて7つのアンタッチャブルのひとつなんだから。」

「えーと、とにかく私たちは久しぶりにレオタード姿なのですわ。」
「つまり怪盗紅薔薇モードなのよね。ということはミス・クイーンを捜さないといけないんだけど……。」
「祥子お姉さまを見つければいいだけではありませんか。」
「そんなこと妹として絶対にできないわ。お姉さまに知られたら絹のハンカチ十枚や二十枚引き裂いたくらいじゃ済まないわよ。」
「だーかーらー、瞳子は意味がわかりませんってば。」

「ふう。お姉さまの名誉のためにわからないままの方がいいわ。いらっしゃい瞳子ちゃん。」
「はい。ってそっちは花寺ですよ。男子校行ってどうするんですか。」
「英和辞書引いてごらんなさい。」
「missは未婚女性の敬称、または名詞に冠して美人コンテストの優勝者などを指す。なにがいけないんですか。」
「クイーンの方、引いてみて、瞳子ちゃん。」
「うーん、なんなんですか。フレディーマーキュリー亡き後、再結成したクイーン、この秋来日しますよ。ロックオペラも来てるし、今ブームですもの。」
「We will we will rock you!! いや、そうじゃなくて。いや、QUEENのグループ名もその意味を含んでるんだけど。」
「え・・・・なんとなくわかりたくないけどわかってきたような。」
「有無を言わさず花寺学院へ連行。」
「あわわわわわ。」

「瞳子ちゃん、あなた着替えたリリアンの制服持ってるわね。」
「ええ、なぜか持ってますけど。」
「身長はアリスよりちょっと低いかな・・・・。」
「・・・・・・やっぱり・・・・・・。で、この格好で生徒会室まで行けと。」
「行かなくても気配で察知して来るわよ。彼女は・・・もとい彼は。」
「あ、来た。」
「祐巳さ〜ん。瞳子ちゃ〜ん。今日はなにしに来たんですか〜。」
「アリスに用事があって来たのよ。」
「わ、うれしい。なんでしょう。」
「ちょっとこれを着てみて。」
「っって私の制服を。」
「まあ、いいじゃないの。」


「ふーん、いい線いってるわね。ちょっとメイクしましょうか。瞳子ちゃん、あなたなら舞台映えのするメイク、できるわよね。」
「それはまあ・・・・アリスかわいいし、よーし、なんとなくわかってきたからやるかあ。」
「わ、本格的だー。え、え、ボクなにするんですか。」
「まあ、だまってついておいでよ。賞金は三等分ね。」
「はあ???」

「できましたっ。祐巳さま。」
「わあっアリスかわいい。」
「うふふふ。これならリリアンにいても全然わからないでしょう。うれしいっ。」
「あーこら、祐巳さまに抱きつくなー。」
「まあまあまあまあ。瞳子ちゃん。携帯持ってたわね。」
「はい。」
「柏木さんがそのへんにいるはずだから。呼んでちょうだい。」
「え?」
「光の君もおいでになるんですね。」
「うーん、今日はその呼び名は似合わないと思うわよ。」

「ものすごーくしぶってたけど優お兄さま来るそうですわ。」
「私の言うことは聞いてくれる約束だもの。」
「柏木先輩になにをたのんだんですか?」
「アシ。」
「祐巳さまのなさることはもう・・・・・・。」
「あ、来たわ。赤いスポーツカー。」

「すすすすす、優おおおにいさまああああぁ。なんなんですかぁその、その」
「だから来たくなかったんだって。」
「ステキじゃないですか。柏木さんくらい美形だと、金髪ストレートヘアにイブニングドレスも似合いますわよ。」
「そんな優お兄さまなんていやあああああぁぁぁ。」
「そうか、瞳子ちゃんは知らなかったんだっけ。アリスとどっちが勝つと思う?」
「どどどどっちが勝つって?」
「ミス・クイーンコンテスト。」
「あああの、やっぱりそうなんですね。」
「そう、辞書引いたでしょ。queenの、女王の次の意味。」
「あのその、お兄さまやアリスのような方々のことで・・・・。」
「ミス・クイーンと言えば英語では」
「はあああぁぁぁぁ。そういう意味なんですね。」
「どこへ行くんですか。」
「歌舞伎町。」
「かぶきちょー?健全なリリアン生のわたくしたちがこのこの二人と一緒にかぶきちょおのミス・クイーンコンテスト?」
「ねえ、柏木さん、あなたは賞金なんかいらないでしょ? アリスとどっちかが勝ったらロスアンゼルスのゲイパレードツアーはさしあげますから、賞金は私たち3人で山分けってどうかしら。」
「はいはい、もう君らの好きなようにしてくれ。」
「じゃ、行くわよ〜。」
「いやあああああああああ。」

「それにしても、紺野せんせーこの言葉の意味、知らなかったとは思えないのよね。なにしろこういうシリーズよ。」
「力、抜けましたわ。伏線とでもおっしゃるんですか。」
「それもないわよねえ。まあ、日本だと自治体主催のミスコンでも出てくるからねえ。そういう名前の馬もいたような。」
「よりによって、祥子お姉さまにこの賞を・・・・・。」


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