【2517】 余計な人が度肝を抜かれた迷え子羊  (ニュクス 2008-01-27 04:13:18)


第一話「祐巳、覚醒す」

「よし!私決めた!」
「な、何を決めたの?祐巳さん?」
昼食後ミルクホールからの帰り、突然の大声にびっくりしながら、そう聞き返す由乃。
「だから決めたんだよ、由乃さん!」
「いや、話の流れが全く見えないんだけど……」
由乃は思う。この一年で、隣にいる親友は随分と変わってしまった。リリアンに入学した頃は素直でいい子だったのに、特殊なメンバーがほとんどの山百合会に入ってしまったばかりに、すっかり染まってしまった様だ。
少し前までは、熱くなりがちな私を止めてくれてたのに、今ではまるで逆になっている。
嗚呼、あの頃の祐巳さんは何処に?
「ちょっと、聞いてる由乃さん?」
「ああ、ごめんね。ちょっと考え事してて……」
「もう、由乃さんったら。えっと、どこまで話したっけ?」
「まだ何も聞いてないわ。」
「そうだっけ?じゃあ最初から……決めたんだよ、由乃さん!」
巻き込まれるのは確定事項らしい。仕方なく「で、何を決めたの?」と聞いてみる。
「おっぱいだよ!」
「は?」
もう帰っていいですか……。
「えっとね、昨日夢を見たんだ」「夢?どんな?」
「福沢家のご先祖さまが出てきてね。」
まあ、まずは聞こう。
「『福沢家の女子たる者、二十歳になるまでに百人の女性の乳房を揉まなければならない』だって」「OK、話はわかったから離れてくれない?」
逃げろ私!
「え、なんで?」
「今の話の流れだと……私の胸を揉ませてくれってことじゃないの」
「ああ、大丈夫。何か決まり事があるらしくて『ただしサイズはC以上』らしいよ」
「取り敢えずその女の子の敵をここに連れてきて。フルボッコにしてやるから」
そのご先祖さまが、私の敵なのははっきりとわかった。
「揉まれたかったの?」
「揉まれないことは嬉しいけど、その理由については嬉しくない!」
「でさ、最初は令さまにしようと思ったんだけど、いちおー由乃さんに許可を貰おうと思って」
「お好きにどうぞ!足腰立たなくなるくらい揉みしだいてあげたら!?」
足早に校舎に向かう由乃を見送り、祐巳はさっそく作戦を練り始めるのだった。

次回予告
ついに動き出した祐巳
黄薔薇に魔の手が伸びる!
令の運命や如何に!
次回『発動編』
続くのか!?


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