【2527】 ……。  (通行人A 2008-01-30 04:31:24)


マリア様のなく頃に
〜時始編〜

ひぐらしのなく頃にのクロスシリーズです。
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第2部 夏


第1章〜綿流し1日目〜上





第1話 出発前夜



ピリリリリリリ


電話の音がしたので受話器を取ると、

志摩子「あ、梨花ちゃん?私、志摩子だけど、悪いんだけど、明日3人増えても大丈夫か
しら?」

梨花「ええ、圭一が言うには、15人までなら大丈夫だそうですから、いいですよ。
   でも車に乗れませんよ?」

志摩子「ああ、それなら大丈夫、お姉さまは確か車を持っていたから。」

梨花「来る人というのは白薔薇様のお姉さまですか?」

志摩子「ええ、どこで聞いたのか、今日になって突然行きたいって言い出して、ごめん
なさいね?」

梨花「いえ、いいですよ、村には子供が少ないんで活気があふれて村のお年寄り連中も
喜びますし。」

志摩子「そう?それなら良かった。ではまた明日。」

梨花「はい、では明日。」

カチャッ


 当日、圭一の両親が仕事で居ないので、皆で圭一の家に泊まることになっていた。
 もともと、圭一の家は、個展やホームパーティーが出来るように出来ているので、15人ぐらいなら、広さにも部屋の数にも困らないとのことで、その範囲内なら好きなように、呼んでいいと言われている。
 私は、餅つき用の杵をもち、もう1度舞ってから眠った。




第2話  待ち合わせ(祥子視点)



 今日は、祐巳と初めての旅行、余計なのも大勢いるけど、楽しみであまり眠れなかった。
 私が、待ち合わせの場所リリアンの前に行くと、もう全員来ていた。
 ただ、聞いていた人数より多かった。
 それに、車の数も3台あった。
 私と瞳子ちゃんが、早足で駆け寄ると、

由乃「祥子様・瞳子ちゃん遅いですよ。」

 と言う、

祥子(まだ待ち合わせの時間にはまだ30分以上あるじゃない。
   それに、何で聖様や蔦子ちゃんや新聞部の子が居るのよ。)

私は梨花ちゃんと話してる男の人を見ると、
そこには、3年前のパーティー以来あってなかった人が居た。

祥子「お久しぶりね、圭一さん。」

私の言葉を聴いて瞳子ちゃんが驚いて振り向く。

祐巳「お姉さまが男の人に話しかけるなんて、3人はお知り合いですか?」

祥子「圭一さんの一族は代々芸術で財を成してきたのよ。財力でこそ小笠原の足元にも
及ばないけど、発言力は勝るとも劣らない、名家で、たまに彼のお父さんに連れ
られて家に来たりしてるのよ。
   もっとも圭一さんは芸術の道には進まないようだけど。」

瞳子「それに、優お兄様も、圭一お兄様には頭があがらないのですのよ。」

祐巳「へ〜、あの柏木さんが。」

梨花「あいかわらず変なところで顔が利くのね。」

 それから、梨花ちゃんが全員いるのを確認すると、

梨花「これで、全員そろったわね。えと、昨日急に3人増えたけどこのメンバーで行きま
す。
   それと、2つ諸注意が。
   1つ、村ではオヤシロ様の信仰が厚いのでそれを侮辱するような発言は控えるこ
と。
   2つ、裏山、及び境内の裏にある祭具殿と呼ばれる小屋には、決して近寄らない
こと。まあ、
   向こうで合流する仲間たちもいっしょに行動するしたぶん大丈夫だと思います
が。
   何か質問はありますか?」

真美「根本的な質問ですが、オヤシロ様って何ですか?」

それは私も気になる。昨日ネットで調べて下知識をつけとこうと思って雛見沢について調べたが、小さな村でオヤシロ様を守り神としてることと、10年前のダム工事の現場監督惨殺事件、7年前の主婦撲殺事件ぐらいしか分からなかった。

梨花「オヤシロ様は、村の守り神で、縁結びの神様よ。」

とだけ言った。
   
真美「もう1つ、途中参加なんで知らないんだけど、これから何しに行くの?」

梨花「綿流しのお祭り。」

真美「綿流し?」

梨花「論より証拠、自分で確かめたほうがいいわ。」

その後、誰がどの車に乗るかで揉めに揉めて、私・祐巳・梨花・瞳子が今回私が運転手役として呼んだお姉さまの赤い車、志摩子・乃梨子ちゃん・蔦子ちゃんが聖様の黄色い車、令・由乃ちゃん・真美ちゃんが、圭一さんの白い車に、乗ることになった。
 こうして私たちは雛見沢に向かった。




第3話  昔話(由乃視点)



私たちが車に乗ってから30分が過ぎた頃、

真美「さっき梨花ちゃんにああ言われましたが、綿流しってどういうお祭りなんです
か?」

圭一「綿流しってのは、布団を供養して、その綿を沢に流すっていうお祭りだよ。」

由乃「ついてきて言うのもなんですが、それって面白いんですか?」

令「ちょっと由乃」

圭一「ははは、まあ、儀式自体は詰まらないかもしれないけどね、最初誘ったのは祐巳
ちゃんだけだったんだろ?
梨花ちゃんはたぶん、大好きなお姉さまにかっこいいところを見せたかったん
だよ。」

真美「かっこいいところ?」

圭一「それは向こうについてのお楽しみって事で」

それから10分ぐらい沈黙が続き、私は耐えられなくて、

由乃「何か、雛見沢の民話とかってないんですか?」

圭一「あるにはあるけど、あまり気持ちのいいお話じゃないぞ?」

由乃「それでもいいですよ、暇つぶしになれば」

令「由乃がいいなら私は別に」

真美「私も聞きたいです。」

圭一「じゃあ、
   

   昔々、雛見沢村がまだ「鬼ヶ淵村」と呼ばれていた頃のお話・・・
   
   鬼ヶ淵という村に底無し沼がありました

   その深い沼は地の底の鬼の国につながっていたんです

   ある日のこと沼の底から鬼たちが次々に現れ

   村人に襲い掛かかった

   そんな時神様が

   「オヤシロ様」が降臨した

   オヤシロ様は鬼たちを鎮め

   鬼たちに人の姿を与え村人と共存させた

   人と鬼との混血が進み半人半鬼の仙人となった彼らは

   麓の人々に崇められながら、ひっそりと隠れるように暮らしていたそうです

   そしてオヤシロ様も地上に留まり末永く村を見守った

   これが雛見沢に伝わる昔話」


真美「変わった昔話ですね、鬼と仲良く暮らすなんて。」

由乃「それに今の話に気分悪くなるところありました?」

圭一「このお話にはまだ続きがあって、気分悪くなるのはここから


   実は村を襲った鬼たち、鬼は鬼でも

「人食い鬼」だったの・・・!

その「人食い鬼」の血は村人の体に脈々と流れていて

時折その血が眠りを覚ますの

何十年かに一度どうしても人間が食べたくなる周期があって

その度に麓の村におしよせ生け贄をさらっていったんだって

この鬼による誘拐行為を麓の村人たちは、神隠しではなく

『鬼隠し』と言って恐れたそうだ」

令「じゃあ鬼と変わらないじゃないですか!?
  オヤシロさまは!?
  村に留まって人々を見守ってるんじゃないんですか!?」

圭一「もちろんオヤシロ様も了承してたそうだよ
   だから『鬼隠し』はオヤシロ様が決めた生け贄以外には
   誰もさらわなかったらしい
   そうして生け贄をさらってきた夜には犠牲者を美味しく頂くため
   「綿流し」の儀式が開かれたという」

由乃「綿流しは確か・・・
   布団を供養するお祭りじゃなかったんですか?」

圭一「由乃ちゃん、ワタって言わない?
臓物のこと・・・」

由乃「ワタ・・・?
   そういえば魚のワタって・・・」


由乃・真美・令(え・・・?)





由乃・真美・令(腸・・・・・・・流し・・・・・?)




圭一「そう、今でこそ綿流しはただの夏祭りに過ぎないけど昔は違った
   凄惨な人食いの宴のことだったんだ・・・!!」

由乃「う・・嘘!!」

圭一「うん、まあ嘘なんだけどね」

由乃・真美・令「へ?」

圭一「オヤシロ様が見守っているのところまでは本当だけどね。
   その後は、シンデレラの本当は怖い話みたいに誰かが勝手に作った裏話だよ。
   俺も中2の時、雛見沢に引っ越してきたばかりの頃の初めての綿流しの晩、
村の人にこの話を聞かされたあとからかわれたんだよ。」

由乃「な・な・な・なんじゃそりゃーー!!!」

圭一「でも、いい暇つぶしになっただろ?休憩予定のパーキングエリアまで1分切ったぞ。」

真美「もしかして時間も全部計算してたんですか?」

圭一「当然」

 その言葉を聞いて、私たちが唖然としてるうちにパーキングエリアに着いた


【No:2544】へ続く


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