【2553】 他の人に迷惑じゃん  (海風 2008-03-02 17:28:38)



あくびが出るほど長いです。注意してください。

それと、反省はしてますが後悔はしてません!








「ごきげんよう」
「ごきげんよう」

 さわやかな朝の挨拶が、澄み切った青空にこだまする。
 マリア様のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。
 汚れを知らない心身を包むのは、深い色の制服。
 スカートのプリーツは乱さないように、白いセーラーカラーは翻らせないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。


 の、だが。
 しかし、今日だけは。
 今日だけは、お祈りもそこそこに、みな足早にマリアさまの前を通り過ぎていく。
 早く、早く。
 それぞれにある心が、足を動かすことを命令する。
 早く、早く。
 上級生のお姉さま方に習いスカートのプリーツは乱さないように、白いセーラーカラーは翻らせないように、でも可能な限り早く。


 憧れの薔薇さま方が、私たちの質問に答えてくれるかも知れないから。









 ――リリアンかわら版新企画  薔薇さまお悩み相談室(増刊号)

  皆様より寄せられたお悩み、質問を元に、「新薔薇さまお悩み相談室」は好調に滑り出し、こうして増刊号を出すまでになりました。
  新聞部他関係者一同、皆様に厚く感謝いたします。
                            新聞部部長  山口真美


  唯一のルールとして、「ランダムにお悩みを引いた薔薇さまが答える」という原則があります。紅薔薇さまへの質問を、黄薔薇さまや白薔薇さまが答えることもあるので、ご了承ください。
  これは皆様の投稿を全て答えることができないため、公平さを保つためのものであり、また、どれだけお三方が相手のことを知っているのか、どんな物の考え方をするのかを重視した結果です。
  以上を含めて、楽しんでいただけると幸いです。

  尚、増刊号に限り、Q&A形式に加え各つぼみと黄薔薇さまのお手伝い、取材陣の簡単な対話も加えてありますので、併せてご了承ください。


  参加者
    紅薔薇さま  福沢祐巳
    黄薔薇さま  島津由乃
    白薔薇さま  藤堂志摩子

    紅薔薇のつぼみ  松平瞳子
    白薔薇のつぼみ  二条乃梨子
    黄薔薇のお手伝い  有馬菜々

    取材  山口真美
        高地日出美

    写真  武嶋蔦子




  1周目  A 黄薔薇さま

Q『白薔薇さまが意外と黒いって聞いたんですが?  匿名 黒志摩子がデフォだと信じる会一同』


黄薔薇さま「本当に黒かったら、私がここで正直に言えると思う?」
白薔薇さま「黒くないからそう答えればいいんじゃないかしら?」(微笑み)
黄薔薇さま「白薔薇さまは自分を黒くないと言っていても、誰がどう感じるかは、人それぞれだと思うの」
白薔薇さま「黄薔薇さまは、私のことを黒いと思っているの?」(微笑み)
黄薔薇さま「……もしこことは違う世界が存在するなら、そういう白薔薇さまもいないとは限らない……とだけ答えておくわ」(白薔薇さまから目を逸らしつつ)

なぜか二条乃梨子嬢が顔を赤らめていました。



  1周目2番目  A 白薔薇さま

Q『人を操るコントローラーが開発されたとか聞いたんですが。紅薔薇さまが真昇○拳で薔薇の館の体力ゲージを半分弱減らしたって本当ですか?  匿名 腹・腹・顎』


白薔薇さま「人を操るコントローラー? そういえば、祥子さまがそれらしいものを持ってきたことがあったかしら」

――注・祥子さまとは、紅薔薇さまのお姉さまで前紅薔薇さまである小笠原祥子さまです。

黄薔薇さま「あったあった。でも私が操作して出したのは真○龍拳じゃないわよ。だってあれ技ゲージMAX使うでしょ」
紅薔薇さま「……あれは差込口が……」(顔を赤らめる)

その後、薔薇さま方は曖昧に微笑み、言葉なく次の質問へと行きました。

――微妙な顔の薔薇さま方は、右の写真。



  1周目3番目  A 紅薔薇さま

Q『祥子さまが小林さんと結婚すると?  匿名 皆の期待を裏切らないでください』


紅薔薇さま「どこの小林さんかは知りませんが、小笠原家を超える小林さんじゃないと、九割方婿養子になると思います。何を期待されているのかはわかりませんが」
黄薔薇さま「小林さち」
紅薔薇さま「言っちゃ駄目、お姉さまにころ(以下新聞部規制)」(何かに怯えながら叫ぶ)




  2周目  A 黄薔薇さま

Q『三年生のお姉さんになった紅薔薇さまの髪が、振り返るとサラサラリ。遅刻しても仕方ないと思いませんか?  匿名 某ドリルさんは生死の境をさまよったそうですよ』


黄薔薇さま「だから山百合会で規制したのよ。もう二度とあんなことが起こらないように」
二条乃梨子「でも一時期、あの時の紅薔薇さまの写真が裏で流れたって噂もありましたよね。買い占めと差し押さえに働きかける人がいて、一生遊んで暮らせるほどのビッグマネーが普通に飛び交ったとか、って」
黄薔薇さま「へえ、そうなの。なんだか犯人が誰なのかすぐ特定できそうだから、これ以上はやめておきましょう。命を大事に、ね?」



  2周目2番  A 白薔薇さま

Q『薔薇の館で、あの世界一臭い缶詰が開けられたそうですが、どうでしたか?  匿名 味は良いらしい』


白薔薇さま「ありました。一ヶ月ほど使用禁止になったわ」
黄薔薇さま「私、似たようなことで、白薔薇さまに深い恨みを抱いた記憶があるんだけれど」(白薔薇さまをジロリと睨む)
白薔薇さま「気のせいじゃない? 私の記憶にはないもの」(微笑み)



  2周目3番  A 紅薔薇さま

Q『黄薔薇さまが、お風呂場で見慣れぬ白い敵と戦ったそうですが、結果はいかに?  匿名 うちは液体派ではなく固形派』


紅薔薇さま「ああ……いつだったか、なんか言ってたよね」
黄薔薇さま「え、忘れたの!? 私の一代スペクタコーを!?」
紅薔薇さま「スペクタクルだよ。今思い出した。確か三部作だったっけ?」
黄薔薇さま「紅薔薇さま、『明日聞くね』って言ったっきり、そのままだったよね?」
紅薔薇さま「はいはい。続きは明日聞くからね」
黄薔薇さま「今度こそ絶対よ!」




  3周目  A 黄薔薇さま

Q『乃梨子さまの妹になるにはどうしたらいいと思いますか?  匿名 青田刈り同好会』


黄薔薇さま「乃梨子ちゃんの妹……そうか。もう二年生だもんね。なんか想像できないなぁ」
紅薔薇さま「やっぱり第一印象から仲良くなるには、共通の趣味とかあるといいよね」
黄薔薇さま「仏像鑑賞よ?」(信じられないような顔をして)

――注・二条乃梨子嬢の趣味は、仏像鑑賞です。

紅薔薇さま「まあ趣味は難しいとして、白薔薇さまみたいな人なら一発なんじゃないかな」
白薔薇さま「私みたいな?」
二条乃梨子「…………」(言葉なく同意)
黄薔薇さま「駄目よ」
紅薔薇さま「どうして」
黄薔薇さま「もし白薔薇さまが妹だったら、乃梨子ちゃんが姉の立場を利用して強引にガチ(以下新聞部規制)」
二条乃梨子「…………」(真相を見せないポーカーフェイスで顔を背ける)
黄薔薇さま「そうね……外国人で一見変だけれど乃梨子ちゃんを大好きな元気な子が似合うんじゃないかしら」
紅薔薇さま「そうだね。木の上から落ちてくるような衝撃の出会いでね」
二条乃梨子「なんかやたらピンポイントですね」



  3周目2番  A 白薔薇さま

Q『最近、由乃さまのお胸の成長が著しいって聞いたんですが、実際どうなんでしょう? 私は貧乳派なので、大きくなると悲しいんですが。  匿名 おっぱい十字軍残党』


黄薔薇さま「それで、白薔薇さまの答えは?」(怖いくらいに真剣な顔で)
白薔薇さま「…………」(本気で怯える。二条乃梨子嬢は睨み返す)
有馬菜々 「成長しているんですか?」
黄薔薇さま「どうだっていいでしょ」(怒りながら)
有馬菜々 「いえ、大事なことですよ。少なくとも私にとっては大事なことです」
黄薔薇さま「それ、どういう意味?」(緊張しながら)

黄薔薇さまと有馬菜々嬢は、二人だけの世界に入り、お互いを見詰め合う。

有馬菜々 「人間的なスケールも心も身体も胸も小さい方が、由乃さまらしいですから」
黄薔薇さま「無礼打ちじゃ! そこに直れ!」(キレた)

――左の写真は、正座させられても平然とした顔の有馬菜々嬢と、怒り狂う黄薔薇さま。

白薔薇さま「あの、自然と減るものではないですし、成長期でもありますから、それなりに」(こっそりとつぶやく)



  3周目3番  A 紅薔薇さま

Q『紅薔薇さまは何回くらい学園生活を繰り返してみたいですか?  匿名 逆行マリアさま』


紅薔薇さま「繰り返し……というと、祥子お姉さまとの出会いから高等部卒業まで、でしょうか? そうだね、自他ともに認めるほど失態の多い私だから、二回……いや三回くらいやり直せれば、限りなく理想に近づけると思います。だから、二回か三回くらいかな」
黄薔薇さま「本当に三回で大丈夫なの?」
紅薔薇さま「四回目以降は、きっと理想云々より、どうすれば逆行現象から抜け出せるかを真剣に考えて行動すると思うよ」
白薔薇さま「なんだかリアルな意見ね。本当に経験しているかのように」
紅薔薇さま「そんなわけないじゃない。でも、卒業式の日に交通事故に巻き込まれないように注意しないと。それがきっかけで始まるかもしれないからね」(笑)




  4周目  A 黄薔薇さま

Q『この間、課外授業のおやつの金額が300円から315円になりましたが、安すぎだと思いませんか?  匿名 五円チョコなら63個』


黄薔薇さま「安すぎる」(即答で断言)
紅薔薇さま「うーん、確かに」
白薔薇さま「銀杏をおやつに持っていくというのはどうかしら」(ナイスアイデアという自信満々の顔で)
黄薔薇さま「それは一般人には無理だから」(うんざりした顔で)
紅薔薇さま「お砂糖をタッパーに詰めていくというのは?」(ナイスアイデアという自信満々の顔で)
黄薔薇さま「蟻かよ。私たちは蟻かよ」(ツッコミ)



  4周目2番  A 白薔薇さま

Q『紅薔薇さまにそっくりなスーパードルフィー(人形)が、発売と同時に売り切れ続出で、今や幻の一品と呼ばれているそうです。鑑定団にも出てました。どうしても欲しいのですが、どなたか情報を持っていませんか?  匿名 祥子さま似の人形もあるらしい』


白薔薇さま「まあ。そんなものがあるの?」(少し驚き)
黄薔薇さま「祥子さまなら知っているんじゃない?」
紅薔薇さま「たぶん知っていると思うけれど、本当に知っているなら誰にも話さないと思うよ」(なぜか暗い顔をして溜息をつく)
黄薔薇さま「意外と先々代も持っていたりしてね。抜け目ないから。あの人たち」

――注・先々代とは、二代前の薔薇さま方、水野蓉子さま、佐藤聖さま、鳥居江利子さまのことです。

有馬菜々 「瞳子さまは持っていないんですか?」
松平瞳子 「え、何のことですか? 私は絶対知りません。スクール水着なんて着せたこともありません」(少々挙動不審)

――左の写真は、ネットで調べた噂の人形「スーパードルフィー深沢祐巳」。上下の下着はピンク。



  4周目3番  A 紅薔薇さま

Q『その昔、令さまがHR(ハードレイ)でイっちゃったという噂を聞いたんですが、本当ですか?  匿名 カナリアでフォー』


――注・令さまとは、黄薔薇さまの姉です。

黄薔薇さま「あるわけないじゃない」
紅薔薇さま「え? 私の質問」
黄薔薇さま「あるわけないじゃない」
紅薔薇さま「……」
黄薔薇さま「あるわけないわよね?」
紅薔薇さま「……はい、ありません」
有馬菜々 「そんな面白いことが?」
黄薔薇さま「あなたは正座してなさい」




  5周目  A 黄薔薇さま

Q『紅薔薇さまの答辞って、「皆さんご卒業おめでとうございます」というボケが期待されてしまうんですが、本人のやる気はいかがでしょう?  匿名 やり直しの利かない現実』


黄薔薇さま「ああ、自分も卒業生ってことを忘れて、三年生なのに三年生を送ろうとしちゃう、ってことね」(笑)
紅薔薇さま「そういうことは言わないでください。言葉にすると現実になりそうで怖いです」(本気で怯えながら)
白薔薇さま「紅薔薇さまなら大丈夫よ」(にっこり微笑む)
黄薔薇さま「それって期待を裏切らないって意味? それとも間違えないって意味?」
白薔薇さま「期待を裏切るなんて、薔薇さま失格よ」
紅薔薇さま「それってボケろって意味?」(心底驚きながら)
黄薔薇さま「やる気はないけど、やらざるを得ないってところかしら」(期待に満ちた目で紅薔薇さまを見詰める)



  5周目2番  A 白薔薇さま

Q『白薔薇さまが山百合会の皆さんをローキックでKOしていく夢を見ました。これは悪夢でしょうか? 予知夢でしょうか? 過去の現実でしょうか?  匿名 思わず撮っちゃった』


白薔薇さま「そんな、まさか」(怯える)
黄薔薇さま「何? 私と勝負したいの?」(挑戦的な笑みを浮かべて)
二条乃梨子「黄薔薇さま、お姉さまの清純なイメージを壊そうとしないでください」
白薔薇さま「イメージって」(ショックを受ける)
二条乃梨子「あ、うそ、お姉さまは本当に裏表のない人で、黒志摩子なんて一部の人の妄想だし、そんな、その、ごめんなさい」(語り続けるうちに白薔薇さまはボロボロに)

二条乃梨子嬢は、5分ほど自分の失言を白薔薇さまに詫び続けました。

――落ち込む白薔薇さまと謝る二条乃梨子嬢は、右下の写真。



  5周目3番  A 紅薔薇さま

Q『今度、日曜朝8時30分から新番組「マジ狩る☆クラッシャーミラ狂由乃」が始まるって聞いたんですが、本当ですか? もし本当なら録画もできる最新式DVDプレイヤーを買います。  匿名 ☆がないのはパチモンです』


紅薔薇さま「え、ほんと? 黄薔薇さまが主役の……アニメ? 特撮もの?」
黄薔薇さま「…………」(青ざめた表情で凍りつく)
白薔薇さま「駄目よ、紅薔薇さま。魔法少女は正体を知られたら魔力を失ってしまうのだから」
紅薔薇さま「あ、そうか。こうご期待、ってやつだね」
有馬菜々 「でもタイトルから察するに、すぐに深夜帯に行くか打ち切りになりそうですね。内容が健全なお子様向けとは思えないですし」

――ちなみに新聞部には、新番組は「マジカル☆ウサギガンティア志摩子」も放送の候補に上がっている、という不確かな情報が入っています。




  6周目  A 黄薔薇さま

Q『天然系 天然系 キネンシス♪  松平瞳子嬢がこんな歌をごきげんに歌いながらバク転を繰り返したという噂は本当ですか?  匿名 めちゃくちゃナマで見たいんです』


黄薔薇さま「本当」
松平瞳子 「嘘ですわ!」
黄薔薇さま「本当。本当だから。ええ、本当ですよ」
松平瞳子 「事実無根です! 歌ったことはあり、あ、いえ、なんでもないです、なんでもないです」

黄薔薇さまは、5周目3番の時から「どーでもいいやー」って顔をしています。

――左の写真は、諦観の果てにいる黄薔薇さま。生きる意志さえ感じられません。



  6周目2番  A 白薔薇さま

Q『紅薔薇さまが5才になってリリアン高等部にやってきた、という妄想が止まりません。どう思いますか?  匿名 何人たりとも私の席は譲らねえ』


白薔薇さま「紅薔薇さまが5才? ふふふ、きっと可愛いでしょうね」
紅薔薇さま「そうかな?」(照れつつ)
白薔薇さま「もし本当に紅薔薇さまが5才になって私のいる教室に転入してきたら、絶対に隣の席に座らせるわ。ええ、何をしてでも」
紅薔薇さま「ちょっと怖いよ。目が」



  6周目3番  A 紅薔薇さま

Q『紅薔薇さまに質問です。瞳子さんにハズレのロザリオをあげたことがあるって本当ですか? なんでも、プロペラが生えて空を飛んで爆発したそうですが。  匿名 カニさんが好きそうなイタズラですよね』


白薔薇さま「そういえば、私も乃梨子から聞いたことがあるわ。本人に聞こうかと思っていたんだけれど、紅薔薇さまはそれから一週間ほどお休みしたから、そのまま忘れていたのよね」
紅薔薇さま「お騒がせしてすみません。私たちのことは、ご想像にお任せするわ」(非常に硬い笑顔で)


  7周目  A 黄薔薇さま

Q『怖いくらいにガンダム占いが当たるって聞いたんですが、薔薇さま方はお試しになったことがありますか?  匿名 ガンタンクの存在意義が見えない……』


黄薔薇さま「どうでもいいわ。もうすべてどうでもいいわ。誰も八頭身武者ガンダムがあったことを憶えていないくらいどうでもいいわ」

黄薔薇さまは、5周目3番の時から、あの有馬菜々嬢が心配するほど沈んでいます。



  7周目2番目  A 白薔薇さま

Q『松平電機産業が開発した脅威の次世代型携帯音楽プレイヤー「yPod」、親にねだりにねだってついに買ってもらいました! 発売からかなり経っている今も値下がりせず、今でも携帯音楽機業界ではトップクラスの売上を誇る名品中の名品……当時中等生だった私も今や高等生です。半年お小遣いカットですが悔いはありません!  匿名 「Drill-snap」も欲しい』


白薔薇さま「あら。質問になっていないわ」
二条乃梨子「どうやら嬉しさのあまり、書いている途中から本来の目的を忘れてしまったようですね」
白薔薇さま「そういえば、私たちも瞳子ちゃんに試作機を貰ったのよね」
紅薔薇さま「そうだったね。私は弟に貸したままだけれど」

ちなみに紅薔薇さまは試作機二号も貰ったそうですが、それも弟さんに貸してそのまま返ってきていないそうです。

白薔薇さま「試作段階では紅薔薇さまのナビが付いていたのよね」
紅薔薇さま「そうらしいね。私は操作法がよくわからなくて見ていないんだけれど」
松平瞳子 「…………」(深い溜息をつく)



  7周目3番目  A 紅薔薇さま

Q『山百合会、大丈夫ですか?  匿名 神様だらけの世の中』


紅薔薇さま「……あんまり大丈夫じゃないかもしれません」




――左の写真は、企画終了とともに納めたスリーショット。生きることを拒否し始めた黄薔薇さま、何があっても大抵のことでは動じない白薔薇さま、生き疲れてきたサラリーマンのオーラを背負う紅薔薇さま。









 私立リリアン女学園。
 時に魔界に行ったり、時に三賢者に会えたり、時に殺人事件が起こったり、時にレオタードを着て怪盗になってみたり、時に縦ロールが本物のドリルになったり、時にもしものレイニーブルーが語られたり、時に銀杏ケーキを食べる機会になったり、時に死にたくなるほど誰かを好きになったり、時に紅薔薇さまが誰かの実姉妹になったり、時に道草を本当に食らってみたり、時に白薔薇のつぼみと有馬菜々さんがチャリンコでガチンコ勝負をしてみたり、時に全員が先々代白薔薇さまの愛人になってみたり、時に先代黄薔薇さまが現黄薔薇さまに釘バットで殴られたり、時に次世代が舞台になったり、時に現黄薔薇さまの代わりに紅薔薇のつぼみが黄薔薇さまになったり、時に薔薇の館が吹き飛んだり。
 瞬きの狭間にifを見る、十八年間通い続けることができれば温室育ちながら日本が水没しても生き抜くことを可能とする純粋培養お嬢さまが箱入りで出荷される、という仕組みが未だ残っている火星にもその名が届くほどの貴重な学園である。






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