ケロロのクロスです。
【No:2525】→【No:2580】→【No:2583】→【No:2584】→【No:2586】→【No:2589】→【No:2590】の続編です
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8.嘆きの雨
手遅れだった。
私が気付いたとき、私に出来ることはお姉さまに頼むことしかなかった。
祐巳「お姉さま、志摩子さんを助けてください。
卒業したお姉さまに頼るのは筋違いなのはわかっています。
ですが、私ではもう無理なんです。
私では、志摩子さんの異変に気付けなかった私では志摩子さんの傷は癒せないんです。
だから、お願いします。」
私は、私の知りえた情報をすべてお姉さまに話した。
聖「祐巳、・・・志摩子の傷を完全に癒せるのは祥子だけよ。
私に出来るのは一時的なものだけ。
それでもいい?」
祐巳「はい、お願いします。」
聖「それで祐巳、今更なんだけどこんな話薔薇の館でしていいの?
誰か来るかもしれないのに。」
祐巳「今日、というかここ数日の間私しか来ていません。
黄薔薇姉妹は部活が忙しいのか、祥子さまは家の用事らしく、
志摩子さんは、さっき話した通りですし、
乃梨子は、大叔母様の菫子さんが風邪をこじらせて寝込んでるって知らせがあったので、
つきっきりで看病してるので。」
聖「助っ人でも頼んだら?」
祐巳「頼むといっても、今、瞳子ちゃんには頼めないですし、クラスで頼めるほど親しい人は皆部活で忙しいので。
・・・お姉さま、下までお送りします。」
聖「いや、いいよ。
じゃあ、頑張って。
ごきげんよう」
祐巳「ごきげんよう、お姉さま」
そう言ってお姉さまは出て行った。
私は、窓からお姉さまが見えなくなるまで見ていた。
すると、校舎から志摩子さんが走って出てきた。
私は、傘も差さずに飛び出した。
そこには、祥子さまが車に乗って去る姿と、
お姉さまに抱きついて泣き叫ぶ志摩子さんがいた。
私は、離れたところからそれを見ていて、ただただ泣いていた。
それは、志摩子さんがここまで傷つくまで気付けなかったことに対する
自分への怒りかもしれない
後悔かもしれない
不甲斐無さかもしれない
雨の中、自分の無力さをただ嘆き続けた
眼鏡の女性が2人を連れて行くまで
私は、その場で見ていた
【No:2593】へ続く