【2632】 薔薇のクインテットメリーさんがゴーフラッシャー  (ニュクス 2008-06-02 14:50:13)


【No:2619】→【No:2622】→コレ
むしろTS物と言わざるを得ない。



「さて、今日は何で逃げてるのかしら?メリケン」
「わかんないよ」
「もはや心当たりがありすぎて、どれが原因か特定できない、って顔ね」
「マミちゃんのことか、それともこないだのコンパのことか……いやいや、もしかすると、ジェシーのことかも」
「もう慣れたわ」
「そういうデコポンこそ、何で私と一緒に逃げてるのよ」
「これ見て」
「なになに……ブッ!!何このきわどい写真?蓉子ってこんな派手な下着も着るんだ」
「合成だけどね。さすがに今回はやりすぎたと思っているわ」
「もう慣れたよ」
「なかなか良く出来てるでしょう?」
「………これ、貰っていい?」
「一枚500円ね」
「チッ、金とるのかよ」
「まいどあり〜」
「さて、逃げますかデコポン」
「そうねメリケン」

あらすじ
「突然男性化ししてしまった令。前回の祐巳の件で、半ば白化しながらも、何とか皆に合流できた。しかし、まだまだ困難は続くのであった」
「?何か言った乃梨子?」
「いや、なんでもないよ志摩子さん」

「はあ…」
あの、確実に寿命を縮める「祐巳ちゃんの彼氏」事件の後、何とかみんなと合流できてよかった。
合流する直前に、祐巳ちゃんに「責任」のくだりについて、聞いてみようとした。
聞いてみようとして、返事をした時の祐巳ちゃんの、見たこともないような黒い笑顔に、くじけてやめた。
ああ、そうさ!私はヘタレさ!笑うなら笑うがよい。だって怖かったんだもの。
「何ため息ついてるんですか令さま?」
「ああ、何でもないよ。行こうか瞳子ちゃん」
今現在、瞳子ちゃんと二人っきりだ。なかなか珍しい組み合わせだと思う。
ココ、松平ショッピングモール(正式名称忘れた)のイベントで、ホラーハウスなるものをやっていたのだ。
真っ先に飛びついたのは由乃だった。怖がりなのに、こういったアトラクションが大好きなのだ。
次に賛成したのが乃梨子ちゃん。何やら意味深な笑い方をしていた。ガチの方は、何やらたくらんでいるらしい。
あれよこれよと、ホラーハウスに入ることとなり、そこで問題は起きた。
二人ずつでしか、参加できないというのだ。
そこで、メンバー決めに悩み、志摩子の「くじで決めたらどうかしら」との言葉に従って、簡易のあみだくじで決まったパートナーが瞳子ちゃん、というわけだ。
ちなみに乃梨子ちゃんは、祥子と入ることになった。
私たちより先に入っていたのだが、入る直前に行っていた「これはこれで」の言葉が気になったが、忘れることにした。
祥子の冥福をいのることにしよう。
さて、肝心の私のパートナーだが
「べ、別に、怖いからこうしているんじゃありませんからね!暗闇の中ではぐれるといけないから……」
と私の腕にしがみ付いて来ている。
「わかってるよ、フフ」
「な、何を笑ってるんですの!………ヒッ!い、今何か動きましたわ!」
力一杯しがみついてきながら怒っても、全然迫力ないよ、瞳子ちゃん。
こういうところは由乃に似てるなあ。
そんな微笑ましいなか、事件は起きた。

随分と歩いたな、そろそろ出口かな?
「あっ、出口が見えてきましたわ!」
前のほうに光が見えてきた。確かに出口が近いようだ。
「フウ、やっと終わるんですのね。……か、勘違いしないでくださいまし!怖かったわけではないんですからね!」
私も瞳子ちゃんも、出口が見えてきたことで、油断していたんだと思う。
忘れていたんだ。こういったホラーハウスには、出口に近づき気が緩んだものを、とっておきの仕掛けが待っているってことを。

あと出口まで5m。そこで突然。
壁から手が出てきて、瞳子ちゃんの手をつかんだ。
「きゃあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
効果はてきめんだったらしい。へたり込んでしまった。
「…………ッ、っく、ひっく、ふぇ、ふえ〜ん」
「ちょ、ちょっと!瞳子ちゃん大丈夫?」
どうやら恐怖の限界を超えて、泣き出してしまったようだ。
しょうがないので、抱きついてくる瞳子ちゃんの頭をなでつつ、宥めてあげるのだった。


「………屈辱ですわ…」
あのあと、従業員から丁寧に謝罪を受け、別室で休ませてもらうことになった。
みんなには、従業員の人から説明してくれるようだ。
「あんな醜態、お姉さまにも見せたことがないのに…」
「気にしなくてもいいよ。私しかみてないんだし」
「令さまに見られたことが問題なんですわ!!」
さっきから、ずいぶんと落ち込んでいる様子だ。
ここは元気づけてあげないと、かな。
「そうだね、瞳子ちゃんのあんなところを見ちゃったからには、責任をとらないとね」
と軽い調子で言ってみる。いつものごとく怒りだしてくれれば、少しはよくなるかな、とおもってのことだ。
ところが
「……責任、とってくださいますの?」
あれ?なんかヤバい方向に話が進んでいる気がするのだけど。
「責任、とってくださいましね」
と、見上げてくる瞳子ちゃんを見つめながら、みずからの愚かさを呪うわたしであった。




おまけ
「待て!待って蓉子!落ち着いて、落ち着いて話をしよう!?」
「そうよ!話せばわかるから!だから、その祖龍でさえなぐり殺せそうなハンマーをおろして!」
「もちろんおろすわよ、あ な た た ち に」
「「嫌あああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」


                   続けたくもあるような、無いような


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